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Shiori
2022年9月10日 10:57
遥か遠くに見える空はどこまでも高く青いはずなのに彼女の踏みしめる土は水を含んでしっとりと柔らかい。しとしとと降り止まぬ霧雨は艶やかな黒髪をさらに深く濃く沈めてゆく。漆黒の髪に包まれた、雪のように白い肌。紅色のもみじや山吹色の銀杏が鮮やかな木々の中に彩を失った世界がひとつ。頬を伝う雫は鮮やかな風景を反射するばかりで決して彼女を同じ色に染めてはくれない。彼女の頬を紅