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北大の二外中国語

難易度・おすすめ度

難易度:★☆☆

おすすめ度:★★★

皆さんが高校まで学んできた英語は, 世界で最も話されている言語です.では, 英語に次いで話されている言語は何でしょうか.そう, 中国語です. 膨大な人口を抱える中国の世界進出にともない中国語がグローバルな言語となりつつある中, 日本人がグローバルに活躍する上で最も実用的な言語が中国語と言えます. また, 北大には多くの留学生がおり, 『北海道大学 概要 2022』によると, 2022年5月1日の統計では外国人留学生数2024人中, 中華人民共和国からの留学生は1232人と, その60%に上ります(台湾からの留学生は53名). 彼らとの深い意思疎通のためにも, 中国語は大変実用的であるといえます. それゆえ, 中国語を学び中国についての深い知識と理解を身につけることは, 中国に事業展開する企業の就活に有利に働く可能性があります.

また, 中国語は日本語と同じ漢字を用いる言語であるため, 日本人は発声できずとも文意を汲むことができます. 日本の常用漢字と中華人民共和国の簡体字で異なる部分を抑えることが学習のコツです. 「簡体字マスター」という資料が配られるので, 実際に紙に書いて練習しましょう. 一度普通話を覚えてしまえば, 簡体字を覚えるついでに繁体字を勉強して, 追加の語彙を学ぶことで, 台湾華語を習得することも容易になります.

また, 文法はかなり簡便であり, なんと 単語が性・数・格によって活用することはありません. ただし, 補語の種類の分け方が学説によって異なるなど, 日本の中国語学はまだ発展途上の段階にあると言えます.(音韻論という発音に関する分野は研究が進んでいます)

一方, 統一試験ではリスニング力が試されるため, 音声教材を繰り返し聞き教科書の例文を丸暗記するほどの努力が必要な人もいます.

文学部では, 中国文化論研究室で中国の古典や東洋哲学を研究したり, 東洋史学研究室で中国共産党の歴史や少数民族問題について研究史したりするなど, 中国語はとにかく大活躍です. 特に文学部は, 2年生になってすぐ研究室配属され専門の勉強を開始するという特異性から, 2年生になってから専門のために中国語を新たに学ぶことはハードルが高いです. ただし, 西洋史学研究室や, 2年生でアラビア語を習う東洋史学研究室, サンスクリット語やパーリ語などを習う宗教学インド哲学研究室などでは新たに言語を学ぶ機会が多いために, 2年生になってから中国語を学ぶ先輩も大勢います. 法学部では比較法専門の徐行先生の講義から中国法について学んだり, 一部の界隈では有名な岩谷將先生の講義で日中戦争について学ぶ際, 中国語は役立ちます.

このように, 様々な分野で研究する上でも, 将来の就活を考えても, 中国語は有用なのです. 言語学に興味はないけどコスパの良い言語を選びたい人にはおすすめです.

掲載情報について

この記事は 2022 年度の経験を基に書かれています. 最新の情報についてはシラバス等を参照してください.

学習内容

教科書には朝日出版社の『北大総合中国語Ⅰ・Ⅱ』が用いられます. 発音編3課と本編28課で構成されていて, 本文と新出単語, 文法事項, そして本編で習ったことを応用させて文を作る練習問題が付いています. 前期は発音編のすべてと本編16課まで, 後期は教科書の最後まで進むため, 1年間で中国語の初等文法はおおよそマスターできます.

前期

  • ピンインと発音

漢字は日本語話者にとっては馴染みが深いと思われますが, 漢字単体では正確に音を表すことができません. そのため音を転写するためにピンインと呼ばれるラテン文字が用いられます. 発音編の目標はこのピンインを見て実際に発音できるようになることが目標です.

中国語の発音は難しいとどこかで聞いた方もおられるかもしれませんが, これは中国語が声調を用いる言語だからです. 中国語にも音が似ている単語がありますが, 単語によって高低のパターンを変えることで単語を区別することができます. 例えば, 音が徐々に高くなる「麻(アサ)má」と, 音が徐々に低くなる「(罵る)mà」は意味が異なります.

