思い出は過去
蝉の鳴き声がだんだん大きくなって
隣の隣の家の軽トラのエンジン音が聞こえる。
風が右から左に吹いて、
葉っぱがわしわしと揺れる。
爪ほどもない大きさの船が、全く動かない海を
1本の白い線を引きながら横切っていく。
雲は島にかぶせる帽子のように止まったままで
私もまたベランダから動かない。
簡単そうで簡単には見られないこの景色を
今日も見ていることに喜びを覚える。
目に焼き付けるのではない。
写真におさめるのではない。
思い出にするわけではない。
思い出して喜ぶためではない。
そんなふうに過去の出来事として
今を捉えるのではなく、
今わたしを喜ばせるために、
今この景色を見る。
今を生きることって難しいなと思う。
もつなべ
景色を見過ぎでコンタクトが乾いてきました。
部屋の中に戻ります。暑いな今日も。
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