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【ピカソの遊び心を共有】 ピカソ・セラミック:「見立て」の芸術 南青山のヨックモックミュージアム

2024年10月29日(火)〜 2025年12月28日(日)まで。
ヨックモックミュージアムにて。
PICASSO Ceramics:Art of MITATEピカソ・セラミックー「見立て」の芸術

の展覧会が始まりました。

ということで、内覧会・ギャラリートークへ参加しました。
内覧会レポーターとして、ガッツリとレポートしていきます。


ヨックモックミュージアムの三本柱


『シガール』で有名な株式会社ヨックモックのプライベート美術館。南青山の住宅街にあります。

〜展覧会〜

2020年10月25日、コロナ禍にて開館したヨックモックミュージアムでは、
ピカソのセラミック作品を中心に、ヨックモックの会長さんが30年以上かけて収集されたコレクションを、様々な切り口から展示しています。(油彩画や版画もあるよ)
今回は第5弾目の展覧会。

〜ラーニング〜

  • YMアートセッション 芸術の医学的な効用に着目した「臨床美術」を基にストレス解消やリフレッシュ効果が期待できるアートセッション

  • ピカソdeアート オリジナルワークショップ

  • オンラインアート 日本各地から参加可能なアートワークやセッション

  • ギャラリートーク 美術館でお馴染みの学芸員さんの解説

  • ピカソdeトーク オリジナルワークシートを使った鑑賞体験

などなど。全部参加してみたい!子どもと一緒に楽しめそうです。

〜菓子とアート〜

アートを短時間で楽しめるクラフトキットに、ドリンクと焼き菓子がついたアートキットメニュー「art for cafe」や「art for latte」なる体験型カフェメニューもあるってことで、アート+スイーツ+カフェが好きな人にとっては素敵すぎませんか?

では ヨックモックミュージアムへ行ってみましょう

展示


受付を終えたら、階段を降りて展覧会スタート!


階段を降りる時の、何が始まるんだろうというドキワク感が楽しい

第Ⅰ章 生命を吹き込む


ギャラリートークでのお話。ピカソは自分の大きなお目目がフクロウに似ている、と親近感を覚えていたとか。

フクロウの作品群をまとめてみました

壁面の森にフクロウ、フクロウ・・・。みていて楽しいです。

こちらも《鳥》の作品 キレイ
《黒い顔のある大きな鳥》1951

第Ⅱ章 手のひらの闘牛場


闘牛をモチーフにした作品 お皿のフチが観客になっている作品もあります

本章のギャラリートークでは、「ピカソ芸術は闘牛抜きでは語れない」というお話を伺いました。

  • かの有名なゲルニカも闘牛のモチーフが描かれている

  • ピカソの描く牛は全て雄牛

  • 雄牛は聖ルカのシンボルだからではないだろうか

興味深いお話でしたよ。

第Ⅲ章 テーブル 見立てのトートロジー

《魚》1952(左) 《両手と魚》1953 (中)《3尾の鰯》1948(右)


《静物》1953
「皿の上のテーブル上の皿の中」を絵付けしている作品を実際のテーブルの上に置くという
展示方法がオモシロイ

壁に架ける絵画とは異なり、テーブルの上に置かれる平皿に盛り付けられた料理を描くことで、ピカソは皿を「(食材が載った)皿」に見立てている。これは修辞学における「トートロジー(同語反復)」と呼ばれる手法であり、器に器のイメージを施すなど、描くものと描かれるものを重複させている。文学においてトートロジーは、ナンセンスな繰り返しとしても扱われるが、ピカソは「皿を描いた皿」というレトリックによって、描かれたイメージと実体のある皿とを結び付け、食卓という生命と喜びにあふれた空間そのものをセラミックのなかに表現している。

第Ⅲ章キャプションより

またまたギャラリートークでは、今回の展覧会のテーマになっている「見立て」についても解説がありました。
ピカソは日本古来の「見立て」文化は知らなかっただろうけれど、彼の人間性や遊びの部分が作品に表れていて、あるものを別のものに見立てる、つまり例える、と捉えたのでは?というお話でした。
個人的に枯山水は大好きだし、見立て絵も気になる、今回の展示もそうだけれど、やっぱり「見立て」は面白い、と思いました。

