生物基礎演習:③ホルモン暗記法 by 茶茶 サティ
Ⅰ、はじめに
生物基礎選択者
進学準備者 各位
前略
今回はホルモンです。
生物基礎で登場する内分泌物質“ホルモン”は
ⅰ 内分泌腺(分泌する場所)
ⅱ ホルモンの名称(名前:別名や俗称がある場合も)
ⅲ 標的器官または標的細胞(ターゲット)
ⅳ 標的に対する働き(メッセージ)
を三位一体どころか「四位一体で理解する必要がある」と言う意味で、修練していないヒトにとっては難易度が高めの分野です。
逆に解ってしまえば、「ああ、アレね」と鼻歌混じりで答えられるお得な得点源でもあります。
いかがですか、この際一挙に攻略しきってみませんか?
見本として
ⅰ すい臓 ランゲルハンス島 B細胞 から分泌される
ⅱ インスリン というホルモンの
ⅲ 肝臓の肝細胞 に対して
ⅳ 血糖値を低下させるはたらき に関する暗記法
を掲載しますので、気に入ったならば他のホルモンに関する暗記法も見てみてください。
これでスカっと覚えられたなら、100円なんぞ安いものです。
10年ほど前、某有名進学校でデータを取りました。
そこでわかったことは… あくまでも約40人の平均値ですが、浪人して予備校に一年通うと、講習やテキスト代、模試や交通費等でおよそ100万円かかります。来年のお受験に伴う費用と生活費や食費などを入れればどう見てもあと100万円はかかりますが、今は除いておきましょう… そら恐ろしくなりますからね。
4月から1月中旬までの約300日間を本人なりに頑張って、共通テスト(当時はセンター試験)で昨年の合計点に「上積みできた点数」は、5教科7科目型換算にして多い人で180点、平均はおよそ100点でした。
まとめると…
300日間で、100万円かけて、100点アップした ということになります。
フーン… と思うだけかも知れませんが、すべてを100で割ってみると…
3日あたり、1万円かけて、1点アップした ことになりますよね。
「み、みっかかけて、いちまんえん使って、わずか1点アップですかぁ?」
ざけんなよ…
200万円でも180点でも、いろいろ数字を入れ替えたって、サティとしては納得しかねる数字です。
教科書とか参考書とか、中には塾や家庭教師を利用する方もいるかと思いますが、結局
「暗記しようね」
と励ましてくれるだけですよね。
肝腎の暗記法とか覚えやすくする解説を付けてくれましたか?
教えてくれたとしても、それで覚えられましたか?
記事に興味を持っていただけたら、以下をお読みください。
まずは「ホルモンとは何ぞや」? というところから始めます。
草々
Ⅱ、ホルモンとは何か
まずひとつ、宣言します。
「ホルモン焼き」だの、内臓の焼き肉だの、食事に関する「ホルモン」のことは一切出ません。邪魔です、お帰りくださいってくらいに。
確かに美味そうで魅力的ですが… そういう話は焼き肉屋で願います。
あれは「スタミナがつきそう」という妄想から産まれたネーミングで、生物で扱うホルモンとは無縁のものです。よろしいですねっ!
