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Amtrak アメリカ鉄道旅 12 メープル・リーフ

メープル・リーフは、ニューヨークとカナダのトロントを結ぶ毎日運行されている国際列車です。運営はアムトラックとカナダのVIA鉄道により行われていて入国審査・税関の通過を含め約12時間30分かけて走っています。
メープル・リーフは、トロントを出発しカナダ側のナイアガラ・フォールズ駅までをVIAのスタッフが担当し、国境を超えてアメリカ側のナイアガラ・フォールズ駅からニューヨークまでをアムトラックのスタッフが担当してます。アムトラックのスタッフが担当する区間はアムトラックのエンパイア・サービスと同じルートを使います。
この路線を利用するのは、トロントとニューヨークを異動する観光客、ナイアガラの滝を目的地とする観光客が中心となります。

メープル・リーフのルートマップ

運行間隔:毎日運行
運行主要都市:トロント - ナイアガラ・フォールズ - バッファロー -
 - シラキュース- オルバニー - ニューヨーク
距離:875km
時間:12時間30分


ハイライト

この列車は1日に上下1列車運行されています。
ニューヨーク発(#63, VIA Rail #98):トロント行きはニューヨークを朝7時に出発します。そして約10時間かけてナイアガラに夕方6時頃、到着です。ニューヨークとトロント間は約12時間30分と設定されていますが、国境の検査があるので時間は遅れがちになっています。
ニューヨークを出てからはハドソン川の東側をアルバニーまで北上します。ハドソン川の河岸を走るアムトラックからの車窓は素晴らしいです。進行方向左側の座席を確保してください。アルバニーからは進行方向を西にしてオンタリオ湖の南側を走ります。オンタリオ湖は進行方向右側にあるのですが、線路からは微妙に距離があるので湖はあまり見えません。進行方向左側にはエリー運河があります。こちらも注視していないとなかなか見ることができません。ナイアガラ・フォールズに到着。ここまではアムトラックのスタッフが担当でした。そして国境越えとなります。厳しい入国審査があるので時間がかかります。スタッフはVIA鉄道のスタッフに変わり、トロントに向かいます。

トロント発(#64, VIA Rail #97):ニューヨーク行きは朝の8時20分です。VIAのスタッフによって運行された列車はアメリカ側のナイアガラ駅で一度下車しアメリカの入国審査を受けます。そしてアムトラックの乗員に交代しニューヨークを目指します。ニューヨーク到着は夜の9時過ぎとなります。

2024年現在の時刻表

メープル・リーフは、アメリカ側に入ると、アムトラックのエンパイア・サービスと路線を共有します。
エンパイア・サービスに関しては以下のページをご覧ください。

座席について

ビューライナー車両(1階建)での運行です。座席は以下の種類があります。長距離路線のアムトラックのような個室寝台はありません。全て座席での運行となります。
・コーチ席 Coach Class Seat
・ビジネスクラス Business Class Seat

食事について

ダイニングカーはありません。カフェカーで軽食を購入することができます。

キッチンカーのメニュー

注意点

アメリカ/カナダの国境を越える場合は、乗客は18歳以上でなければなりません。17歳以下の場合は18歳以上の大人の同伴が必要です。そしてパスポートなど必要な書類は全て事前に用意しておく必要があります。
詳しくは以下のリンクを確認してください。国境を越えるにはルールが日々変わるので直前に確認をするようにしてください。

・カナダ側のカフェカーでは現金が使えません。クレジットカードVIAレイル・ギフトカードしか使用できませんのでご注意ください。
・WiFiサービスはあります。

ハドソン川を北上するメープル・リーフ

停車駅について

停車駅は以下に記します。駅名の後ろのアルファベットは駅の記号です。チケットを購入する際にも使われます。主要駅以外では人の乗り降りはそれほど多くなく寂しい感じです。

停車駅(太字は主要駅)
New York, NY – Penn Station (NYP)
・Yonkers, NY (YNY)
・Croton-Harmon, NY (CRT)
・Poughkeepsie, NY (POU)
・Rhinecliff, NY (RHI)
・Hudson, NY (HUD)
Albany-Rensselaer, NY (ALB)
・Schenectady, NY (SDY)
Amsterdam, NY (AMS)
・Utica, NY (UCA)
・Rome, NY (ROM)
Syracuse, NY (SYR)
・Rochester, NY (ROC)
・Buffalo, NY – Depew Station (BUF)
・Buffalo, NY – Exchange Street (BFX)

・Niagara Falls, NY (NFL)
・Niagara Falls, ON (NFS)

・St. Catharines, ON (SCA)
・Grimsby, ON (GMS)
・Aldershot, ON (AST)
・Oakville, ON (OKL)
Toronto, ON – Union Station (TWO)

乗車記 Take the Train !

