エコリゾートの姿とは?-SDGsギャルから見た星野リゾート西表島ホテル
①SDGsギャル的には課題が多い?エコツーリズムリゾート
3月末に星野リゾート西表島ホテルに2泊3日で滞在しました。
もともと星野リゾートの大ファンで、今回で7箇所目!
西表島は「エコツーリズムリゾート」ということで、
SDGsギャルとしては訪問をとっても楽しみにしていました💓
滞在は、世界遺産に登録された西表島の魅力を知ることができ、
さすが星野リゾートといったところもあり、楽しく勉強することができました✨
しかし、なんというか・・・・
「エコツーリズムリゾート(以下、エコリゾート)ってこんなものなの?」とちょっと拍子抜けした点も・・・😢
(当初の期待値が高すぎた可能性はありますが😅)
SDGsギャル視点から、よかった点と改善点を記録して、
今回の例をきっかけに、エコツーリズムリゾート(エコリゾート)のあり方を考えていきたいと思います💡
※星野リゾート西表ホテルの詳細は公式HPをご覧ください
https://iriomotehotel.com/index.html
②アクティビティを振り返る
西表島の豊かな自然環境をふんだんに楽しめるアクティビティがたくさんあります🌺
しかも、ほぼ手ぶらで参加できます。
少人数制でガイドさんが親切に教えてくださり、また難易度に応じてコースが設定されているので、アウトドア初心者の私でも楽しめました。
参加したものを記録していきます。
1.クーラの滝 カヤック&トレッキング
西表島にはさまざまな滝があり、ホテルにも多様な滝にいくコースがあります。
これは一番の初心者向けで、3歳から参加できます。
砂浜から二人乗りカヤックに乗ってマングローブを探検します。
そして途中でカヤックを降りて、川の中を歩いて滝を目指すコースです。
ちなみに、行くなら朝イチがおすすめ。お昼近くになると、他の島から日帰りツアーの方もいらっしゃるので、とっても混むそうです。
ツアー中はマングローブの中に入り込むので、生態をじっくり観察できます👀
水が綺麗なので魚もたくさん見られました。沖縄の有名な魚「とんとんみー(ミナミトビハゼ)」にも会えました。
さらに、ジャックと豆の木のモデルになった「モダマ」の豆を見ることができました!超大きかった〜!🌴
ちょうど満潮(潮位が高い)時にいったので、枝の下をくぐったりとスリル満点でした!ジャングルにおじゃまさせていただいている感覚を味わいました🌿💓
私はびびって及び腰でしたが、滝つぼまで泳いでいくのもOK!
気持ち良い朝の運動です💪
余談ですが、ビーチには軽石&漂流ゴミがありました。
ゴミは海外から流れてきたようです。実はあまりこういった漂流ゴミを見た経験がなかったのでショックでした😢
2. ヤエヤマヒメボタル鑑賞ツアー
個人的に一番思い出に残っているツアーがこれ!🌠
本土なら蛍は初夏の風物詩、というわけで3月に西表で見られるなんて✨おそらく日本で一番早いホテルツアーです💡
都会っ子で清流とは無縁の場所に住んでいる私ですが、蛍の光にあこがれて、コロナ前には東京の椿山荘や渋谷植物園に見に行っていました。
そこで、蛍といえば、暗い中で小さく光る…という印象でしたが、西表島のヤエヤマヒメボタルは全く違います!もうピッカピカです。LEDライトが点滅しまくっている感じ💡
蛍の体長は5mmととても小さいので、エネルギーをたくさん消費する光は長くはつけられません。日没後の1時間だけ楽しめるスペシャルなツアーでした😉
蛍を刺激しないように、携帯電話やカメラ(光を発する機器)はNG。一般人立ち入り禁止の自然遺産区域で、ガイドさんの案内のもと鑑賞しました。
少人数ツアーだったので、じっくり話を聞くことができて勉強になります。
もう真っ暗になってしまった帰り道。
同行者が足元で蛇を踏みかけたりと、自然の中にお邪魔しているが故のハラハラ感もありました🐍
そんな思い出を含めて、西表島(八重山地域)の固有種に出会える貴重な機会でした。
(ちなみに行きすがらカンムリワシも見ることができました!ラッキー)
3. イリオモテガイドウォーク マングローブコース
無料で参加できる、ホテル周辺の自然を散策するツアー(ガイドウォーク)があります。海編と山編を日替わりで開催のよう。
せっかくなので両方参加してきました👏
まずは海から🐚
このコースでは、ホテル目の前のビーチを歩きながら、近くのマングローブを目指します。
この時は私たちとご家族だけの少人数だったので、ガイドさんに質問しながらゆっくりしっかり学ぶことができました☺️
ホテルの目の前のビーチは「月ヶ浜」と言います。湾になっており、三日月の形だからだそうです。そして、別名は「トュドュマリ浜」(トュドュマリ=留まり)。現地の神話で、神様が留まるからだそうです。(湾にまつまる神話も教えてくださいます)
そしてなんと…!この砂浜には固有種がいます💡その名も「トュドュマリハマグリ」!
