アマンギリ Amangiri
アメリカのアマン・リゾート
世界中で素晴らしいホテルを展開するアマンリゾート。その中でも人気の高いアメリカのアマンギリを紹介します。アメリカにはアマンは、ここアマンギリとアマンガニがあります。どちらもアメリカの大自然の中にポツンとある素晴らしいリゾートで、静かでホスピタリティが完璧な隠れた名ホテルです。アマンギリは砂漠、アマンガニは山の中と景色は違いますが、どちらも不便な場所ながら一度行ったらまた行きたくなるホテルです。
そしていよいよ都市型のアマン・ニューヨークもオープンします。アマンガニとニューヨークはコロナが終わったら紹介したいと思います。
アクセス
アマンギリはアメリカのユタ州南部にあります。アリゾナとの州境にあり、近くにはレイク・パウエルがあります。有名な観光地でいうと車で2時間ほどにグランド・キャニオンなどがあります。
日本から行く場合は、ラスベガスから車で5時間、或いはアメリカ国内からページという小さな町にある空港まで飛行機を乗り継ぎ、そこから車で30分程かかります。
ページ空港へ行くにはフェニックスから直行便がありますので、日本から行く場合はロサンゼルスなどでフェニックスに行き乗り継いで向かいます。
どちらにしても、日本から飛行機で簡単に行ける場所ではないので、面倒に思うかもしれませんが、行く価値はあります。到着するまでの長い道のり、チェックアウト後の余韻含め、この長い旅路も楽しんでほしいです。
夢のような砂漠のリゾート
こんなにもアクセスが悪いのにも関わらず、ホテルは年間を通してほぼ満室です。ここには、このホテルに泊まると知ることのできる素晴らしいホテルライフが隠されています。他では体験のできない心地の良い滞在を求めて世界中から客が集まってくるのです。
予約
予約はアマンホテルのサイトやカード会社などのコンシェルジュ、旅行代理店などからすることになります。パックツアーもあるのですが、このホテルはパッケージツアーで行くようなホテルではありません。自分で旅行のプランを組み立てるか、コンシェルジュの提案するカスタマイズされた行程で向かうのが良いでしょう。
ホテルへ
ホテルへは車でしかアクセスできません。レンタカーかリムジンサービスでホテルを目指します。
砂漠をひたすら車で走りホテルに近づくと、小さなサインが現れます。”Amangiri”というサインに従い数分走ると道は途切れてしまいます。そこになんとも寂しげなインターホンがポツンとありますのでボタンを押すと、応答があります。ホテルに予約を入れている旨を伝えると、動くとは思わなかったボロボロの鉄の柵が動いて敷地に入れます。そこから15分程度続く道を走り、大きな岩山と岩山の間を抜けるとコンクリートで出来た建物が見えてきます。ここがアマンギリです。後でわかるのですが、実はこのホテルはゲートからホテル、さらにホテルから見える砂漠や遠くにある山までが全て敷地なのです。視界に入る全てが敷地というホテルは今まで泊まったことがありません。この広大な景色全てが宿泊客のために維持されています。
ホテル
ホテルの入口では、スタッフが出迎えてくれます。荷物は部屋に運んでくれますし、車は駐車場に廻してくれます。手ぶらでロビーに入ると、そこにはミニマムなデザインのカフェとレストラン、そしてライブラリーが見えます。左側には広大な砂漠、右側には有名なプールが見えます。ここでお茶をしたり本を読んだりしてくつろげます。
ホテルでは特に何も記入などせず部屋に案内されます。ロビーを抜けると部屋が並んでいるのですが1室が広いので、奥の部屋だとそれなりに歩きます。雨の降らないオープンスペースには様々な木が植えられていて、建物自体のデザインや配置が素晴らしく飽きずに歩けるようになっています。
部屋は2タイプあります。スイートと通常タイプ。通常タイプは窓から見える景色によって2タイプ用意されています。どの部屋も面積は広く滞在するには十分すぎます。部屋に入ると全面ガラス張りの窓の外にはまるで額縁に描かれた絵画のように雄大な景色が広がっています。この景色だけで数時間は楽しめるでしょう。窓の外にはバイオエタノールを使った暖炉とソファがあるので、寒い時期や夜でもこの景色を見て楽しめるようになっています。
土地は無限にあるので、部屋の作りはかなりゆったりとしていて収納も余裕があります。床暖房になっているので室内の温度はいつも一定です。砂漠は夜冷えますが、部屋にいる限り快適です。
部屋には飲み物やスナックなどがふんだんに用意されています。これらは全て料金に含まれているので、自由に手に取れます。飲み物やスナックはひとつひとつに拘っていて、どれも美味です。特にスナックは日本に帰ってきてからも食べたくなるようなものばかりでした。無くなったら補充してくれるのでとても便利です。部屋に酒類はありません。
