NHK『ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2024』が最高だった
楽しみにしてたNHK『ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2024』を見た。ちょうど今、弦楽器だけの曲を作っていて、Cubase 13になってIconica Sketchっていうイイ感じの音源が追加になってそれを試していて、スタッカートとスピッカートの使い分けが分からない(奏法としての違いや音が違うのは分かるけど、その違いを曲の中でどう活かすのかが分からない)ので、勉強するぜ〜! と勢い込んでたんだけど、開始5分でもうどうでも良くなった。楽しい。
まず指揮者がクッソ楽しんでる。指揮者にしてこの笑顔である。画像は客のスタンディングオベーションに演奏者全員を一人一人立たせて拍手を受けさせる粋な図らいなんだけど、演奏者一人一人にこの顔で指さして立たせてるのよ。俺が演奏者なら、これだけでメロメロなる。ピアノ奏者を招いて演奏してる時も、めっさ優しい顔で何度も振り返りながら指揮してるんよ。その笑顔を一晩だけ、僕だけのものにしてくださいませんか。
あと、観客。みんな普段着で、ビール飲んだりポテト食ったり、カップルで肩を寄せ合ったり、中にはシート敷くどころか枕持参で、天下のベルリン・フィルの演奏者を見ずに寝転がって、日が傾いて夕闇に沈んでいく空を眺めながら聴いてる人もいる。何これ、最高じゃないすか。
「亡き王女のためのパヴァーヌ」の演奏後にあくびしてる人がバッチリ映ってて笑った。ちょっと分かる。退屈になっちゃうかもな。でも俺はあの響きに替えが効かないものを覚えるから、大好きなんだけど。
最高だったのがラヴェル「ダフニスとクロエ」組曲 第2番。初めて聴いて美しいと思ったのもあるんだけど、演奏している最中の空が、文字通り薔薇色。薔薇色の空の下で流れるこの曲は、現場で聴いてる人に嫉妬する。有名な曲なんですかね。「ダフ」と打っただけで予測変換に「ダフニスとクロエ」って出てくるくらいだし。
ラヴェル「ボレロ」入ってて吹いた。みんなボレロ好きよね〜。そこまで人気がある理由がイマイチ分からない。確かに、ミニマルで洗練された反復演奏の中に巨大なうねりがあって面白いと思うけど、僕は好きってほどじゃない。嫌いってことはないけど。昔、高校生の時に友だちの家で遊ばせてもらったPCゲーム『銀河英雄伝説』のBGMがずーっとボレロで、「FM音源でこの曲が同じ音量で続くのマジダリぃw」って思っちゃったのが影響してるかもだけど。
ボレロは演奏する人が大変なんだよね。小学生の時、ブラスバンドで「フェスティーヴォ(作曲:ヴァーツラフ・ネリエフ。「フェスティーボ」とも)」(マジ地獄曲。元々これは中学生以上の課題曲。良かったら一度聴いてみてください、演奏した小学生の自分たちを褒めてやりたい)をやる時に、64小節かけてppからffまでもっていく(しかもModerateで。ノロい!)ってのを実際に演奏したから分かるんだけど、ボレロって何100小節もかけて小さい音から大きい音に持っていくんですよ。しかも、主題を演奏する楽器がどんどん変わっていくんですよ。つまり、誰かが途中で強い音を出してしまったら、それより弱い音に戻すことができないんです。主題で自分が強すぎる音を出してしまったら、次に主題を演奏する人は自分より強い音で演奏せざるを得なくなるってことなんです。これは、難しいフレーズや技巧的なこととは別次元の難しさ。なんで、僕はボレロ聴くとハラハラしちゃう。ボレロとフェスティーヴォは僕の中でつながってて(全然違う曲ですがw フェスティーヴォはAllegroだしw)、手に変な汗が出てきちゃいます。
ともあれ、こうした素晴らしい演奏を、家でのんびり楽しませていただけるなんてありがたいな、と感じました。
僕はピアノが弾けません。でも小学生の頃からずっと憧れていました。ピアノのレッスンを受けている友だちがうらやましかったり、いとこの家にあるのに誰も練習していないピアノがもったいないと思ったり。小一の時に両親にピアノを習いたいと頼んだ時も「ピアノは女の子がやるものだからダメ(それ理由になってないね、と子ども心に思った)」でしたし。大学生の時に買ったシンセサイザーも、売らなくてはいけませんでした。
弾けないけど、触ってみたい。その気持ちがまだ残ってるんだな、と今日のコンサートを見て気付きました。この歳で、まして働けない身体で、お金を稼ぐことのできない僕にピアノを触るなんて夢のまた夢ですが、いつかそんな機会ができたらな。触ってみたい楽器はいっぱいあるんです。ピアノとヴァイオリン。あと小学生のブラスバンドで触ったトランペットにもう一度触ってみたい。木管楽器もノータッチなんでオーボエとかがいいな。クラシックギターならナイロン弦だし、痛さもマシなはずだから頑張れるかも? フィドルやってみたいんですよ、フィドル! 大きな木琴も外せない。あの音は最高だ。ドラムは作業所で一度触らせてもらって「あ、俺には無理w」って分かったけど、いっぱい練習して、何か一曲叩けるようになれたら達成感あるだろうな。腕も足も使うから痩せそうだし(笑)。夢は尽きませんね。