ハマグリというわけで、貝の一種です🐚
はしっこが赤く染まっているのが特徴です。
人間でも人によって顔や肌の色が異なるように、その他の部分は色や模様にはバラバラです。こういった多様性を「遺伝子の多様性」と呼ぶそうです。
(ちなみにこの貝はご一緒したご家族のちびっ子が渡してくれました💓)
帰ってから調べたところ、絶滅危惧種だそうです。
改めて西表島の種の多様性に驚きつつ、こんな狭い範囲でしか生息しない固有種の保護の必要性を感じました。
その後はマングローブへ。手前側には人工的に植林した林があります。
偶然にもその時は大潮でとても干上がっており(船の周りに水がなかったくらい)、近くまで歩いていくことができました。
マングローブの成長スピードはとっても遅く、林になるまでにはとてつもない時間がかかるそうです。
午前中にカヤックで探検したこともあり、近くでじっくり観察できてよかったです。
余談ですが(ネットで調べただけの情報ですが)、かつては月ヶ浜にウミガメが産卵に来ていたけど、ホテルの開発で来なくなったとか🐢。
今更言っても仕方がないですが、開発と環境保護の両立問題はもやもやしますね。
4. イリオモテガイドウォーク ジャングルコース
続いて陸編です🌱ホテル正面にある森を散策しました。
裏庭と侮るなかれ…たくさんの種類の植物がいます。日光を求めて上へ上へと植物が伸びて行き、台風等で木が倒れた後はシロアリなどが解体をしていき…自然の中で循環している様子を見ることができました。
がじゅまるの木をはじめ、沖縄らしい植物と、現地の方々の生活での使用方法などをうかがいました。
さすがに出会えませんでしたが、夜には動物たちが遊びに来るそうです。今回はワシの声を聞くことができました🦅
ちなみに足場が悪かったので写真はほぼ撮っていません(笑)
5. 世界遺産の学校
星野といえば!夜にはその地域についての学校(レクチャー)があります。
(奥入瀬渓流ホテルでも受講してたのしかった記憶が😀)
2種類あって日替わりです。(もう1つはイリオモテヤマネコの学校🐈)
このホテルのテーマである生物多様性とはなにか(子どもでもわかりやすい内容でした)、なぜ西表島は世界遺産になったのか、西表島の生物の鳴き声クイズなどなど、楽しみながら学べる時間でした。
個人的に驚いたのは、世界自然遺産の評価基準が4つあって、日本の自然遺産で該当項目がそれぞれ異なること✅
沖縄・奄美は「生物多様性」であり、独自の生物進化を背景にした固有種や、絶滅危惧種が多くいることが理由です。
そして、教えてくれたスタッフさん曰く、西表島が選ばれたのは有名な「イリオモテヤマネコ」がいるからではなく、「イリオモテヤマネコが暮らせるくらい豊かな生態系だから」だそうです。すなわち、小さな島で肉食のイリオモテヤマネコが食べて暮らしていけるくらい豊かな自然があるからです🌼
実際に環境省が出している情報を確認すると、確かにこの地域の固有種の多さが理由であり、イリオモテヤマネコは一例に挙げられているだけです。
(ちなみに、ツアーによってはホテルが提携している業者さん?ガイドさん?がついてくださるのですが、そちらでは「登録はイリオモテヤマネコがいるから」とおっしゃっていました。。。😅あれ)
③ステイを振り返る
では、アクティビティ以外の滞在はどうだったのでしょうか。
私たちは2泊3日、アクティビティ以外はホテル敷地内から出ずに過ごしました。
1.ホテル館内
一言で言えば、アジアンテイストです。バリ風?なのかエレベーター降りた先にはこんな壁画がありました。
1階にはプールがあります。(イッテQのロケで使われてた!笑)
3月は20℃くらい、小雨交じりだったこともあって、子どもしか入っていませんでした。
室内はコロニアル風。謎の昼寝用ベッド(奥)がついていました。
よかった点は、バス・トイレが別なこと、お風呂はユニットバスではないこと。
また、部屋が広いので大荷物になりがちな沖縄旅行でもストレスフリーでした。
ちなみに、エコリゾートらしく、使い捨てをなるべく避けるためか、アメニティは歯ブラシ・クシを含めてありません。
(有料で購入はできます)
他方で、星野マニアとしては「星野っぽくないな〜」と期待外れだったことも多々😢
星野といえばサービスがとても良い印象で、快適な滞在を約束されたも同然と思っていました。
特に気になったのが、タオルの吸水性が悪いこと、パジャマがワンピースタイプだったこと、掃除の時間が不明瞭だったことです。
今までホテルでタオルの質が悪いと感じたことは個人的になかったのですが、たまたまなのかストレスがたまるものに当たってしまいました。
また、界では作務衣など過ごしやすい館内着が用意されていることに慣れていたので、ビジネスホテルでよく見るようなワンピース型の白いシャツパジャマだったことに驚きました。パンツがないので夜間寒かった・・・😢