大きなバスルームもあります。勿論バスルームからも景色が眺められます。このバスルームはバスタブが大きくバスソルトなど長時間入浴するためのグッズが充実しています。窓外の景色を眺めながらのんびりとバスタブにつかるというのもこのホテル滞在者の楽しみのひとつです。もちろん窓外は地平線までホテルの敷地ですので、誰もいませんし覗かれる心配もありません。
暖炉は自由に使えます。朝晩は夏でも冷えきむので、この暖炉に火をつけコーヒーを飲んだりして日の出や日の入りを楽しむことができます。
ホテルのロビー棟にはレストランやラウンジ、ちょっとしたお土産店などがあります。夕方までは、ラウンジにはコーヒーやワインなどが置いてありますし軽食もあるので、ラウンジでのんびり過ごすのも良いでしょう。西側に広がるレイクパウエルに沈んでいく夕陽を見ながら贅沢な時間を過ごすこともできます。ラウンジ前に広がる温水プールは24時間利用可能です。昼間は強い光が注いでいますが夕方になるにつれ、一面オレンジ色になり、暗くなると静かに灯る照明や炎が素晴らしい映像として目に刺激を与えます。こんなに美しい夕暮れを感じたことはあっただろうかと思うひと時です。
夜は、レストランで食事となります。近くにレストランなどありませんので、ここで食事をする以外術はありません。レストランは毎日新鮮な食材を使ったアメリカ料理を準備していてくれます。種類も多く、苦手な食材など丁寧に聞いてくれるので注文は安心です。そして料理の味も素晴らしく感動します。
ここでも名前を聞かれることなく、素晴らしいサービスも相まって快適な時間を楽しむことになります。
ホテルにはジムやスパもあります。それぞれ面積は広く快適です。スパは様々なコースが用意されています。昼間はラウンジに行くと軽食やコーヒーなどが用意されています。プールサイドのオープンテラスや砂漠に向かったテラスなどでくつろぐのもいいでしょう。
アクティビティ
このホテルに滞在する人は3泊以上の連泊をするそうです。昼間は、車でアンテロープ・キャニオンやブライス・キャニオンまで観光に行ったりする人もいますが、ほとんどの滞在客は敷地内で過ごしているようです。岩山の上でヨガをしたり、いくつかのトレイルをハイキングしたりしています。施設内のアクティビティにはホテルスタッフが付き添ってくれます。往復数時間のトレッキングには、レストランスタッフが簡単なランチボックスと十分な水を用意してくれます。
このホテルが素晴らしいのは、客が部屋から出て何かをしようとすると、さりげなくスタッフが近寄ってきて要望を聞いてくれます。もしトレッキングに行くというと直ぐに様々な準備をしてくれます。お茶をしたければすぐに欲しいものを用意してくれます。この気配りが毎回驚きです。そして、チェックアウトするまで、一度も名前や部屋番号は聞かれません。ホテルに来たときに顔を覚えていて、全てを対応してくれるスタッフはとても優秀でした。おもてなしの国日本でも、このホテルのようなサービスに出会ったことはありません。とても高い意識を持ち、宿泊客に快適な滞在をして貰おうというスタッフ全員の素晴らしさを感じます。
日本人観光客は、少ない休暇を無駄にしないようにとたくさんの観光地を巡り写真を撮って帰って来る方も多いです。そういう旅もいいかもしれませんが、本当の旅というのはここアマンギリに長期滞在し、のんびりとすることなんだろうな、と思います。ゆっくりと流れる時間、こんなにも多くの星があるんだと驚かされる夜の星空、のんびりと岩山へ続く道を散歩する瞬間、ラウンジでの読書、沈む夕日を見ながらの入浴、全てがとても贅沢で、刺激があるのです。
ホテルのスタッフに聞くと、日本人観光客は1泊か2泊という短期滞在が多いようです。遠くから来るのだからもう少しゆっくりしてこのホテルを楽しんで欲しいと言ってました。
私のアマンギリ体験は、かなり期待していたのですが、それを上回るものでした。ラスベガスから5時間かけてのドライブは、とても楽しくあっという間でした。下世話なラスベガスを出て、砂漠を走り、途中小さな街に寄りながら峠を越え、アマンギリに行くというアメリカ西部らしい景色の変化は思い出に残ります。そしてホテルに到着してからの夢のような体験は、言葉では言い表せません。ホテルではプールも素晴らしく食事やラウンジでのサービスも幸せになれる演出が完璧です。
私はこのホテルに泊まっている間、レイク・パウエル、ザイオン国立公園、ブライス・キャニオンなどを回りました。普段ならこれら観光地の近くのモーテルを利用するのですが、アマンギリをベースにすることで旅行は心理的にかなりアップグレードできました。
世界中にあるアマン・リゾート。どこも素晴らしいのですが、ここアマンギリは他のアマンにはない景色と体験ができます。