今回は、私がコロナ禍前に乗車したトレイン・ナンバー64のカナダ・トロント発ニューヨーク行きを紹介します。

トロント Toronto, ON – Union Station (TWO)
カナダの中心都市トロント。ユニオン駅の隣にはCNタワーとドームが聳え立っています。もともとこの土地も駅の敷地だったそうですが、鉄道の衰退とともにカナダ鉄道(CN)が土地を有効活用するためにタワーとドームを作ったそうです。とても高いCNタワーがあるので、トロントのどこからでもユニオン駅の位置がわかるのは旅行者にとっては都合が良いです。駅は繁栄時からは縮小されたと言ってもなかなか立派です。駅舎はシカゴのユニオン・ステーションのような豪華な作りです。案内などはわかりやすく治安も良い感じです。
車内にもカフェカーがあるので、そこで食事もできますが、せっかくなので駅に早めについて近くのレストランで朝食をいただきました。

乗車時、案内はVIA 97 Niagaraというサインでした。メープルリーフはカナダ側では列車番号が97となります。そしてカナダ側のナイアガラ駅まで行くという表示です。この列車は、そのままアメリカに乗り入れ列車番号が64になります。「Amtrak 64 New York」と表記した方がわかりやすいのですが、そうではないので、お気をつけください。
コーチ・シートに座ります。シートは快適で10時間近い長旅も楽しく過ごせそうです。
私が乗車した列車は、思いがけずお客さんが多く驚きました。私の隣にもお客さんが座り、ほぼ満席状態でした。そして小さな駅でもそれなりの数のお客さんが乗り降りしていました。
メープルリーフはニューヨーク州の援助を受けて運行されているそうですが、これほどお客さんが乗っていて何故赤字なのか理由がわかりませんでした。おそらく閑散期はガラガラなのかもしれません。

トロントを出発すると、進行方向左側に湖が見えます。これがオンタリオ湖です。まるで海のような大きな湖です。メープル・リーフ号はこのオンタリオ湖畔をぐるりと回り込むように走っていきます。

しばらくはカナダの郊外の景色、湖、畑、牧場などの景色が広がります。
2時間ほどでナイアガラ駅に到着です。

ナイアガラ(カナダ側)Niagara Falls, ON (NFS)
カナダ側のナイアガラの駅はレンガ作りです。お客さんの乗り降りは結構ありました。

カナダ側のナイアガラ駅を出ると橋を渡ります。ここがカナダとアメリカの国境です。進行方向右側には水煙が見えます。これがナイアガラの滝から上がる水飛沫です。メープル・リーフからでもよく見ると遠くに滝が見えます。

ナイアガラ(アメリカ)Niagara Falls, NY (NFL)
橋を渡るとアメリカ側のナイアガラ駅です。ここで乗客は全員が下車し、アメリカのイミグレーションを通過しなければなりません。911以降、検査が厳しいので結構待たされます。私は、この入国審査がメープル・リーフの最大の弱点だと思いました。特に乗客が多い時はひたすら待たされるのです。当然、時刻表通りに出発はできず、ここで大きな遅延が発生してしまいました。そして入国審査の際は、必要な書類や手続きをきちんとしておきべきです。見ていると結構書類不備の乗客がいて、これがさらに遅延に拍車をかけていました。

アメリカ側の駅舎は新しくガラス張りの立派なものでした。
入国が終わると待たされるので、駅の外にでることもできます。ナイアガラの滝まで行くのは時間が足りませんが、滝が見える場所までいくのも良いかもしれません(出発時間は要確認です)。

