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52ヘルツのクジラたち|世界をちょっとひろげるオススメの本⑭

みなさん、野生のクジラって見たことありますか?ボクは二度あります。一度は、まだ20代の時。千葉の思い出ある海岸をたまたま訪れたとき、ものすごい刺激臭(マジくさかった…)とともに、砂浜に10メートル以上ある黒い塊。打ち上げられたクジラでした。シャベルカーで掘られた穴に、シャベルカーでガンガンに押されて、ぶよんぶよんしながらゴロンと穴に落ちていく姿が衝撃的でした。今まで生きてきた中で、一番「大きな」死でした。

二度目は沖縄で妻と。ゆったりと泳ぎ、潮をふきあげ、ダイナミックに跳ねる姿に、「うぉぉぉぉぉ!」と叫び、広い海でクジラに遭遇できたことに生命の神秘を感じたのを覚えています。

クジラを思い出したのは…本屋大賞2021ノミネート作品の中から、前回ご紹介した「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう先生も絶賛の「52ヘルツのクジラたち」を読んだからです。

あらすじ----------------------------------
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

52ヘルツで鳴くクジラ、本当にいるらしいですよ!

さて、Amazonのトップレビューです。

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怒号が聞こえる。隣の壁から。

「なんで、いつもできないんだ!」
「また約束を破って、俺を裏切るのか!」

そして、泣く声。
頻度はまちまちだが、相応に多い。

…実際、たとえその声らしきものが聞こえていたとしても、手を差し伸べるのは容易ではない。そもそも隣の壁に聞き耳を立てていいのか?すれ違う度じっと見つめるが、親は目をそらす。どこまでどう干渉していいのかわからなくて、踏み出すのが難しくて、できることは笑って挨拶をすることくらい。

「こんにちわ」と笑って挨拶を返してくれる。

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本を読んで印象的だったのは、主人公の親友・美晴。ムシの境遇を知り、自分の母親を「いいひとだったんだなあ」とつぶやく。ボクもその通りで、愛情とは程遠い胸の痛くなるような話を読んで感じたのは、自分が両親に、周りの人々に、愛を注いでもらっていたんだな…ということでした。

子どもは所有物ではない。
だから思い通りになるなんて思っちゃいけない。

子どもは時間やお金を奪うものではない。
それ以上を与えてくれています。

子どもは、れっきとした1人の人間。

甘やかすでもなく、突き放すでもなく、自分のためではなく、子ども自身のために。自分に宿っている愛をつないでいかなきゃと強く感じた本でした。

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もし、その愛情が連鎖するのであれば、いつかは声にならない声がボクにも聞こえる時がくるかもしれない。だから、また話しかけよう。隣のあの子に。いざっていうときに、その声が聞こえるように。

(BIGHIGH)


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