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「何もわからなくなった」SaaSのプロダクトデザイナーが「チョットわかる」になった話

様々なプロダクト開発の現場を経験した、いわゆる「ミドル」と呼ばれる30歳手前のデザイナーです。

こちらのインタビューでも「良いデザインとは何か」について考えていましたが、現在でも「何もわからない」「チョットわかる」を繰り返しながら仕事をしています。

LayerXにjoinしてからちょうど1年経ち、プロダクトデザインに対する心構えが1段階変化したタイミングで、現在どう進めているかをまとめてみようと思います。


「チョットわかる」ようになった今の心得

入社時に比べて少し見る範囲が広がり、バクラク申請・経費精算だけでなく、アプリや請求書受取・仕訳のプロダクトも一部担当しているのですが、様々なチームに関わった上で今の心得として以下を感じています。

  • 一番良くないこと

    • (理由がないのに)自分の案に固執する

    • 議論を停滞させる

お恥ずかしいのですが、議論しているうちに自分(デザイナー)以外の開発チームメンバーからいい案が出てくることも多々あります。デザイナーが提示した案でスパッと決まるのが一番良いのですが、議論していくうちに最もいい案が出来上がっていく、いい案を決める過程を推し進めることに価値があるのではないかと考えています。それが最終的にデザイナーが出した案でなくても良いです。

1: 自分のアイデアに固執しない

むしろ自分のアイデアに固執して、これ以上いい案が出なくなったり議論が進まなくなるのが一番良くないと思っています(でも、いつもなぜ自分で出せなかったのか、くぅ〜〜〜と思っています。デザイナーであれば、自分のアイデアに思い入れがあるので、皆通る道かと思います。。)

もちろんデザインを提示する段階では、あらゆる可能性を検討し没になっていった無限の案がある上で、2〜3案に絞ってこの理由でこれがいい!と思って提示します。
が、検討が進まずに提出が遅くなったり、自分がボトルネックになることが開発チームとして良くないです。
また判断のための情報が不足していたために、没にしていた案が良い!となることもあるので、やはり1人の判断より、自分の意見がある程度固まった段階で見せてしまうことが大事です。

2: 作り手以外の意見も聞く

またデザイナーからのFBも大切ですが、私が関わっているのは申請者や経理の方が触るプロダクトなので、「作り手ではない、ぱっと触ってみた目線」が結構大事だと思っています。(かといって、社内のFBだと実際のユースケースではない意見もあるので、そこも判断は難しいです)

3: リアルに触れる環境で判断する

最近の学びとしては、figma上で作っていても、実装したあと触ってみるとなんかちょっと体験や感じ方が違うな〜といったことも多々あります。
大枠の方向性というより、ちょっとしたインタラクションや情報の順序がなんか違う、などです。
開発者の方には実装後の変更になってしまい、本当に大変申し訳ないと謝罪しながら、一方で悪いことではないと思っています。
(もちろん、開発前に仕様を固めてシフトレフトできた方が良いのですが)

どうしてもリアルな感じ方や値が入った状態は再現に限界がある(再現するために時間もかかる)ため、
であればfigma上のデザインにこだわるよりも、テスト環境で触りながら議論した方が実際の使用感に近い議論ができます。
できればこの観点について開発者とも共有できていた方が、スムーズに進められると思います。

心得によってうまくいったこと

例えばこのような事例でうまくいったと感じています。

  • 初回の案も要件は満たしていたものの、複数のPMや開発中のエンジニアからアイデアをもらい、もう一段階クオリティの高いUIに着地させることができました。

  • UIを触った時の意見や、無限の案の各メリット・デメリットを整理し、開発チーム皆で共有しました。「その上でなぜこの案が良いのか」の理由が強固になり、チームで「これ以上の案はない」と思えるまで検討しきることができました。

  • リアルな環境で改めてUIを触ってみて、「モーダルが立ち上がったあと、入力予定のフォームにフォーカスを当てる」追加の工夫したことで、ユーザビリティが上がりました。

  • リアルな環境で周りの情報とUIを比較することで、目立ちすぎていることに気づき、また「そこまで頻度の高い操作ではない」情報を引き出せたことで、適切な目立ち方のUIに調整できました。

一方で: 考え切った上で提案する

一方で丸投げするのは仕事をしていないと同義なので、今ある情報で考えきった上で早めに投げたいのですが、どこまで考えきって提示するかは今だに難しいです。
特に新人の頃は先輩に頼りたくなってしまいがちでしたが、やはり自分の力で考え切る時間があることで成長できると感じます。

正解はあるのか

「全ての問題を解決する最強の案」は実は存在しなくて、(案件によっては存在するかもですが)どの案もメリット・デメリットが存在し、この状況ではこれが最適である を導き出すことが仕事なのだと思います。
デザインだけでなく、仕様検討・開発においても同じだと思いますが、プロダクト開発は改めて一筋縄ではいかないと感じる日々です。

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