では本論です。
人の社会には、当然ながら多くのヒトがいます。面倒なコトも多いですが、便利でココロ強いこともまた多い。その中で必須なことが…
そう、コミュニケーションです。
言葉は当然として、例えばスポーツで監督が出すサイン、選手同士のボディランゲージやシェラッグ(肩をすくめる)だけでなく、ちょっとした仕草やウインク、表情に至るまで。
日常生活でも、家族や友人、センセや子供… 我々はいろいろ見て聞いて周囲との協調を重視して日々生きています… というか、そういうヒトが多いですよね。中には一切気を遣わない方もチラホラと…
改めて情報伝達の手段を考えてみましょう。
普通は相手から仕草、表情、声、タッチなどで情報が発せられると、受ける側は目、耳、皮膚などでそれを受け取り、脳がそこに込められた意味を判断します。
本当はまだあります。俗に「空気を読む」とかいう高等芸が…
それに意識もしていないし、気付いてもいない「フェロモン」とかも。フェロモンは「におい」ではありません。におわなくてもそこに気化しているものが直接鼻で受容され、直ちに大脳に伝えられてその情報の意味が判定される「物質」なのです。女子寮などで女性の生理周期がそろってくるとかいう奇妙な現象があるそうですが、それはどうやらフェロモンのせいだとか… 聞いた気がします。サティ自身が確かめたワケではありません。
上で挙げた手段は社会生活の中でのヒトとヒト、つまり他個体にたいする情報伝達の手段です。
それに対して…
同じ個体の中の「細胞や組織や器官」から別の「細胞や組織や器官」への情報、いわば「メッセージ」を伝える方法として、ひとつには神経系があります。
感覚神経系から中枢神経系へ送られた情報は脳などでしかるべく処理されたあと運動神経系、または自律神経系を通じて身体各部に反応を起こさせます。
そしてもう一つの方法が内分泌系、つまりホルモン系なのです。ホルモンは、言わば「身体の中のお手紙」です。もっと強く言えば「指令を伝える伝令さん」です。しかもこの伝令さんは、一切融通が利きません。
ホルモン自体が直接働くとか何かするワケではありません。ここは誤解が多いところなのですが、それを受け取った(受容した)組織や器官が「そのホルモンの持つ意味どおり」の仕事を果たすワケです。
えっ、仕事しなければどうなるかって? そりゃ病気になるだけです。
メッセージ物質(ホルモン)を出す組織や器官を「内分泌腺」と呼びます。そこから内分泌されたメッセージ物質(ホルモン)は体液の流れに乗って全身を回ります。
では体液とは何でしょうか?
はい、血液ですね、正解ですが… あと2つありますよ。
そう、リンパ液と組織液の2つです。
なになに、似たようなもんじゃないかって?
んん、ま、たしかに。
でも似てはいるけど、ある場所も成分も少しずつ異なっています。
血液は血管の中を流れる液体。血漿(けっしょう)という液体に赤血球、血小板、白血球が浮遊していますし、タンパク質も豊富です。
組織液は、血管壁から染み出した血しょうですので、イオンや小さな分子の組成は血漿と同じですが、白血球以外の血球成分は大きすぎて血管壁を通り抜けることができず、色も黄色っぽい感じです。
え、白血球は一番大きいはずだが… という声が聞こえてきたような…
よくご存じですね。サティはヒトの円盤型の赤血球の直径は8μm(マイクロメーター)だと暗記しています。血小板はその約半分、白血球は倍だと。だからおっしゃる通りなんですが、白血球は形が不定形で、カベ抜けが特技なんです。
リンパ液は… 簡単に言えば、リンパ管に回収された組織液です。各所にあるリンパ節という膨らみ部分には多くのリンパ球が居て、細菌その他の異物を食べてしまう… つまり重要な「免疫」の役割を担っているのです。リンパ液は「左鎖骨下静脈(試験デルPOINT)」で血管系に合流し、また血液に戻るワケです。
ね、似てるけど、やっぱちょっと違うでしょ?
えっと、なんの話だったかな?
「内分泌腺から内分泌されたメッセージ物質(ホルモン)は体液の流れに乗って全身を回ります」
えっ? いちいち「内」分泌っていうのは何でかって?
んんん、分泌にはパターンが2つあるのです。汗や唾液、おっぱい(乳)、皮脂や消化液なんかは、決まった出口から出てきますよね。あの出口を「排出管(以前は導管と言った)」と呼ぶのですが、排出管から出すことを「外分泌」と言うのです。
では内分泌は…?