《お菓子》1937年6月19日 ゲルニカを描き終えた後に制作された油彩
お菓子のヨックモックならでは、のコレクション

リノカットによるポスター

ポスター 「ヴァローリス・コレクション」

地下フロアの最後には、ポスターコレクション10点がズラリ!
なんと初公開だそうで、ピカソがセラミック制作の本拠地としたヴァローリス市にちなんで「ヴァローリス・コレクション」と名付けられています。
ヴァローリス市の依頼により、1951年から1964年まで、同市の陶器市などの催事ポスターをリノリウムカットで制作していたそうです。

リノリウムカットとは、リノリウム(コルクや木の粉などから作られる合成樹脂)の版画技法のこと。通称:リノカット

ポスター1枚1枚の違いを堪能できて、いつまでも見ていられます〜

さて、ギャラリートークは地下でおしまいになり、エレベーターで2階へ行きました。

第Ⅳ章 変容する顔、古典への見立て

スペイン南部の都市マラガで生まれ、海洋都市バルセロナで育ったピカソにとって、ギリシア・ローマから受け継がれるセラミックという素材は、古典古代の文化との連続を意識させるメディウムであった。
ピカソはギリシア神話に登場する牧神の姿を、絵画やセラミック作品で頻繁に取り上げている。
ピカソはセラミック作品を通して古典古代の文化に触れ、自らの手で20世紀に再生していった。

図録より引用

牧神パンの演奏する表情がなんとも言えない。目と鼻と口の描き方、シンプルなのに「やさしい」「嬉しい」「恍惚」「清らか」「満足」「安心」「親しみ」「得意」「純粋」「夢」など、ありとあらゆる肯定的な感情や状態を想像させてくれます。

水差し色々


《踊り子と楽師たち》1950年 この作品、好きなんです♡


裏面《道化師たちの顔》 この作品も好きだ

あえて裏面の写真を載せてみました。ぜひ実際に見てほしいです。表面も最高!

2階の展示室は、地下フロアと雰囲気変わって、窓からの日差しもあり、明るい雰囲気です。

常設展

第Ⅳ章の展示が終わると、廊下を少し歩きまして、常設展示を見ることができます。常設展示がまた、イイのですよー。常設展示だけで一つ記事が書けてしまう!ということで、今回とは別の記事で書きたいと思っております。

館内で見逃せないもの

しつこく書き続けていますが、いきなりクイズです。ヨックモックミュージアムを訪れた時に、館内で見逃せないもの、それはなんでしょう?

わかりますでしょうか?
そう、デザインされた館内のサインシステム、です。しかもセラミック作品を収蔵している美術館だから、陶器で作られているのです。曲線のやさしさがかわいい。このサインたちも作品ですよね。しかも、東京2020オリンピックのピクトグラムを手がけたデザイナーさんのデザインに、京都の陶芸家の方が制作されているというこだわり。脱帽です。
美術館を訪れた際には、作品のみならずサインも必見です。


最後に

ここまでの長文を読んでいただき、ありがとうございました。
私はヨックモックミュージアムを訪れる度に、作品・空間から、楽しくなるパワーをもらって、ルンルンと帰路につく、というお決まりのパターンが続いています。myパワースポット。
そして今回の展覧会でも、ピカソの、あるものに別のあるものを見立てるという遊び心に触れて、楽しくてたのしくて、館内では終始ニコニコして(ニヤついて)いました。完全にピカソの遊び心を自分の中に取り入れた感じです。
また、ギャラリートークに参加したことで、「ピカソについての知識が深まったこと」+「もっとピカソを知りたいと思ったこと」+「見立て文化が好きだ、と再確認したこと」の3点が大収穫でした。
気になった方はヨックモックミュージアムへゴー・ゴ・ゴーです!

※ギャラリートークや講演会、ラーニングなどの詳細は公式サイトをチェックです。
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https://yokumokumuseum.com/

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