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「ミラー効果って知ってる?君、僕のこと好きでしょ?」「そういうの無理なんだよね。」


清々しい春の日の朝、私は約1ヶ月前に浴びた最悪な言葉を思い出していた。

それもそのはず、物書きの彼が、昨夜更新した短編の中で、嫌なキャラクターに私の苗字をあてていたのだ。

確かにあなたの言葉は魅力的で、そんな風になりたくて、意識してしまっていたけど、決して真似したわけでも、邪な気持ちがあったわけでもない。

求められたら言葉の感想を伝えたり、電話したり、写真を送ったりした。決して一度きりの関係じゃなかったし。

私は彼を100%善の気持ちで慕っていたのに、それ以来、音信不通になってしまった。


そんなことを思い返しているうちに、いつも起床する時間を20分も過ぎていることに気づく。

慌ててベッドから出て、簡単に化粧を施そうとするが、悲しみと怒りで動揺しているのか、手鏡を割ってしまった。

ああ、ほんと最悪。

時間はないけれど、鏡が割れるなんて不幸だし長く手元に置いておけないと思い、手早く袋に包んで、家をあとにした。



夜になり、朝の感情も忘れたころ。

帰り道、ゴミの収集場所に今朝捨てたはずの小さな袋と大きな張り紙があるのが見える。

〔割れ物は今日回収されません。持ち帰ってください。良心があるのなら。〕

堂々とした字。ルールに則った正義の指摘。
訴えかけるかのような表現。

一瞥して、「ああ、そういうこと。」と思い、
私はその場をあとにした。

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