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人の心を動かす〜『「ついやってしまう」体験のつくりかた』を読んで〜

みなさんこんにちは!舘野ゼミ3期生のさなです!
2023年が始まったと思えば、あっという間にもう2月。
展示会の記事が立て続けとなっていましたが、今回は舘野ゼミで扱った課題図書
『「ついやってしまう」体験の作り方』の記事をレポートします!


ところで皆さんは、自分の想いが上手く伝わらないといった経験はありませんか?例えば、説明した内容が思うように伝わらなかったり、懸命に企画・計画したモノの魅力が伝わらなかったり。
私もこのような経験で悩んだ1人でした。

ビジネスにおいても「どんなに便利で役立つ商品・サービスでも売れてくれない!」という話はよく耳にします。

誰かの心を動かしたい、分かってほしい、行動させたい!
そんな想いに応えるのが、「人の心を動かす体験デザイン」について記された本書『「ついやってしまう」体験の作り方』。

舘野ゼミでは、ゼミ生一人一人が体験型ワークショップや展示会を1から作り上げる経験を通して"場作り"というものを実践的に学んでいます。
今回は、そんな舘野ゼミの1人である私が本書を紹介していきたいと思います!



はじめに


作者は以前任天堂株式会社に勤めており、あの世界で1億台売れるヒット商品となったゲーム機「Wii」のエバンジェリスト(伝道師)と呼ばれた玉樹慎一郎氏です。
彼は、「ゲームはどうやって人の心を動かしているのか」という議論・分析・研究を重ね、商品企画に生かしていたそうです。そして、任天堂退職後も、企画の専門家として様々な企業・団体が企画を考えるサポートをするにあたり「心を動かす体験のつくりかた」を実現させてきました。

本書ではそんな著者による「体験デザイン」が、実際のゲームを用いながら「直感のデザイン・驚きのデザイン・物語のデザイン」の3種類に分けられて説明されています。

今回は、私が最も印象に残った「驚きのデザイン」の一部を紹介したいと思います。


夜な夜な遊んでしまうゲーム”ドラクエ”に隠された
つい人を夢中にさせるデザインとは

ここでは、プレイヤーが物語の主人公になって遊ぶロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズが取り上げられています。誰でも遊べる親しみやすさが人気ですが、ゲームの画面は文字や数字ばかり。おまけに専門用語や独特なルールが飛び交い複雑なゲームのように思えます。しかし、そんな複雑さに関わらず、夢中にさせて眠気を我慢してまで遊び続けさせてしまう。その秘訣は、特定のタイミングで「驚きのデザイン」が組み込まれているからです。

その鍵を握るのが、なんと”ぱふぱふ”!! 

”ぱふぱふ”の登場には二つの意図的な意味があります。

1. 予想を外させる


一つ目は、プレイヤーがゲームをしていく中で生じる「飽きや疲れ」の軽減効果としての意味があります。
とはいえ、ただ”ぱふぱふ”を登場させれば良い訳ではなく、特定の心理状態でしか効果を発揮しません。
予想外のものが目の前に現れた時、私たちの心は「疲れや飽き」より「興奮」が高まります。細心の注意を払ってそのタイミングを見計らうことが重要です。

”ぱふぱふ”はボタン操作の習得後や戦いの後に登場させられています。
つまり、同じ刺激が何度も繰り返されたタイミング。
そして、シリアスな冒険物語としての世界観が事前にしっかりと描かれていて、プレイヤーがその世界観に入り込んでいる。「ぱふぱふのようなくだらない話が出るはずない」と思わせた時、ぱふぱふは初めて意味を持ちプレイヤーの心を掴むのです。

2. 人は適度なタブーを好む

二つ目の効果は、”ぱふぱふ”の性的な演出でタブーを登場させること。
平穏な日常生活の中で表立って登場してはならないもの。
それが”タブー”
そして、そんな非日常的な感覚を味わわせてくれる”タブー”は
私たちの生活のスパイスにもなり得ます。

まして、ゲームの中で”タブー”が登場するなんてプレイヤーにとって予想もしないこと。

そんな”タブー”の登場は強力な、予想を外させるデザインなのです。

ここでのポイントは「このゲームは〇〇だ」「タブーは現れないはずだ」
という二つの思いこみを同時に裏切る演出を施すこと。



おわりに

以上二つの”ぱふぱふ”を用いた「驚きのデザイン」を紹介させていただきました。
記事の中のイラストは全て3期生のみのりが描いてくれました。
みのりはノート係にとって欠かせない逸材です!いつもありがとう。

今回の内容はほんの一部で、本編では身近なゲームという切り口で、人間の認知や考え方の仕組みを分かりやすく解説した上で、沢山の「体験デザイン」が紹介されています。

そのため、様々な場面で応用の効く学びが沢山ありました。
また、私自身、クリエイター側の視点を知ることで、映画・ワークショップ・イベント・広告などの見方も大きく変化しました。

最後に、「体験デザイン」を実際に用いたゼミ生の活動を紹介したいと思います。

〜とある授業で”パンツ”をコンセプトに真剣にプレゼン〜
タブーの登場でとても盛り上がっていました(笑)

また、世界観や場作りにこだわった展示会「た展」の様子も、前回の記事で紹介されているので是非のぞいてみて下さい。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
この記事を読んで、「体験デザイン」の面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
そして、ぜひ本編をお手に取ってみて下さい!

来月は別の書評投稿の予定ですのでお楽しみに!

立教大学 経営学部 舘野ゼミナール3期 梅内彩菜美


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