ロニ・ホーン展@ポーラ美術館│自然と「わたし」の融合
「水のなかにあなたを見るとき あなたは水を感じる?」というポスターを見た瞬間に行かねばと思っていたロニ・ホーン展。ロニ・ホーンのことは全く知らなかったが、この展示を通じてよくわかった気がする。
ロニ・ホーン展の基本情報
箱根の山奥にあるポーラ美術館にて2022年3月末まで開催中。アクセスは小田急で小田原駅へ行き、そこから直通バスを使用した。モネなども常設してて、半日楽しめる素敵な美術館でした。
アイスランドの淡色が心地いい
まず最初に飛び込んでくるのがアイスランドで撮影された写真の数々。この彼女の原点であるアイスランドは、写真以外の作品、たとえばガラスやドローイングなどに影響を与えていた。どんな作品にもアイスランドの要素があった。いや、正確にいうと、ロニ・ホーンとアイスランドがまじった何かがあった。
その要素とは自然の淡さと儚さだと感じた。彼女の作品は、身体にすっと入ってくる。抵抗なく入ってくるのだ。その理由は淡色をうまく使いこなしているからだろう。彼女はそんなつもりではないかもしれないが。
水を通じて追い求める「私とは何か」
展示の中盤に、ロニ・ホーン本人が水に関する詩を朗読するビデオが流れていた。長かったが、視聴後に彼女の思想がすこし分かった気がする。
ここからは私の解釈。私たちは生まれる前から羊水という水に包まれている。(死んだら火に焼かれる対とも思う)水はもっとも身近で、不可解な存在だ。
水の不可解さは、川や海を見ているとき特に感じる。いま見ている水は何色なのか。いまある水は、次の瞬間どへ行くのか。
このうよな水のわかりらなさを、正面から捉えて向き合ったのがロニ・ホーンだった。そして水を追い求めることで、彼女自身が「私とは何か」という途方もない問いに取り組んでいた。
曖昧で白黒つけられないものは、すごく自然らしいと思う。その対極にあるのが巷にあふれる「わかりやすさ」だ。白黒はっきりしている、あるいは一目で反応ができる。
そんなインスタントな情報が溢れるいま、私たちに必要なのはロニ・ホーンが体現した「あいまいさ」と、それを通じて自我を考える行為なのかもしれない。
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