また、2泊3日だったので中日に清掃が入るのですが、いつ来るかわからないのが若干ストレスでした。
アクティビティを予約しているのでその間かなあと思いきや、そうでもなかった(笑)
普段なら掃除しなくてもいい(シーツ変えなくてもいい)派なのですが、前日に砂浜で遊んだ結果、部屋にも砂を運んでしまい…掃除は必須です。
2.食事
朝ごはん・夕ご飯はビュッフェ、お昼ご飯は注文方式です。
すべてホテル内の同一のレストランを利用しました。内観はコロニアル風で、プールに面して全面ガラス張りの窓など開放感があります。
夕食は2回いただきましたが、基本のメニューは一緒ながら、地域のオリジナルの料理は日替わりのようです。
ジビエなどいただくことができました。
あと、沖縄らしく泡盛も!おしゃれにカクテルで出てきます(なんと無料✨)。
私は泡盛苦手なので抜いてもらい、ただのソーダとして飲みました(笑)
お昼のメニューはこんな感じです。
レストラン内で食べてもいいし、プールサイドなどで食べてもOKだそうです。
サラダなどはビュッフェで見たものが利用されている印象だったので、ごみ削減につなげているのかなあ?
ごはんの全体的なお味は、まあまあといったところでしょうか。島であることや価格、バラエティを考えれば、コスパは悪くはないかなという印象です。
最後に、もやっとしたことが1つだけ。いくらエコ素材といえど、使い捨てってどうなのでしょう?😯
ブッフェのドリンクやランチの器・カトラリーは紙・木素材でした。プラ容器よりは環境にやさしいと思いますし、ランチは外で食べることや洗う手間を考えたら捨てられる方が効率的かもしれません。
(ライフサイクルでの比較に関しては詳しい知識はないので、あくまで私見です↓)
一般廃棄物の処理場は島内にあるようですが、小さい島でジャングルが多くを占めているため、処理場の面積には限界があるでしょう。輸送(製品の移入・ごみの移出)に手間とコストがかかる離島であることに鑑みると、使い捨てというよりは「リユース」であることが求められるのではないかと思います。
資源が有限かつコストの高い西表島、そのエコリゾートにおいては、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の要素も入れていただきたいと感じています🌱🔄
3.サンセット
月々浜は西向き!というわけで、晴れた日は素敵な夕日が拝めます。
ビーチではワインとスナックを手に、サンセットを眺める催しが開催されていました。
ちなみに、ワインはアルコールとノンアルの両方が用意されているのは、「誰一人(特に下戸を)取り残さない」素晴らしい取り組みだと思います!🍷
4.エコリゾートらしいところ
そして!最後にエコリゾートのステイらしい取り組みを2つご紹介します。
① 滞在中にはこの水筒が配布されます!!🐡
一般的なホテルだと部屋にペットボトル入りの水が置いてありますが、ここでは水の入ったピッチャーです。
フロントにもウォーターサーバーがあるので、滞在中はこの水筒を利用します。
(帰る時に要返却。お土産屋さんでは新品を売っていました。)
アクティビティに持って行ってもOKです。常夏の島ではすぐにのどが渇くので、2泊3日の相棒になりました。
② また、海洋ごみをみんなで集めてアートにするプロジェクトも行っていました🐈
(目の前の月ヶ浜は漂着しづらい環境なので、なかなか集まらないと思いますが)
特に子どもたちにとって、ごみを拾う体験を促すのは良い取り組みだと思います。
他方で、このボックスが埋まった後はどうなるのか、は気になりますね。
(このアートは売店の中にあります。売店では環境に配慮したビーチ用の製品が売られていました)
④ 全体感
ここまでテーマごとに2泊3日のステイを振り返りました。アクティビティはめちゃくちゃ楽しかったです。
エコリゾートらしく良かった点もあり、他方でもやっとしたところもありました。
全体を通じて言えるのは「完璧ではない」ということ。
実は、星野リゾート側も自ら「エコツーリズムリゾート」とは言ってないんです。水筒をよく見ると「日本初の『エコツーリズムリゾート』を目指す」と書いてあります。
HPにもこう書いてあります。
ただし目指しているこの3つの柱の具体化を読むと、「ペットボトルフリー」、「1WAYプラスチックフリー」、「1WAY(使い捨て)アメニティの提供廃止」、「島の魅力と価値について深く知ることのできるネイチャーツアー」、「ロードキル防止」といった内容。
2021年から活動を開始したらしく、まだ日が浅いことを踏まえ、今後の進化に期待をしたいと思います😊✨
そのうえで、SDGsギャルとして、こういう進化をしてほしいなあと思った内容を最後に提言したいと思います!
