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yumipou
雲海
わたつうみの波の花をば染めかねて八十島とほく雲ぞしぐるる
わたつうみというのは海、八十島は多くの島という意味のようで、
遠くにある数多くの島々で雲が降らせている時雨では海に咲く波の花を染めることができないでいる、
と言うような情景を詠んでいるのかと思います。
一方で、古代から時雨が草木を染めるという恋愛を型取った言い方がされていたところを、時雨と波という花に置き換えてしかも時雨は波の花の色を染められず、
「時雨は波の花を染めようと欲して瀟々と降りそそぐ。虚しく降りそそぐ。さふいう憂愁と悲劇性を彼(後鳥羽院)は沈痛に歌つた」(「後鳥羽院 第二版」丸谷才一 ちくま学芸文庫)
と読み込めるようです。
さらに、それは恋愛の歌という側面ばかりではなく、八十島を廷臣とも捉えて、自分のいる隠岐島から遠く離れたところで政治や廷臣の活動が行われていることへの忸怩たる思いや不満の気持ちも添えられているのかと偲ぶ次第です。
毎度毎度タイトルと本文がまるで関係がなく失礼しております。