何度行ってもいい、アートと自然で心洗う箱根
10月半ば、母の「舟越桂展を絶対に見たい」という唐突なLINEをきっかけに、ちょっと早いのだが還暦祝いを兼ねて二人旅へ。
旅行感を出すためにお昼前に新宿からロマンスカーで向かうことに。母から前日に「お昼はデパ地下で買っていくから!」とのことだったので、期待しながら合流。
発車と同時に待ちきれず開けると、目を見張るほど鮮やかで思わず声を上げてしまう。しかも、座席の机からはギリはみ出すくらいのボリューム感。その華やかさと大きさに母の今回の旅の期待感が現れている気がして嬉しくなる。そして、健康第一の野菜モリモリお弁当を食べながら、いつまでも私の身体を気遣ってくれているんだなと思い知らされたりもした。もう私が気遣わないといけないのに。
近況をつらつら話しているとあっという間に箱根湯本駅に到着し、登山鉄道へ乗り換えて強羅駅に向かう。着いたとたんに明らかに涼しすぎて、五分袖にジャケットを羽織っただけだったのでかなり後悔した(この後美術館のショップでスウェットを探すも見つからず…)。
ポーラ美術館
強羅駅から循環バスに乗りポーラ美術館へ。お目当ては「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空」という展示。
映像やバルーンなど表現が多方面にわたっていた。現代芸術って難しいよな、と思って臨んだけど音の心地よさとか映像の神秘さとか、深く考えずともその面白さに素直になれた。
箱根リトリート före
いつか目の黒いうちに絶対行きたいと思っていたホテル。お祝いを口実に夢がかなった。やっぱり色々こじつけてでも、やりたいことはやらないと。
チェックインの際にスタッフの方が「たまに鹿が訪れるほど自然が豊かなんですよ…」と説明されていて、すかさず母が「ってことは熊もいますか?」と質問していた。なんで積極的にそんなこと聞くんだろうか。ちなみに、ホテルの近くで目撃されたことはあるそう。
ウェルカムドリンクをいただくスペースには本棚があり、そこで以前おすすめされて気になっていた茨木のり子の『歳月』という詩集を見つけた。東京の本屋で探してもなかったのに…。ただ、母との旅行で出会ったことに意味を感じてしまう。
ゆっくりとお茶を飲み、お部屋に向かおうと外を出ると普通に鹿が草食ってました。
あ、ただ単に自然をアピールされてただけではなかったんだ。…ってことは熊も0じゃないな!?と思い、急に背筋がぞっとした。
肝心のお部屋は大きな窓から日が入り、とても気持ちがよい。テレビもないため夕飯まで備え付けのスピーカーから音楽を流してぼーっとしていた。夏でもなくまだ秋ともいえない、色づく前の紅葉が青々と茂る様子をあたたかい部屋から眺めるのは贅沢この上ない体験だった。
待ちに待った夕飯はハロウィン仕様のコース!芸が細かい上に、どれもおいしかった。
今回あまり温泉をメインにしていなかったのだが、さすがは箱根。冷えた体がどんどんほぐれていく。おなかいっぱいで露天風呂に浸かりながら、「これが幸せなんだ」と確信した。
箱根 彫刻の森美術館
2日目の予定は、今回の旅の目的である彫刻の森美術館に行くことだけ。
大好きな朝食ビュッフェで精気を養い、チェックアウトまで窓際のソファでのんびり。満喫し尽くした。
ホテルからはバスで20分くらいだったと思う、森から森へ。
母念願の舟木桂展。作品の像は、遠くを見つめる冷たい眼差しとその柔らかさに生命を感じるフォルムのギャップが不思議。背面もすごく素敵で、写真ではなく間近でじっくり見ることができてよかった。
小さい頃に祖父母も一緒に家族旅行で、高校の移動教室で、大涌谷を見に彼との旅行で、今回は母と初めての二人きりの旅行で。箱根にはいろんな人といろんなタイミングで訪れてきた。
この先もし立ち止まりたいことがあったら、次は一人で行こう。自分のためにおっきい弁当買って、大事な思い出とアートと自然に癒されよう。
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