ここからは中国語Ⅰで学ぶ代表的な文法について述べていきます.

  • 文の構成

中国語では上述の通り, 単語が性・数・格によって活用することはありません. そのため文に用いられる単語の品詞と語順によって文意を確定させます. 中国語の基本的な平叙文(肯定文)のタイプには動詞述語文・形容詞述語文・名詞述語文・主述述語文があり、それらを学習していきます.

  • 時間表現

中国語には時制が存在しません. そのため, 過去や未来の事態を言い表すためには文に時間を直接明記します.

  • 存在の”有”/所在の”在”

中国語では人や物の存在・所在をあらわすときに, ”有”と"在"を区別します. これはちょうど次の英文の違いに似ています.

There are some people in that room.

He is in that room.

  • 量詞

日本語は英語と違って物を数えるときは対象によって数え方を区別します(人間は一人二人、ボールは一個二個など). 同様の概念が中国語にも存在します.

  • 介詞(前置詞)

英語の前置詞に相当する介詞を用いて、場所や時間、動作の目的などを表します.

  • 助動詞

前期の山場です. 助動詞を習得することによりさまざまな表現をすることが可能になります.

  • 比較表現

中国語の比較表現は英語の比較級のように機械的に作ることができるため、それほど難しくはありません.

後期

  • アスペクト

中国語には時制がありませんが, アスペクトはあります. これは中国語の大きな特徴でもあります. 英語の現在完了形は完了や経験, 継続をすべてhaveで表しますが, 中国語ではアスペクト助詞を使い分けることで表します. また進行形も存在します.

  • 補語

1年で学習する中国語全体を通しての山場です. 中国語には動詞の後に付着して多様な意味を表す補語というものが存在します (英文法の補語とは別の概念). 補語は, 文法が比較的簡素な中国語に多様な表現を与える役割を担っています. 種類が極めて多様なため, 学習には時間を要します.

  • 把構文

中国語の語順は基本的にSVOですが, 目的語の前に”把”をつけることでSOVにすることができます. この表現が可能になる条件とその意味を学習します.

  • 使役/受身

中国語には使役や受身の構文があります. それらを学ぶことでより多様な表現が可能になります.

授業形式

授業形式

授業は基本的に週2回で, 授業形式は前期と後期で大きく異なります. 前期は2人の先生が交互に授業を行い, それぞれ1授業につき1課(1レッスン)進む形式でした(担当の先生は両方日本人の方であるクラスとそうでないクラスがあります).

後期は, 週に1回の対面授業と週に1回のオンライン授業からなっています. 対面の授業は基本的に前期と一緒でしたが, オンラインのものはZoomを用い, 中国語のネイティブスピーカーとの音読練習が主な内容でした.

課題と予習/復習

課題として, Glexaというe-Learningシステムを利用したオンラインの課題が課されます. 4課ごと(=2週間ごと)に提出期限があり, それに遅れると不可扱いとなるので気をつけましょう.

予習として、教科書の新出単語(生词)の発音、意味を確認する必要があります. そのため, 辞書の購入が推奨されています(私はWeblioを使用していましたが, 正直特に問題はなかったので, 中国語検定などの他の資格を目指さない限り紙の辞書を買う必要性はそこまで高くないかもしれません).

復習として特に指定されているものはありませんが, 課題のGlexaを貯めずにコツコツやっておくといい復習になると思います.

授業評価

平常点30%, Glexa10%, 授業内テスト(私たちのクラスでは4課に一回の確認テストという形でした)20%, 後述の統一試験40%です.

統一試験

統一試験は, 形式で分けると, 解答をマークする形式のパート(全体のおよそ80%)と記述するパート(およそ20%)から分けられます. また, 内容で分けると, 大まかに筆記(およそ60%)とリスニング(およそ40%)からなります. 基本的には, 授業で扱った単語のピンイン, 文法事項について聞かれます. ほとんど教科書そのままの出題なので, 教科書の復習をしっかりしておけば問題ないです. 

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