スポーツ観戦のバリアフリー化
パラアスリートの紹介やパラリンピックでの競技の紹介などを目にする機会が増えている。2020年の東京パラリンピックでは陸上、水泳、バスケットボール、テニス他合計22競技開催予定と聞いている。
日常でスポーツを楽しむのは、健常者も障がい者も変わらない。私が時々ランニングコースにしている場所では、車椅子で走っているかたや片足でロードバイクを走らせているかたを見かけることがある。
また、私自身視覚障がい者や車椅子のかたも健常者も一緒に参加できるマラソン大会に参加することもある。視覚障がい者のかたは一緒に走っている伴走者のかたとビブスを着ておられるのですぐわかる。ビブスにお名前が書いてあるかたが多く、例えば傍にいるときに「○○さん、がんばって」とお声がけすることもある。その声に反応して時に話しかけてくださる視覚障がい者ランナーさんもおられ、そのまましばらく前後で一緒に走るなど、応援しているつもりで逆に元気を頂くこともしょっちゅうだ。
なお障がい者が 伴走・伴歩者とランニングやウォーキングを楽しむクラブとして、伴走伴歩クラブ(略称 バンバンクラブ)が有名だ。
代々木公園・伴走伴歩クラブ(バンバンクラブ)
なお伴走練習会は全国でしており、伴走者養成研修会も行われている。
日本ブラインドマラソン協会 ブラインドマラソン・伴走練習会
スポーツとの関わりは"する"だけではない。
味の素スタジアムでは来月2018年7月からラグビーW杯・東京五輪に向けた改修工事が始まる。改修工事は2期に分かれ、2019年のラグビーW杯を挟んで第2期では次の通り、メインは車いす席の増設でバリアフリー化が勧められる模様だ。
・車いす席328席を設置
・エレベーターの増設
・車いす対応のトイレ増設
と、工事内容は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のアクセシビリティガイドラインを取り込んだ形となる。
[PDF形式] 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 Tokyo 2020 アクセシビリティ・ガイドライン
あるプロレス団体の取り組み
明日、2018年7月1日 日曜日に東京両国のKFCホールで、あるプロレス団体の試合が行われる。その名も「バリアフリープロレスHERO」。
車椅子専用席を設けたり、受付やリング4方向に手話通訳者を配置したり、会場大型スクリーンは完全字幕、視覚障がい者用に無料で貸し出しを行っているラジオで実況解説を用意しているとのこと。視覚障害者支援団体による会場の最寄駅より歩行サポートも用意している。
なお、観客だけではなく聴覚障害の選手も2名所属している。リングの外も中もバリアフリー。
バリアフリープロレス HERO 「バリアフリープロレスとは」
場の雰囲気を味わえるのはスポーツ観戦のだいご味。こういう機会がどんどん増えて欲しい。
もちろん、そこまでの経路のバリアフリー化も、また心のバリアフリー化も。
自分にも何かサポートがしたいな、と思った時に
組織委員会のアクセシビリティのページでは、大会スタッフ・ボランティア等の「アクセシビリティ サポートガイド基礎編」を公表している。
街中や勤め先(オフィスや店舗)の来客対応で障がい者をサポートしたいが、どうアテンドしたら良いか判らないということもあるだろう。参考にしてみてはいかがだろうか。
[PDF形式]東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 アクセシビリティ サポートガイド基礎編
また、文頭に紹介した代々木公園・伴走伴歩クラブのサイトでは、伴走・ガイドの方法を公開されている。伴走についてから始まり、視覚障害者ランナーの伴走方法、盲ろう者ランナーの伴走方法、知的障害者ランナーの伴走方法と内容も濃く判りやすい。
バンバンクラブ 伴走・ガイドの方法
参考
・木島英登バリアフリー研究所「スタジアム」
・NHK 「スタジアムのバリアフリーは今」~車いす席はわずか10席前後、チケット入手が困難
・バリアフリーマップ 車椅子でサッカー観戦
・東京五輪「会場は車いす席不足 既存施設の8割で指針未満」(毎日新聞2017年4月6日)
・チーム・ジャパンで取り組むバリアフリー・ユニバーサルデザイン施策(国土交通省) (余談だけど、この書類機密性2のままになっている‥機密性1じゃないとならないのでよろしくないな)
追記: 補足も兼ねてバリアフリープロレスとはへのリンクなど追記しました。
(了)
ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド オークランド空港 ©moya