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腰痛によるプレゼンティーズムに対して理学療法士ができることを考えてみた

お疲れ様です。企業に貢献する理学療法士、金子高澄です。

”腰痛”…これはきっと経験したことがありますよね。
もちろん私もあります!
国民生活基礎調査においても、男女ともに有訴者率1位であり、多くの方が悩まれているのではないでしょうか。

2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 性別にみた有訴者率の上位5症状(複数回答)

健康経営 オフィス レポートでは、プレゼンティーズム(出勤はしているものの健康上の問題によって完全な業務パフォーマンスが出せない状況)に影響を及ぼす要因の1つとして腰痛があげられています。

健康経営 オフィス レポート

また、産業医科大学の永田智久准教授らが2018年に発表した、日本人12,350名を対象にした研究によると、労働者の生産性低下のTOP3は、1位が首の痛み・肩こり、2位が睡眠不足、3位が腰痛という結果でした。
出典:Nagata T, et al. Total Health-Related Costs Due to Absenteeism, Presenteeism, and Medical and Pharmaceutical Expenses in
Japanese Employers. J Occup Environ Med. 2018;60:273-280.

このように腰痛はプレゼンティーズムの主要な要因の1つであり、企業で働く社員さんの労働生産性を向上させる為には、対策をしていく必要があります。


【理学療法士が腰痛の方と関わるポイント】

⚫︎危険な腰痛かどうかチェック

腰痛が出ると病院やクリニックに行って、画像検査や医師の診察を受けることがあります。ただ、そこで原因が特定できるのは15%と言われており、残りの85%は原因がはっきりわからないと言われています。

理学療法士が、企業で働く社員さんの腰痛に関わるときは、病気かどうかということより、業務で困るかどうかというところを念頭に置かなければならないです。
とはいっても、実際に危ない病気、例えば『脊柱管狭窄症』や『骨折』、『がん』などが潜んでいるかもしれません。
そんなとき、社員さんからヒアリングしながら、確認していくのが、”レッドフラッグサイン”です。これらの項目を探りながら危険な腰痛ではないかチェックしていきます。

出典:日本理学療法士協会 産業理学療法部門 職業性腰痛予防講師育成研修会2017

⚫︎腰痛の要因を探る

身体の痛みには、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛という3種類があります。

侵害受容性疼痛:皮膚や筋、骨などの組織への刺激による痛み
神経障害性疼痛:神経に損傷や圧迫があるときの痛み
痛覚変調性疼痛:侵害受容性や神経障害性の要因がないのにも関わらず、生じる痛み

また、痛みを期間で捉えると、発症後数日から数週間の急性痛と、3ヶ月以上続く慢性痛に分けられます。

腰痛の要因を探っていく時は、痛みの種類や期間を始め、どのような時に痛くなるか、どうやったら楽になるか、どれくらい続くか、痛い時どう思うかなどをヒアリングしていき、解像度を高めていきます。
そして何より重要なのが、腰痛によってどのように仕事に支障が出るか、または、どのような作業で腰痛が出るか、どんな危険がありそうかということです。業務を念頭に置いた上で、腰痛の要因を探っていくことが大切になります。

【腰痛によるプレゼンティーズム対策】

労働人口の減少や労働者の高年齢化により、腰痛はますます増加してくることが懸念されています。
”病院へ行くまでではないけど腰痛ある”という方はまさに、プレゼンティーズムに繋がります。

理学療法士ができることは、企業や部署特有の作業環境や作業内容による腰痛を早期に対策して、重症化や慢性化を予防していくことです。その為には、その企業の理念や風土、現状の取り組みを認識しながら、オーダーメイドの対策をしていくことが求められます。より早期に企業や部署、社員さんにフィットした対策を講じ、プレゼンティーズムを改善していくことが重要です。

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