最近の記事

折れた鉛筆

ここは眩しすぎる。 私は、もっと暗い話が読みたい。 同じように悩み、辛い思いをしている人の話を。 ここで目につく話のほとんどはハッピーエンドばかり。「挑戦して変われました!」とか「募金して世の中に貢献しました!」とか。 私は、もっと死人がゴロゴロ出て終わるようなバッドエンドが読みたい。(.... 地○師、とっても面白かったです) 周りの人は、少し躓いたとしてもすぐに立ち上がれるように見える。 でも私は、一度転んだら動けなくなり、地面と一体化してしまう。 みんながうまくい

    • ママと恵子とわたし

      ・ママ 松島トモ子似。 松島トモ子といえば、虎に噛まれたことで有名ですが、母は私が飼ってた犬によく吠えられていました。母は私を女手ひとつで育ててくれた、本当に強い人です。 今の時代、血液型で人を表現するのは少し古いかもしれませんが、母はまさに「ザ・B型」。例えば、「マークシートなんだから塗れば運で当たるでしょ」と言って、勉強せずに調理師免許に合格してしまうような、能天気で楽観的な性格です。 実家を離れて一人暮らしを始めてから、母の存在がますます大切に思えるようになりました

      • 東京で見つけた私

        幼少期は北海道の田舎で育った。 周りを見渡せば、山と畑。 高い建物もなく、空が広く、星空が綺麗な町だった。 「東京に憧れてるなら、行ってみなさい」 と母が背中を押してくれて、約3年前に上京した。 同じ日本ではあるが、海を渡り上京した時は まるで海外に来たような感覚だった。 初めての東京の街は派手で、キラキラしていた。 見たことのないような素敵な雑貨や、 宝石のようなスイーツ、 身体が浮くほどの満員電車には驚かされた。 季節の流れと共に、東京の街は新しく変化していった。

        • お盆

          新社会人になってから初めての9連休。 とびきり嬉しかった。 しかし、お盆は寂しい。 時間に急がされることもなく、 ひたすらにゆっくりとした時間が流れていく。 特に予定もなく、家に籠る。 明日を気にすることなく、目が覚めるまで眠る。 実家にいた頃を何度か思い出す。 親戚で集まって食べたご馳走や、弟とカブトムシを取りに行った思い出。 過去ばかりに焦がれて自分は何がしたいんだろう。 彩度が高い夏だった。 やっぱり、お盆は寂しい。 小さな幸せと呼ばれる、 「外が晴れてて

        折れた鉛筆

          母との再会

          北海道で暮らす母が東京に遊びに来た。 半年ぶりの再会だった。 畑しかないところで暮らしている母は、 神田に来て、白いシャツにスーツ、黒いバッグを持ったサラリーマンの数に驚いていた。 「田舎じゃスーツなんて着てないよ」 「みんな同じに見えちゃうね」 原宿のクレープやいちご飴も、 母は輝いた目で見ていた。 肩と肩がぶつかり合うほどの人混み、 虹色の大きな綿飴。 初めて原宿に来た時の心が躍ったあの感覚を、私は忘れていたことに気づいた。 原宿のクレープ=竹下通りの定番。 完全に都

          母との再会

          夢見モグラ

          「おはようございます。 本日、体調が優れないため、 お休みとさせてください。 ご迷惑をおかけし申し訳ございません。 よろしくお願いします。」 想像はできなくても 思考はしてほしい と思うのは美徳だろうか。 白い床、白い壁 無機質な空間 ほどよく流れる優しい音楽 私は一枚の紙に木を描かされた。 質圧、場所、形、 諸々で人の心理がわかるらしい。 診療の1つなのに 帰りたい一心でテキトーに済ませてしまった。 自分が言った言葉が、 無意識に相手を傷つけている 相手が言った言葉

          夢見モグラ

          いてもいなくても

          彼此、2時間 八畳程度の狭い部屋に2人 背中しか見えず、言葉を交わすこともない。 入社して4ヶ月が経過した。 用意された資料をがりがりと読み 情報を詰め込む毎日。 私は頭が良いわけでもないので 理解するのに時間がかかる。 進捗も遅い。 比べる必要はないとわかってはいても 無意識に同期と比べ、差を感じている。 自分は出来損ないだと ひしひしと感じる。 私がいてもいなくても 何も変わらないという現実。 私は何をやるにも鈍臭い。 死にたいと思うには十分な夜だった。 この連

          いてもいなくても

          ペーパーレス

          今日は一人暮らししてから 初めてガスが止まった。 なにが、ペーパーレスだ。 請求書をレスにしたらこうなるに決まってる。 ガスを止めてしまったことに 悲しくなって自分を責めて 頭がどうにかなっている。 そしてまた、恵子は終電で帰ってこなかった。 帰ってくるって勝手に期待して用意した晩御飯。 \ 健気で超いい子〜、!可愛い〜!/ 私の名前が描かれた団扇は 誰が振ってくれるかしら。 わたしは明日も朝から仕事。 隣にいつもの姿がない。 適当にツイキャスで 眠れそうな弾き語り

          ペーパーレス

          24

          1月13日 そういえば、明けましたね。 最後の更新から2年が経っていたようです。 来週には、24になります。 私が小学生の時、20歳の自分の姿なんて想像がつかなかったし、皆、随分大人に見えました。 20歳になり、 ここ数年の誕生日も特に何もせず、 「実感ない。こんな感じでみんな大人になって離れていって特別な日が特別じゃなくなるんだな」なんて思ってたけど、その通りで、今回もなんの実感もありません。 何が好きで、何が嫌いで、何が欲しくて、何を許せて、何処へ行きたくて、誰と

          東京八景

          ・三鷹 禅林寺 2021年5月27日 5月の深夜3時にしては蒸し暑い夜だった。 「散歩に行こう」 と誘いをもらい一緒に出かけた。 コロナ禍なのでデートにも行けてなかった私はガッツポーズ。こんな時間に散歩に誘ってくるなんて 相変わらず彼は変わり者だなとつくづく思う。 行先は三鷹、禅林寺。太宰治の墓がある所。 自宅からのお気軽お散歩コースにしては キツすぎた。身体がミリミリいい始め限界がきた深夜4時、無事に着いた。 私はミニスカートにビビッドカラーのロングTシャツ

          東京八景

          晩夏と弟と

          6歳になったばかりの弟が 家でカブトムシくん達を飼い始めて 数週間が経ちました。 カブトムシが3匹、コクワガタが1匹。 最近、カブトムシくん達のお世話をするのが私の役目になってきています。 弟は コクワガタに「ファルクス」 カブトムシには「カフェオレ」と 命名しました。 しかし名前のないカブトムシくんが2匹います。どれがカフェオレなんだろう、それとも3匹まとめてカフェオレを呼ぶのでしょうか。 名前がついていないのは 何だか可哀想だと思い、私が残りの2匹に名前をつけることに

          晩夏と弟と