診療情報管理士 | 基本業務 ②診療情報を安全に管理する業務
今回のテーマは
診療情報管理士の基本業務
②診療情報を安全に管理する業務
ついてお話ししていこうと思います。
前回もご紹介しましたが、基本業務の説明に入る前に大前提として覚えておいてほしいことがあります。
日本診療情報管理学会では、診療情報管理士の主要な業務を指針としてまとめて公表しています。
〈診療情報管理士の基本業務〉
①診療情報を体系的・一元的に管理する業務
②診療情報を安全に管理する業務
③診療情報を点検する業務
④診療情報を有効に活用する業務
⑤診療情報を提供する業務
診療情報管理士業務指針や各種法律に基づき、
病院ごとに診療情報管理業務規程を作成します。
各病院の規定に基づき運用されるため、大枠は同じですが、病院ごとに運用が多少異なることもあります。
詳しくは下記「診療情報管理士業務指針2021」を参考にしてください。
https://jhim-e.com/pdf/data2021/guideline2021.pdf
診療情報管理士業務指針の話を踏まえて
②診療情報を安全に管理する業務
となっており、診療情報は安全に管理する必要があります。
まず、診療記録や診療情報は患者の個人情報であり、紛失や情報の漏洩があってはならないことや診療記録の取り違いや誤認がないようにしなければならないことを前提として考えていく必要があります。
診療情報を安全に管理するにあたり、次に説明する4つのことが重要になってきます。
1.診療情報を安全に管理する業務
2.貸出方法
3.貸出の際の諸注意
4.医療事故発生の際の対応
順番に見ていきましょう。
1.診療情報を安全に管理するための具体的な業務内容として、
①診療記録または診療情報は、
「1患者1診療記録」の考え方で一元的に管理する
②診療記録の取り違いが起こりにくい保管形式であること
③診療記録の盗難や診療情報の流失・漏洩を防止する仕組みで運用すること
④診療情報へアクセスする権限を明確にし、患者情報のコピーやダウンロードができない仕組みにすること
⑤診療記録の所在を常に把握できるようにし、閲覧や貸し出しの規則に則り適切に運用すること
⑥重複処方や重複検査が回避できるように他科の処方や検査に関する診療情報が参照可能とすること
2.貸出方法
貸出方法は下記いくつかの種類があります。
3.貸出の際の注意
・診療目的で貸し出す場合には、他の業務より優先的に診療記録の出庫をするべきである。
しかし、診療以外の研究目的の場合には、紛失防止、個人情報保護の観点から利用の制限を考慮することが必要である。利用の際は、閲覧室に限定することが望ましい。
・貸し出し可能期間をあらかじめ定めておき、期限を過ぎた場合には督促を行うことが望ましい。
・貸し出しの際は利用目的を申請してもらう必要がある。
・原則的には貸出可能期間は1週間以内にしておくことが望ましい。
4.医療事故発生後の対応
医療事故が発生した場合には、まずは記録より先に最善の処置を行い、患者及び家族に対して説明したうえで記録して医療事故の報告を行う。
〈医療事故発生後の記録に関する注意〉
1)初期対応が終了次第、速やかに記載すること
2)事故の種類、患者の状況に応じてできる限り時系列に記載を行うこと
3)事実を客観的に記載すること(想像や憶測に基づく記載は行わない)
【入力すべき内容】
①事故後の状況
②診察した事実(処置の方法)
③事故によって発生が予測される問題点
④事故による問題点に対しての治療計画
⑤本人及び家族のへの説明、反応(誰にどのような説明をしたか)
4)記録は関係職員全員により確認し、追加・訂正の必要がある場合には適切に行う
以上が診療情報を安全に管理するにあたり、重要な項目となります。
最初にも説明した通り、診療記録や診療情報は患者の個人情報であり、紛失や情報の漏洩があってはならないですし、診療記録の取り違いや誤認が
あってはならないということが大切です。
堅苦しくなってしまったかもしれませんが、
少しでも理解していただけていれば幸いです。
ご質問又はご指摘等がありましたらコメントしていただけると助かります。
それでは!^^*