誰かの日記3
木蘭がはなひらくと春が来たという感じがする。
近所のちいさな公園、行きはいつも違う道を通るのだが、帰りはたまにこの公園の脇を。夜の白い照明のなかに白い大ぶりの花。ぼんやりと眺める。花が咲かないと木蘭だと気づかないほどには樹木に疎い。なんかすごい寂しい歌を思い起こす。寂しい歌だと思ってるのは自分だけかもしれないが。なんせ他人は自分ではない。
駅で夢の国のキャラクターのパーカーを着た女の子とすれ違った。ピンクベージュのふわふわ、フードに耳とりぼんがついて、ポケットは肉球。裾にまるい尻尾。キャラクターをかたどる肘あて。わたしと知らない少女、お揃い。去年、ではないもう一昨年になるか、夢の国で友人だったひとと一緒に同じものを買った。行きたいと自分から言い出したそのひとは彼の地を全く楽しまなかった。お金を使うばかりだとずっといらいらして、とても可愛いのにあまりいい思い出の付かなかったそのパーカーをわたしはいつまでも部屋着にしている。あまり良い気分にならないものは断捨離すべきなのだろうけれど、わたしの中のひとはまだ持っていたいようだ。
もう3月も半ばを過ぎて、気温はかなり上がったというのに炬燵もエアコンもつけるという、なんて贅沢。きらきらしたことばたちが並んだ他人の綴る文章を読んできらきらした気分に浸る。こんなきらきらたちがわたしの指先から生まれることは今後あるのだろうか。過去と今と現実をただ言語化して自分好みに整える。
休みになったらスカイツリーに行こう。
(もくれんの漢字は「木蘭」だとずっと思っていて、ここでもそのように入力したのだが、このラップトップは「もくれん」で「木蓮」と変換。蘭の方は変換候補に現れず、ひらがな二文字に分けて入力しなければならなかった。間違っているのかと思って調べたら両方使えるようだったが、なんで変換候補に入ってないんだ?)
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