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診療情報管理士 | 基本業務 ③診療情報を点検する業務

今回のテーマは
診療情報管理士の基本業務
③診療情報を点検する業務
ついてお話ししていこうと思います。
基本業務の説明に入る前に大前提として覚えておいてほしいことがあります。

日本診療管理学会では、診療情報管理士の
主要な業務を指針としてまとめて公表しています。

〈診療情報管理士の基本業務〉
①診療情報を体系的・一元的に管理する業務
②診療情報を安全に管理する業務
③診療情報を点検する業務
④診療情報を有効に活用する業務
⑤診療情報を提供する業務

診療情報管理士業務指針や各種法律に基づき、病院ごとに診療情報管理業務規程を作成します。
各病院の規定に基づき運用されるため、大枠は同じですが、病院ごとに運用が多少異なることもあります。

詳しくは下記「診療情報管理士業務指針2021」を参考にしてください。

https://jhim-e.com/pdf/data2021/guideline2021.pdf

診療情報管理士業務指針の話を踏まえて
③診療情報を点検することとなっており、
診療情報の点検をすることで病院の質が保たれています。

診療情報の点検業務とは、行われた医療行為、それに伴う記載内容かを判断します。
ピアレビュー(同僚評価)として、病院が任命する医師や看護師チームとなって、行うことがあります。
点検業務として量的点検と質的点検があり、順を追って説明します。

まず、量的点検とは記載の有無に関する点検のことです。
※紙カルテ・電子カルテ、どちらの場合も以下に準ずる
①手術記録や説明同意書の記録など、備わっているべき記録の欠落の有無
②記載者の署名や日付など記載が決められた項目の不備
③記録が定められた順序に整備されているか
④不必要な記録や、他の患者の記録混入の有無

次に質的点検とは記録の精度や質に関する点検のことです。
①傷病名と処置・手術・処方などの医療行為、各種同意書など記載内容の整合性がある
②診療のプロセスが第3者や患者にわかる記録である
③医療従事者間の記録内容に食い違いや乖離がない
④多職種にわかるよう情報の共有化のために外国語や略語の乱用がない
⑤提供された医療の質的水準が適切であり、医療安全上の問題がない
⑥「予期せぬ集中治療室への搬入」、「計画後の退院後早期の再入院」、「予定より大幅に入院期間が長期化した要因」などの指標を設定し点検評価する

点検の手順として以下のものがあります。
①診療記録を院内統一の綴り順に並べる
②診療記録の用紙の欠落と内容の不備はないかを点検する
⇒不備があった場合でも管理士が書き換えたりせず、担当者に修正を依頼し不備を直してもらう

点検の注意事項として以下のものがあります。
・綴り順は法的に規定されているわけではないので、院内で統一することが望ましい。
・左右が正しいか、手術を行っている場合に手術記録が作成されているか、同意書や説明書はあるかなどを点検する。
・訂正箇所があれば、主治医または記載者に訂正を依頼する。診療情報管理士が修正をすることはできないので注意する。
・記載時はペンを使用し、修正が生じた場合は2本線で行う。修正液は行わない。修正前の記載内容をわかるようにすることが重要である。
・慢性疾患指導料を算定した場合、ゴム印を押印するだけでは不十分である。指導内容や治療内容の記載も必要である。
・診療をした場合には必ず記載が必要となるため、異常がなければ「異常なし」と記載する。
裁判の場面では、記載がなければ、何も診療していないと解釈されるため、異常がなかったから何も記載しないというのは通用しない。
・診断名と他記録(検査結果など)の整合性のチェックも行う。

以上のことを踏まえて、診療情報を適切に点検する必要があります。
診療情報管理士の業務の中で点検する業務はとても重要な項目となります。
特に量的点検と質的点検は診療情報管理士の日常的な業務内容となりますので覚えておきたい内容です。

今回は診療情報の点検についてご説明しました。
ご質問又はご指摘等がありましたらコメントしていただけると助かります。

それでは!^^*

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