吉本 康介

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    競技プログラミングで出題された問題を、なるべく数学モデルに沿って詳解。

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小学校のかけ算の順序問題における対立の構造

小学校のかけ算の順序は、かけ算の定義に起因している。したがって先に定義を確認し、その批判と反論についてまとめ、なぜ対立が起きるのかを思案した。 かける順序はどこから来るのか?小学校でかけ算は、九九、整列したモノの個数、同数累加、面積といった問題で現れる。 かける順序が問われるのは、九九と同数累加である。 実は、小学校のかけ算は、同数累加として定義されている。 (理由は、九九との相性が考えられる。) ある教科書におけるかけ算の説明 教科書を手掛けている新興出版社啓林館のサ

    • 線形、非線形の本当の意味

      2つの間違った説明線形とは、 目的変数が、説明変数の一次関数で表される 目的変数が、説明変数の一次式で表される とされるが、1は乱暴であり、2は不十分である。 線形とは関数を行列に変換できること線形代数において、線形とは、関数 f が以下の性質を持つことをいう。 $$ \begin{align*} &\text{加法性} \; &f(\mathbf{a} + \mathbf{b}) &= f(\mathbf{a}) + f(\mathbf{b}) \\ &\text

      • 確率のパラドックスの正体

        有名な確率のパラドックスの問題として、モンティーホール問題と三囚人問題がある。 この2つの問題は、「3つの選択肢があり、そのうち2つの中から1つだけがハズレだと明かされる」という共通構造を持つ。 明かされたハズレを取り除いた、残りの確率が 各々 $${\frac{1}{2}}$$ ではなく、 $${\frac{1}{3}}$$ と $${\frac{2}{3}}$$ というのが確率のパラドックスとされる所以である。 実は、どちらも正解である。 確率の求め方は2

        • オイラーの等式の美とτに代わるもう一つの案

          オイラーの等式とは美しい数式としてしばしば引用されるオイラーの等式は、オイラーの公式に円周率 $${\pi}$$ を代入することで導出される。 $$ \begin{align*} e^{i\pi} &= \cos\pi + i \sin\pi \\ &= -1 \\ \therefore \quad e^{i\pi} &+ 1 = 0 \tag{1} \\ \end{align*} $$ 5つの基本的な数学定数(0, 1, e, i, π)を含んでいることが、特筆すべき点

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          AtCoder ABC323 D問題 解説補足

          問題https://atcoder.jp/contests/abc323/tasks/abc323_d スライムの結合 サイズの種類が N 個あるスライムにおいて、 サイズ $${S_i}$$ の スライムが $${C_i}$$ 匹いる。 同じサイズ同士のスライムが結合できる時、最小で何匹のスライムにすることができるか? (ただし結合後は、サイズが 2 倍になる。) 解説結合できるスライム同士タイプ分けする スライムを全て最小サイズまで分解する > サイズが4のスライ

          AtCoder ABC323 D問題 解説補足

          AtCoder ABC330 B,C 最小値問題 解説補足

          B - Minimize Abs 1B - Minimize Abs 1 以下の数式において、 a と x の範囲 [l, r] が与えられる時、解が最小値となる x を求めよ。 $$ |x - a| \quad(l \le x \le r) $$ 解説 y = |x-a| とすると、グラフは以下のようになる。 従って a の位置がどこにあるかで、最小値が決まる。 (i) l <= a <= r ならば、最小値は x = a の時 (ii) a < l ならば、

          AtCoder ABC330 B,C 最小値問題 解説補足

          AtCoder 典型90 015問題 解説補足

          典型90問 015 - Don’t be too close015 - Don't be too close(★6) 1 から N までの整数列において、1つ以上の整数を選択する際に、どの整数もその差が K (≥ 1) 以上となる選び方は何通りあるか? 解説公式解説にもある通り、選択できない組み合わせは結合していく。 r-元部分集合 において、その元の数を $${n \lparen k, r \rparen}$$ とすると、 $$ n \lparen k, r \rp

          AtCoder 典型90 015問題 解説補足

          AtCoder ABC 290 D問題 解説補足

          MarkingD - Marking 0から番号が振られたN個のマスが並んでいる。 変数 x を次のとおりに更新し、そのマス番号に印をつけていく。 x = 0 マス x に移動する 印がついていない場合は、 x = (x + D) mod N に更新する 印がついている場合は、 x = (x + 1) mod N に更新する 2を繰り返す。 K番目に印がつけられるマス番号を求めよ。 解説定理を2つ導入する。 定理1 $${x = D \bmod N}$$

          AtCoder ABC 290 D問題 解説補足

          AtCoder ABC 108 C問題 解説補足

          Triangular RelationshipC - Triangular Relationship n以下の整数の組(a, b, c)において、 a + b, b + c, c + a が全てkの倍数であるものの個数を求めよ。 解説$${a + b = kx}$$, $${b + c = ky}$$, $${c + a = kz}$$ とおくと、 $$ \begin{align*} 2a &= k(x - y + z) \\ &= kw \end{align*} $$

          AtCoder ABC 108 C問題 解説補足