ミロ展ー彼は日本を夢みた、のか?
渋谷のBunkamuraで開催されているミロ展に行ってきた。キュレーション含めてとてもよく、90分くらい滞在した。作品を時系列で見ていくとミロの思想がわかってくる。それゆえに「日本を夢みて」という副題には違和感を覚えた。キャッチーだけど、真意ではないなと。これも含めて振り返り。(※撮影できなかったので写真はミロ展のHPから拝借しております)
いつ・どこで見れるのか
渋谷・Bunkamuraにて2022/2/11-4/17までみれるそう。ミロの世界観に合わせたキュレーションはさすがBunkamuraだった。特に壁の配色が絶妙。ミロの作品は、あの青でなくてはいけない!とすら思う。
文化村って名前を聞くとワクワクしませんか。このヒッピー感が良い。ちなみに名前の由来は東映太秦映画村らしいですよ
誰もみたことのない作品の数々
初期の作品は西洋の油絵に他の要素が足されたような印象だったけど、中期以降は「ミロが生み出した、誰も見たことない作品」だった。
個人的に一番よかったのがマジョルカシリーズ。版画の逆手をとっていて、はっとさせられる。
ミロについて考えたこと
彼は「上手な絵を描きたい」と思ってなくて、ただ楽しんでいた。創作は彼にとっていきがいだった。彼自身も「絵と詩はおなじ」という言葉を残しているだから焼き物やカリグラフィにも手を出していったのは当然だろう。
「イイ」と思ったらすぐ自分のものにするのも特徴だった。そこで彼の琴線に触れたのが日本文化。興味深かったのは、彼が訪日する前後では作品における日本の立ち位置が異なる点だった。
訪日前はとにかく浮世絵の要素を取り入れていて、「異文化としての日本」だった。一方で訪日後の作品はミニマル化している。一筆書きだったり、余白で遊んでいたり。この変化は「彼が日本の侘び寂びを体感したから」といえるかもしれないけど、個人的には「ただ書道が良かったから」ってくらいシンプルな理由だとさえ思った。
展示ではミロが受けたインスピレーションの数々も楽しめる。浮世絵や蒔絵、民芸品など。こうしてみていくと彼は「日本を夢みて」いたわけじゃないと思う。「夢をみる」、つまり日本に憧れていたのではなくて、日本を「自分のものにした」のだと思う。(ミロの作品はたとえばラスコーの壁画やナスカの地上絵、あるいは子供の頃につくろうとしてた「自分だけの言葉」と似ているんだよなぁ‥これ、わかる人いるかしら)
ミロの色使いを感じられた点からも、生で見れてよかった。ポストカードはどうしても色がくすんでいて、これじゃないんだよ〜と思ってしまう。
この絵は温泉街のお土産って感じで好みだったのだけど、ポストカードだと色合いが全然違う…また本物をみたいな。
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