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滅びの前のシャングリラ|世界をちょっとひろげるオススメの本⑬

知っているようで知らないシャングリラ。シャングリラとは…、理想郷やユートピアを意味する造語(ぞうご)とのことで。ボクは聞くと、電気グルーブやチャットモンチーの歌を思い出してしまいます。

売り場からベストセラーをつくるを信念として、書店員の投票だけで選ばれる「本屋大賞2021」のノミネート作品を全制覇しようと進めていて、今日は3つめの作品の感想&紹介をさせていただきます。紹介ルールは「ネタばれなし&amazon上位レビューとの比較を入れる」の2点です。

本屋大賞

今日は、本屋大賞2020で大賞に輝いた「流浪の月」の作者、凪良ゆう(なぎらゆう)さんの「滅びの前のシャングリラ」についてです。

あらすじ--------------
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。

Amazon上位レビューと感想の比較

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1か月後に滅びゆく地球という設定は、やっぱり先行き気になってしまいます。そこだけで、ボクは最後まで一気に読み進めることができました。レビューでは「読み進めることで、その物語の展開が露わになって行くと、あまり面白くないので、みごとに裏切られた感じ」とあります。

あくまで、想像ですが、「地球が滅ぶこと」という非日常かつ壮大なスケールな事象に対して、通常想像するであろうスケール感そのままに読み進めると、「みごとに裏切られた感じ」なのかも。地球滅亡なんて、パニック&ハリウッドな響きもあるし。笑

ボクも、レビューを書いたかたと少なからず、同じことを感じました。でも…それが緩和されていたのは、

滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作。

と書いてある帯を見ていたからかも。あとは「流浪の月」を読んでいたからかもな。

書きあがるのに2か月かかったラスト3ページ

レビューの方が、「作者がこの作品をどのような意図をもって作ったのか?」とギモンを感じていらっしゃって、それは気になると自身も思い調べてみるとインタビューがありました。

「生きてるのが楽しい」と思いにくい空気が最近は濃厚すぎると感じる

全人類が滅亡するという圧倒的な絶望を目の前にした、そのとき。その描写、ラスト3ページを書き上げるのに2か月もかかったそうです。

楽しい、幸せ、それってどんなことでしょうか?

難しいことではないようで、現代においては難しいことなのかもしれない幸せ、作者が2か月もかかったというラスト3ページをみなさんも確認してみませんか?

あ、インタビューを読んで分かったのですが、作者は、チャットモンチーにインスパイアされたそうですよ!

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(ここからは、ボクなりの幸せの解釈)

この本から感じた幸せの解釈は「死にたいと思わないこと」です。通常「死」というのは目の前に鎮座していないので「生きたい」と思うことはあまりありません。逆説的に考えれば、「死にたい思わないこと」が実は幸せなのかもしれないなと思いました。

毎日ご飯が食べれること、妻や子供の顔が見られること、対価が得られる仕事があること、本を読めること、Youtubeを見れること、季節がめぐること、音楽を聴けること、コーヒーが飲めること、友人がいること、酔えること、noteがあること。

当たり前なようで、分かりづらいけれど、それぞれ1つ1つが小さな楽しみで、そんな楽しみがあるからこそ、今すぐ死にたいと思わないのかもしれないと思います。

人生の解像度をあげて、死にたいと思わないで生きることそのものが幸せなのかなと思いました。

(BIGHIGH)

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