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ワインのコルクが開かない!

- 日常エッセイ -

水曜日の昼下がり、高校からの友達がお家にきた。数日前に誕生日を迎えた彼女は、前世は大食堂のおばちゃんだろうなと言われるくらいお喋りで料理が美味しい。

そんな彼女が作ってくれたトマトとシラスのブルスケッタを前に、白ワインのコルクが開かない。オープナーを入り込ませて15分、腕がもう何処か行きそう。ライターで温めても、ポンっとはいかない。やっぱり100円ショップのオープナーは駄目だったかな。でも、今ものすごくワインが飲みたい。ニンニクとライムのいい匂いが漂っているんだもの。それに、お祝いの席だし、早く乾杯したい。

「あ、あのカフェならあるかも!」

オープナーを刺したままのワインを手に、家から35歩ほどの古民家カフェに繰り出した。

「すみません、野暮用なのですが。あの、これ開けてもらえませんか!」

すると珈琲で染まったかのような味のあるエプロンをしたマスターが出てきてくれた。

「ちょっと、待っていてくださいね。」
「うぅすみません。ありがとうございます。」

ドキドキしながら待つ。2分は120秒だよなと反芻するくらいミゾミゾした。

「開きましたよ!!!コルクは持っていきますか?」
「すごい!!!ありがとうございます!記念に飾ります!」

やっと、コルクが開いた。嬉しい。それよりもこの状況が面白すぎだ。楽しい。飛び跳ねる。終始笑いながら対応してくれたマスターに感謝しながら、ガラガラとお店を出る。

「すみません〜、オープナー!オープナー忘れています!」
「わ!ごめんなさい!ありがとうございます!」

お店の裏ドアからオープナーを片手にマスターが走ってきてくれた。その状況が可笑しくて面白くて。最後まで申し訳ないくらいに楽しい。感謝。近所の方とこうやって知り合えたことが楽しくて楽しくて。

やっと念願の白ワインで乾杯した。ブルスケッタを食べて、レモンケーキと可愛い贈り物をして、海街ダイアリーをプロジェクターで観た。他愛もない話をしながらも、わたしはずっと胸が高鳴っていて、この街に引っ越してきて、ここで暮らせて幸せだなと思い返していた。

あれから、2日経った今日。可愛い10本入りのチューリップを手に入れた。

そうだ!明日、マスターのいるカフェにお礼としてチューリップを持っていこう🌷何とお礼を言ったらいいのだろうか。わくわく。

終わり

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