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ロゴマークはコンセプトから作るな

自社ブランドの話が続いてしまったので、今日は別のお話を。

先日、こちらのセミナー(オンライン)に参加してきました。

これが無料でいいのだろうか…と思うくらいには、全てのデザイナーと経営者にとって有益な情報に溢れていたのですが、特に印象的だったロゴデザインのお話をご紹介します。

セミナーの主な内容は、北海道を代表するアートディレクターの鎌田順也さんと、北見の消臭剤メーカー、環境大善の窪之内誠社長が、二人三脚で「きえ〜る」という消臭剤のブランドをリブランディングするまでのお話でした。

▼環境大善WEBサイト
https://kankyo-daizen.jp/

鎌田順也氏 プロフィール
Creative consultant / Art director
1976年北海道生まれ。
東海大学卒業。北海道芸術デザイン専門学校卒業。
2012年よりKD主宰。
札幌大谷大学非常勤講師。

きのとや、松尾ジンギスカン、トモエ 福山醸造、横浜の和雑貨ブランド 濱文様、
東京では、東京ミッドタウン デザインタッチ、BAKE ロゴデザイン、チーズのこえ、野菜のちからなど
全国の企業ブランディングを多く手がける。
食品関係のパッケージデザインの依頼も多く、商品開発からネーミングまで深く携わる。
近年では地域活性化のコンセプトワークなど行政の仕事も多く、
コミュニケーションデザインの分野まで活動領域を広めている。

https://kamadajunya.com/about/ より引用

「きえ〜る」は社内のインナーブランディングから始まり、社名変更も含め、約3年半の月日をかけてリブランディングが行われました。言葉作り・商標獲得・組織づくりなど根本から改善したことで、現在大ヒット商品へと発展しています。その成功の鍵となったのが、環境大善の会社ロゴのリニューアルでした。

環境大善のシンボルマークは、鎌田さんが提案したA案とB案のうち、B案(本命ではない方)のアイディアが採用されたそうなんです。

https://kankyo-daizen.jp/about/ より引用

当時、B案が思いつかずに悩んでいた鎌田さんは、考え事をしながら、その場にあった紙にボールペンでコツコツと何気なく黒い点を打っていたそう。すると、その点を見て「あれ?なんかこの点を繋げてキャラクターにしたら、可愛いんじゃないの?」と思いつき、今のロゴの原型が生まれたそうです。

そのエピソードについての鎌田さんのコメントがこちら

ロゴデザインはコンセプトから作ったらつまらない。偶然よくなるものがいい。無計画にできたものがいい。だから面白いんです。

マークを作るときに大切なことは、子供が模写できること。要は簡単に書けるけど唯一無二の形であることなんです。

デザインはオリジナリティではなく、アイデンティティを作っている。見たことある形で、違うものに見えるのがいい。なんだこれ、くらいの方が面白いんです。

セミナーでの鎌田さんのコメントより

超がつくほど実力派の鎌田さんでさえ「ロゴは無計画にできたものがいい」と言ったことに、正直驚きました。おそらく、私のように学校でデザインを学んできた人にとっては、コンセプト設計からロゴを考える手法などを教わっているはずなので、それをひっくり返すようなお話だと思います。

で、ふと思い出したんです。
私も以前、自社ブランド「ramgu」のロゴデザインを考えた時、コンセプトを体現しようとして全くうまくいかず、ふと偶然思いついたアイディアが採用されたことを・・・

「ramgu」のロゴができるまでの記事はこちら↓

要は、コンセプトからロゴを作ると、王道のパターンに丸く収まってしまい、それ以上に尖った面白いものが生まれないということなんだと思います。

これは佐藤可士和さんが提唱する「アイコニック・ブランディング」に近い考え方です。アイコニック・ブランディングとは、ロゴ、プロダクト、空間などすべてを「アイコン」ととらえ、「言語外言語」の力で、コミュニケーションの壁を突破していくアプローチ方法。対象の本質的価値をつかんで研ぎ澄ませ、シンプルで明快なアイコンとして提示すると、ひと目で多くの人に伝わり、非常に効果的な手法です。

当然、ロゴデザインを考える前に整理すべき情報はあります。いきなりデザインを考え始めてもうまくいかないでしょう。鎌田さんの手順を見ていてもロゴデザインにたどり着くまでに様々な角度でリサーチを重ねています。

情報を整理した上で、最終的に思いつき・偶然に任せる。
そして、シンプルで明快なロゴへとブラッシュアップする。

それが、印象に残るロゴデザインを作る秘訣だということを教わりました。


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