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葬送のフリーレンを読んで思い出した、あの場所

年末から年明け下旬まで約3週間に渡る長い長い風邪の時期を過ごした。
だいぶ症状が緩和した頃、暇つぶしにサブスクで日本のアニメを何本か観た。その中の1つが「葬送のフリーレン」。じわじわと沸々と湧いてくる様々な感情。暖かい涙が頬を伝うような、胸にジーンと残る、不思議な物語。誰もが亡き人との想い出を思い出し慈しむような。

ここ数日「葬送のフリーレン」を観たりコミックで続きを読んだりして、いろんなことを思い出していた。特に空を見上げている時に。アニメでは空が高く、人物が小さく描写されていることが多い。そんなこともあって澄んだ空のシーンを見る度に、旅の度に空を見上げていた自分を思い出していた。

フリーレンのように、「もっと人間を知ればよかった」という言葉は刺さる。私もこの年までいろんな場所を旅したが、現地で積極的にコミュニケーションをとることは滅多になく、そのため観光という観光も”ただそこにいて観ただけ”というとても勿体ないことをした。去年友人から観光で訪れる場所はできるだけガイドをつけるようにしている、だって折角来たんだから詳しく知りたい、という話を聞いた時、私はなんて無駄使いな時間を過ごしてしまったんだな、と感じた。

あ、話が別のほうに。今日話したかったのは、冒険物語にありそうな場所のことだった。ヨーロッパが好きで旅をするのは、昔からの冒険譚が好きだったからでもあると思う。城や城下町はもちろん、騎士団やお宝や、伝説や魔法なんかに関連する場所は、よく訪ねた。

つい最近訪ねたのはアイルランドで、妖精の国(たぶんレプラコーンのこと)で知られている、らしい(私は訪れるまで知らなかった)。アイルランドは絶景だらけではあったが、その中でも不思議な体験をしたのが「グレニフ ホースシュー(Gleniff Horse Shoe)」。スライゴ近郊にある神秘の山「ベンブルベン(Benbleben)」。W.B.イエーツが異界への入り口と呼んだ山。
その岩山の中にあるのが「グレニフ ホースシュー」馬蹄の名がつくように、U字の岩山に囲まれた場所だ。

Gleniff Horse Shoe

たまたまアイルランドのガイドブックで読んで、不思議好きな私としては「パワーストーン」が眠る秘境と書かれていたら行かなくては!と思うでしょ?で、実際訪れたら。。。岩山の麓に残る石の廃墟(もともとは小学校だったらしい)の裏というか背にそびえる巨大な岩々。窪んでいる部分はまるで異世界への入り口。(この山は夢の世界と関係の深い、重晶石が採掘されていたらしい)反対側を見ると滝がある。本当はそっちが異世界の入り口、と言われているらしいが。どちらにせよ、W.B.イエーツが書いた詩から始まった伝説。

当日は晴れてはいたものの、相当な強風吹き荒れる、風のぶぉーーーーという雑音にも似た轟音とともに耳に聞こえてきたのは。。。岩が、山が鳴っている。残念ながら携帯カメラでは捉えられない(あまりにも風が強すぎて)。でも山が鳴る、という現象は一緒にいたガイドさんと私しか聞こえていない。キーンというよりぐぉーんと底から鳴っている感じ。あんな体験は生まれて初めてだった。ガイドさんは何度も来てるし慣れている感満載だったが、私は感動して震えてた。

フリーレンを観た時、自分が訪れた冒険譚に登場しそうな場所や、空や風、大地を思い出していた。あの場所たちは、きっと名もない。でも、私の脳にしっかり刻まれている。いつか風化してしまう、その前に書き残さなければ、と。信じられないほど長寿のエルフと違い、私はその場所を再び訪れることはできないかもしれないが、あの時の感動を思い出しつつ、書いてもいいんじゃないかなって。そうすべきなんじゃないかって。

私の生まれ育った原風景は遮るものがない広い空と、大きな山々と、広がる田んぼと森と川だから。冒険者になるベースはできている。海外に行っても故郷へ続く空と海があり、大陸に続く広い大地(小麦だったり、トウモロコシ畑だったり、花畑だったり)がある。私が海外を海外とあまり認識せず、どこかへ道が続いていると感じるのは、この冒険者気質なのかしれない。なんか、ちょっと格好つけちゃったな。

これからも不定期で書いていこうと思う。気負わず、だらだらと、楽しく。フリーレンたち一行のように。

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ピョル/旅のインスピレーション・クリエーター
ありがとうございます。いただいたサポートは全額次回の旅費(笑)に使わさせていただきます。