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祖父を想う

母方の祖父が心筋梗塞で倒れ、救急車で病院に運ばれた。
年齢は80代だと思う。ここ最近、心臓の薬を飲んでいるので、いつかくる日が今だったのかもしれない。

今は一命を取り留めて病院に入院している。
これまで人に会いに動いていたが、今更ながら最近祖父に会っていない自分に気づいた。ただ、会おうと思えば会える距離にいるが、会うことが切ない自分もいて1歩を踏み出せていなかったことも理由の一つ。

たまに祖父の家にいくと、祖父は特に言葉を口にせずテレビを見ている。夏は決まって高校野球を見てじっとしている。真面目が取り柄で、若い頃は家族のためにたくさん働いてきた。今は母方の祖母と息子夫婦の4人で暮らしている。

祖父の家にいとこが同居していた頃は、長期の休みとなればずっと泊まってみんなでワイワイ遊んでいた。新聞配達を手伝ったり、畑仕事を手伝ったり、バーベキューをしたり、自転車に乗って出かけたり。

その時の祖父は、孫たちの遊ぶ姿を楽しそうに見てくれていた。時には笑顔で話しかけてくれ、時には叱られたりもしながら、祖父はそこに大きく存在していた。

自分が高校を卒業したくらいからだろうか。
いとこは家を出て大学に行き、祖父の家は少しずつ家族が離れて生活をするようになっていった。自分も大学から地元を離れ、祖父の家に行く機会が減った。

たまに家に行くことがあったが、祖父は退職してずっと家にいることが多く、会う度になんだか小さくなっていく感じがして、なんとなく切なくなった。

大きかった祖父が時と共に小さく感じる自分に対して、祖父には自分がどう映っていたのだろうか?孫たちが成人して就職し、家庭を持ち、少しずつ家に来なくなり…
日頃の生活では会話に心踊るようなこともなく、余生を過ごしてきたのだろうか?

そうだとすれば、今、祖父は何に心踊るのか?
自分が思いつく答えは「孫の顔を見せる」しかない。幸いにも、祖父はまだ同じ時代にいる。

自分が祖父だったら今何を望むか?もう一度考えながら祖父に会いに行きたい。そしてまた祖父からいつものセリフを聞きたい。「元気でやってるかい?」

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