残念ながらこの10年でメディアは変わらなかった │ 内田樹『街場のメディア論』

本著は2010年に出版された。当時のメディアの問題点を「匿名性と無責任」として語っている(ように私は読んだ)。

メディアは「みんながこう言ってる/考えている」と報道する。大衆が聞きたいことを耳障りの良いワードで伝える。そうすると大衆の考えは「作られて」いく。たとえば競争社会の仕組み。大学に行って大企業に就職することが素晴らしいという認識。これらは無意識的に作られたものだった。

言葉の語源は「ことの花びら」だという。対象物(=こと)を見る人が、自身の形で表したものが「ことば」なのだと。そうであれば、メディアの言葉とは誰のものなのだろうか。言葉とは表現者の存在があってのものだ。書き手の考えや意見、想いがあってはじめて意味をなす。

今日の大衆メディアは表現者が存在するのか?残念ながらそう感じることは多くない。未だにメディアはビジネスで、消費者の耳障りがいいことを報道する。SNSの普及でメディアの分布は変わったかもしれないけど(そこはあまり詳しくないから省略)


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