そう、排出管がない分泌です。つまり細胞がポイっと細胞外にホルモンを放っぽり出すだけで、あとは組織液、リンパ液、血液などの体液に乗って全身を回るのです。
簡単に言い換えます。外分泌は自動販売機のように出口が決まっていますが、内分泌はウナギやサンマを外で焼く煙が空気の流れに乗って直接鼻に届くような感じです。
ではもう一度。
「内分泌腺から内分泌されたメッセージ物質(ホルモン)は体液の流れに乗って全身を回ります。」
そのホルモンと無関係な器官や組織には、そのホルモンを受け取るところ(受容体)がありません。登録していないメアドのメールが迷惑メールになってスルーされるのと同じことです。
そのホルモンを受け取るところ(受容体)がある場合は…
受領したことが「核」に伝えられ、その細胞の働く方向や働きの強さが変わるワケです。
Ⅲ、サンプルとして… インスリンの暗記法
以上の流れを「インスリン」でたどってみましょう。
ⅰ すい臓のランゲルハンス島のB(またはβベータ)細胞から
ⅱ インスリンが内分泌されて
ⅲ 体液の流れで標的器官である肝臓に到達し、受容されると
ⅳ 肝臓の細胞が血糖値を下げるように働きだす
ⅳの「血糖値を下げる」とは、血液中のグルコース(糖)をたくさん捕まえて「グリコーゲン」を合成する材料として使う働きです。
血糖値の調節は生命にとってものすごく大切な働きです。通常ヒトの血糖値は0.1%(テスト出るPOINT)ですが、この値が半分の0.05%になると、大脳が正常に働けなくなり、大抵のヒトが意識を失ってぶっ倒れます。逆に倍の0.2%を超えると「糖尿病患者様」の出来上がりとなります。
マジ笑い事じゃないですよ! ほんとうに恐ろしい病気ですから…
ただおしっこが甘くなる病気ってだけじゃなく、むしろ「万病の根源」であることをわかっておいてください。
この微妙なコントロール、直接には4種類のホルモンが関係するのですが…困ったことがあります。
それは、血糖値を上げるホルモンは3種類もあるのに、下げるホルモンはインスリンだけ… つまり他にインスリンの代わりができるホルモンはないのです。言い換えると、何らかの事情でインスリン分泌がデフォルトになると、それは即時の糖尿病発症を意味するワケです。
そんなかけがえのないインスリン、サティはこんな覚え方を提案します。
◎ 「乱暴飲酒、健康低下」(らんぼういんしゅ けんこうていか)
解読
2つの意味を重ねてあります。
1つは、文字通り、乱暴な飲酒は健康を損ねるという意味。
あれ、インスリンはいずこ?
もうひとつは
「らん」ゲルハンス島「B(ぼう)」細胞が出す「いんしゅ」リンは
「けっとう」を「ていか」させる…
という意味です。
入っていない要素は内分泌器官「すい臓」と標的器官「肝臓(および筋肉)」ですが、「すい臓」はたぶんほとんど間違えないでしょう。理由はやたらといっぱい出て来るからです、はい。
な~んてね。
ランゲルハンス島が入ってるから、間違えっこないですwww、よほど血糖が下がってない限り…
もう一方の「肝臓」は糖質コルチコイドの暗記法に入れておきました。血糖値に直接関わる標的器官はすべて肝臓、たまに筋肉が入る程度です。
実は… インスリン、アドレナリン、グルカゴン、糖質コルチコイドの暗記法は連歌(れんが)のような一連の流れとして作ってあるのです。でもインスリンの暗記法単独でも十分役割は果たせるはずですよ。
Ⅲの言葉はサティからのみなさんへの餞(はなむけ)としてプレゼントさせていただきますね。
以下を有料ゾーンに掲載します。
そのコンテンツは、
Ⅳ、血糖値に直接関係するホルモンの暗記法:語呂合わせ連歌
血糖値0.1%
グルカゴンとグリコーゲンとグルコースの関係
グルカゴン
アドレナリン
糖質コルチコイド
語呂合わせ連歌
Ⅴ、その他のホルモンの暗記法:語呂合わせ575
バソプレシン
鉱質コルチコイド
チロキシン
パラトルモン
Ⅵ、暗記法が要らないホルモン
〇〇刺激ホルモン
その他理系で必要なホルモン
インテルメジン、性ホルモン、オキシトシン
Ⅶ、フィードバックとは
Ⅷ、設問1~8
Ⅸ、間違ってるかもしれない解答解説
です。
ではみなさま、Bon Voyage… 幸運をお祈りいたします。
茶茶 サティ
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