1.サーキュラーエコノミーを実現してほしい
先ほどの繰り返しですが、1WAYプラ廃止や使い捨ての廃止の先として、高い次元の循環型経済(サーキュラーエコノミー)を目指していただきたいです。
資源が有限である離島だからこそ、より必要なことだと思います💪
2.気候変動対策:再エネ導入?
星野リゾートは再エネ活用が進んでいる印象でしたが、西表はやっているのかな?
仮に再エネをやっているなら広報を、していないのであれば検討していただけると良いと思いました💡
そもそも、気候変動は生態系破壊の主要な原因です。
西表の電力は石垣島から海底ケーブルを経由して供給しているそう。そもそも沖縄県は地理的条件から火力発電への依存度が高いため、日本政府が目指す2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、再エネ移行への壁は高いです。
沖縄の島々は地理的制約が大きい(大型風車・水力不可能など)中で、サーキュラーエコノミーの一環としてエネルギーも地産地消できるようにしてこそエコリゾートだと思います。
3.海洋生態系:日焼け止め問題
私が参加したアクティビティの関係でたまたまかもしれませんが、陸域生態系について学んだものの、海洋に関してはほぼノータッチでした。(1WAYプラ廃止にもかかわらず、プラについての学びもアート以外はなし😯)
言うまでもなく、西表島の海はとてもきれいで、美しいサンゴ礁もあります。
サンゴ礁の保全のために、昨今問題視されているのが「日焼け止め」の使用です。一部の成分がサンゴ礁に悪影響を与えるおそれがあると、ハワイなど一部の地域では該当成分を含んだ日焼け止めの使用が規制されています🐟
ホテルの売店ではサンゴにやさしい日焼け止めを売っていました。ですが、海のアクティビティが多いにも関わらず、こういったアクションを求めているようには見受けられませんでした。
観光客の大半はこういった問題を知らずに、日焼け止めを使っている可能性が高いです。自然を汚さない手段をそこで教えることで、その方たちが世界中の他の海も汚さなくなる――そういった教育効果が発現出来たら嬉しいですね✨
4.オーバーツーリズムとの整理を知りたい
コロナ前、世界各地でオーバーツーリズムが問題となっていました。多くの人が訪れることで、ごみが増え、地域の人々の日常生活が侵害され、自然破壊にもつながる可能性があります。
実際、西表などの世界遺産登録が一度見送られた理由の1つがオーバーツーリズム対策が不十分であったことのようです。
星野リゾートではオーバーツーリズム対策も含めイリオモテヤマネコの「ロードキル」(交通事故など道路による影響での死亡)対策に取り組んでいますが、根本的なところで西表の観光にまつわる社会課題=オーバーツーリズムとの付き合い方を知りたいです。
入域制限等がある中で、自然保護と顧客満足度や地域貢献とどう両立されているのか、そういったストーリーの開示があると、環境に関心の高い人々のニーズにもっと寄り添えると思います。
⑤おまけ:プロフィール
そもそもお前は誰なんだというのもあるので、念のため簡単にプロフィールを最後に載せておきます。
慶應義塾大学・大学院で2015年からSDGsを研究し、修士号を取得。都内で会社員をしつつ、複数の大学でも働いています。
SDGsや環境に関する活動が評価され、大学時代にラオス政府主催のエコツーリズムに関するユースの国際会議に日本代表(各国3名ずつ)として招待されました。