どこをどう見て意思決定する?
意思決定について
今まで決断に困ったことは数知れず。それなのに体系的に意思決定の仕方を学んだことはなく、なあなあで済ませてきた。
事例
ある日突然、決断しかも即決を迫られる状況に陥った。
-移動中に経由地に到着したところ、乗り継ぎ便の遅延が発覚
-乗り継ぎ便は離陸はするが目的地が悪天候で引き返す可能性あり
-夜中過ぎに目的地に到着しても、悪天候で空港からの移動手段の確保なし
選択肢はざっくり二つ。 プランA:遅延便で目的地に向かい、運に身を委ねる
プランB:乗り継ぎ便を明日に振り替え、経由地で一泊する
しかも、さらなる懸念材料が出てきた。
-経由地で翌日大規模デモ開催予定で、交通機関が麻痺する可能性あり
(プランBはホテル空港間の移動手段の問題あり)
遅延便への搭乗手続きの時間が近づき、決断を迫られる。しかも決断が遅くなるほどホテルの空きがなくなり、宿泊費が高騰する。長旅と時差ぼけの影響で判断力はさらに鈍る。その時、今度こそ意思決定の仕方を学ぼうと心に決めた。
クルー・リソース・マネジメント(CRM)
後日、日常業務で意思決定を行う人物に尋ねてみると、JAXAが提唱するクルー・リソース・マネジメント(CRM)を教えてくれた。
自分のメモは以下の通り:
a. Situation awareness
事象を分析し変化を予測(対象:機体、乗務員、外部環境、時間など)
b. Decision making
問題の特定、解決策の決定、決定後の行動の振り返り
c. Workload management
タスク配分・処理、パフォーマンスレベルを一定以上に維持(作業負荷は高すぎるとエラー増加、低すぎると脳待機状態)
d. Team building
機能するチームづくり、権威勾配、意見対立は建設的に解消
e. Communication
明確に伝え合う、理解を確認し合う
今後のためにb. Decision makingの手順をおさらいをする。
1、情報収集する(時間をかけすぎない∵行動が遅くなる、疲労で鈍る)
2、最悪と最高のシナリオを考える(あらゆる面から予測)
3、価値観に基づき優先順位をつける(大切なのは安全性/快適性/経済性/定時性/効率性?)
4、バランスを見つけ最低線を確立し現状の最善を選択する
5、決定したらフォロワーシップを遂行する(生産的、協力的に)
6、その後も決断、行動、検証を繰り返す
要約すると、
情報に基づき今後を予測し、価値観に従い折り合いをつけ、決めたら建設的に遂行する
印象的だったのは、手順の5と6だ。フォロワーシップはどの選択肢が正しいかではなく、選んだ選択肢を正解にすると決める。ただし固執するのではなく、柔軟に決断・行動・検証・提言を繰り返して完遂する。命がけの仕事で空の安全はこのように守られている。
事例の結末
結局どうなったかというと、運よく結果オーライだった。
時間切れでとりあえず乗り継ぎ便を翌日に変更した。退路が断たれた状態でホテル探しをした。空港内のホテル案内カウンターで助けていただき、デモの影響を受けない場所にある、空港ホテル間の送迎バス付きのお値打ちホテルが見つかった。空港隣接の高級ホテルに泊まらずに済み、最小限の追加費用に抑えられた。あとは自分へのフォロワーシップを遺憾無く発揮し、経由地の料理とホテルの湯船とベッドを満喫した。
事態が好転した要素は、3つあったと考える。
①情報収集はどこに行って誰に何を聞くかが肝心であること。自分で抱え込んでも解決に時間がかかる。インターネット上の情報にも限界がある。経験と知識のある人に情報を求めることで、安心感、戦略、解決スピードが格段アップする。
②優先順位を確立させておくこと。判断を下す時間を短縮できる。自分を大切にすることを目標に掲げているので、安全性と快適性を選択できた。
③バランスと中庸を考えること。とりあえず真ん中を狙っておけば最悪の事態は避けられる気がする。過去を振り返ると極端で固執した決断は後悔が残る傾向にある。状況が許せば一晩寝かせて考えるのもいい。
まとめ
このクルー・リソース・マネジメント(CRM)は仕事にも人生にも大いに役立つ行動指標となる。ミスや問題発生を避けることに注力するのではなく、ミスや問題発生はあることを前提に、いかにうまく切り抜けるか、回復力を上げるかに重きを置いているため、極めて実用的だ。
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