ハイデガーはビジネス本に搾取されがち



ハイデガーは、非本来的に生きることや世俗的に凡庸に生きる人間を「ダス・マン」と呼んだ。
要するに、社会が要求する課題や期待に左右されて行動する人間を、非本来的に生きる人間と定義づけた。
対して本来的に生きるとは文字通り、自分の本来の価値観に基づいて生きることである。
自分は哲学者でないので、浅い見解で申し訳ない。
では、ハイデガーが言うように、本来的に生きるにはどうすればいいか?
「メメント・モリ(死を忘れるな)」である。
死を忘れないことによって、社会の喧騒を離れ、自己の存在を見つめ、行動する。
それは「死への先駆」とも言われる。
これがなんともクソビジネス本と相性がいい。
ビジネス界隈の成功は文字通り、経済的成功を意味する。
ビジネスで成功するために徹底的に無駄を排除し、本来的(のように振る舞う)に生きる。
ビジネス本は必要に応じて著名人や偉人の名言を引用してはその薄い本を飾りつける。
そして彼らはハイデガーの名言を借りて言うのだ「メメント・モリ(死を忘れるな)」と。
ビジネス系の人間はまず前提をあまり疑わない。
それは「仕事=人生」という点においてである。
そもそもハイデガーの考え方は、仕事も含めて、それら全体、ひいては社会を問い直す思想だ。
それを鑑みると、ビジネス本に応用されるのは凄くモヤモヤする。
仕事やビジネスとはある意味で非本来性の集積だ。
まあ、仕事に対しての姿勢は色々な見方があるので、僕の見方が正しいとも言えないが。
結論を言うと、ハイデガーを引用して人生の根本を問うなら、まずビジネス系の価値観一択を問わなければならない。
そしてそれが社会的価値観やその近辺のインフルエンサーに踊らされていないかと考え、自らの本来性を問わなければならない。
ハイデガーはなんかビジネス本に悪用されがち。

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