ここからはアムトラックのエンパイア・サービスと同じ線路を走ります。
エンパイア・サービスについては、私のnoteで解説しています。

ナイアガラ駅からしばらくはナイアガラ川に沿って南下します。この川はカナダとアメリカの国境でもあるので、橋には必ず両国の旗が立っています。川を進むとエリー湖が見えてきます。駅ーこの湖畔にあるのがニューヨーク州第2の街、バッファローです。
エリー湖は、この先シカゴなやデトロイトなどの大都市と船で行き来できるようになっていて、バッファローからはエリー運河でニューヨークと繋がっています。かつて舟運の拠点として繁栄したバッファローは、今でも大きな町でこの辺りで中心となっています。

バッファローを過ぎると、オンタリオ湖の南側を東に進みます。進行方向左側には時々オンタリオ湖が見えます。この湖を越えると出発地のトロントがあるのです。

途中、カフェカーに行きランチを頂きました。ホットドッグとコーヒーです。とりあえずお腹に食べ物を入れた感じです。ニューヨークまではまだまだかかります。

アルバニー Albany-Rensselaer, NY (ALB)
メープル・リーフはニューヨーク州の州都アルバニーで30分程停車です。ちょっとだけ外の空気を吸ってストレッチです。

アルバニーを出発し、南下します。この辺りから進行方向右側にハドソン川が寄り添い、マンハッタンまで並走します。そしてスピードアップしてマンハッタンに向かいます。

私の乗った夏のシーズンだと、ハドソン川の後ろに夕陽が沈んでいくのが見えます。冬だとこの辺りは暗くなってしまいます。ここあたりをハドソン・バレーと呼びます。ニューヨーク・シティに住む富裕層にとっての観光地として栄えているのですが、メープル・リーフからはその感じがあまり伝わってきません。美しいハドソン川と夕日を楽しみたい方は是非夏の時期にメープル・リーフを利用してください。
そして時間があれば、この辺りで下車してハドソン・バレーを敢行するのも楽しいでしょう。(以下、ハドソン・バレーについて)

ニューヨーク New York, NY – Penn Station (NYP)
ニューヨーク・ペンステーションに到着です。途中、早く走ったのか、定刻より30分遅れで到着しました。ニューヨーク・シティは夜です。
この時間、ニューヨーク・ペン・ステーション近辺は安全とは言えないので、駅からタクシーでホテルに向かいました。
約13時間となった長い旅・途中、ナイアガラ駅とアルバニー駅で列車を降りましたが、基本ずっと座っていたので、なかなかの疲れでした。

ニューヨークに到着したメープル・リーフ

最後に

国際列車メープル・リーフ。カナダのトロント、ナイアガラの滝、ニューヨーク州、そしてニューヨーク・シティを結ぶアムトラックの主要路線です。ニューヨークとトロント間は航空便が頻繁に飛んでいるので、お客さんが少ないのかと思うのですが、混雑しています。よく見ると全ての路線を通して乗っているお客さんは少なく、途中下車したり途中から乗ってくる乗客がかなりいることがわかります。飛行機を使うより便利な人たちがこの列車を利用しているのでしょう。
鉄道好き、旅行好きの観光客は、ニューヨークとトロントの間の全線を楽しんでいるようです。
この列車の唯一の弱点は国境越えにかかる時間でしょう。ここを改善すれば、もっと快適な旅となると思います。そして個室はなくシートしかないのも残念です。
良い点は秋の紅葉シーズンの車窓の美しい景色です。紅葉は日本で見るより色が濃くて素晴らしいです。是非メープルの葉が色づいている10月頃にこの列車に乗ることをお勧めします。

各回テーマ:
01 アムトラックの旅
02 アムトラックの路線
03 アムトラックのチケット購入・座席の種類
04 アムトラックの駅
05 エンパイア・ビルダー号
06 カリフォルニア・ゼファー号
07 サウスウエスト・チーフ号
08 コースト・スターライト号
09 アセラ・エクスプレス号
10 エンパイア・サービス号
11 レイクショア・リミテッド号
12 メープル・リーフ号
13 シルバー・サービス号(シルバー・メテオ号 / シルバー・スター号)
14 テキサス・イーグル号
15 サンセット・リミテッド号
16 クレセント号
17 シティ・オブ・ニューオリンズ号
18 キャピタル・リミテッド号
19 カージナル号
20 パルメット号

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