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△椿姫の見方が変わった話

ヴェルディの有名なオペラ、椿姫。「乾杯の歌」なんかは特に、オペラを観たことがなくても、ヴェルディ?誰それ知らないよ?って人でも、聞いたことがあるかも。

(古い映像ですが、雰囲気がわかりやすかったので。1’09頃から歌い出すのが、この記事で触れるキャラクター・ヴィオレッタです。)

わたしはこの演目を生で観たことはないけれど、これまでに映像で3本、観ています。METのダムラウ版(ライブビューイング)と、ソフィア・コッポラの椿姫。いずれも映画館にて。

そして先日新たに観たのが、藤原歌劇団で上演されたものの映像で、それが印象的だった、というお話です。(あと1, 2本観ている気がするのに、記録が辿れず…思い出したら追記します。)

観賞に至った経緯

興味本位で、U-NEXTの無料お試し登録をしました。ポイントがもらえるとか、なんとなくメリットが多そうだったので。ただ、普段あまり映画を観る習慣がないので、観たいものがそんなにたくさんあるわけじゃないし、日常的に観る時間を作ることにも不慣れだし…イマイチ使いこなせず。

そんな中、NHK BSのプレミアムシアター(日曜深夜にオペラやバレエやコンサートを放送している番組)が配信されていることを知りました。1回分ずつ購入しないといけないけど、とりあえずは登録時についてきたポイントがあるから、好きなものみられる!ということで、選んだのが藤原歌劇団の椿姫だったのです。

公演の概要

ヴィオレッタ: 砂川涼子
アルフレード: 西村悟
ジェルモン: 牧野正人
ほか

指揮: 佐藤正浩
管弦: 東京フィルハーモニー交響楽団
演出: 粟國淳

2019年1月25日 東京文化会館 大ホール

砂川さんという歌い手のイメージ

テレビでやっていたNHKのニューイヤーオペラコンサートや、去年の日生劇場の魔笛(パミーナ役)を拝見し、おっとりしたやわらかな歌い手さんだと感じていました。もっとも、日生のパミーナは演出上「ギャルの女子高生」という設定で、「おっとりしてやわらか」ではなかったけれど(笑)

それでも、演出におけるキャラ作りの如何はともかくとして、砂川さんは純真なキャラクターに配役されるイメージがあるというか、過激な人物を演じる姿というのはわたしの中で想像がつきづらかった。ヴィオレッタにしても、なかなかに癖のある人物だ(とわたしは思う)し、砂川さんが演じるとどんな風にうつるのだろう?と、ある種の怖いもの見たさのような興味を持ったのでした。

砂川ヴィオレッタがもたらしたこと

わたしの期待を裏切らず(?)、砂川さんは純真なお人柄をお持ちで、序盤のうちは、正直なところ「ヴィオレッタはもっと派手な(傲慢な)生き方をしているのではないか」とか、「綺麗なお嬢さんに見えてしまってなんとなく物足りない」という気持ちもなくはなかったのですが…

1幕のアリア ♪そはかの人か〜花から花へ を聴いて、わたしは完全にヴィオレッタに惹きつけられてしまいました。

あの歌の中でこんなにもヴィオレッタの感情が揺れ動いていること、ヴィオレッタというひとりの人間の葛藤があることを、わたしは知らなかった。これまでにも椿姫は観ているし、その都度 字幕も目にしているけど、色恋沙汰への嘲笑の意味合いが強い歌だと思っていたから。基本的に、これまでヴィオレッタに共感したことはありませんでした。

いつもアルフレード目線で、この物語を見ていた気がする。でも、この瞬間、ヴィオレッタの人間らしさが見えた。わたしはヴィオレッタの視点から物語を捉えるようになったのでした。

△の視点から

同じ筋書きでも全く異なるように感じる、というのは舞台の醍醐味だと思います。もちろん、これは砂川さんの演技だけではなく、演出家の方針やこの舞台の他のキャストの立ちまわり、これをみたときのわたしの心情などに依るところも大きく、一概に「砂川ヴィオレッタのおかげ」とは言えないのだけど。わたしの中で貴重な体験だったなと思ったので、書き残すことにしました。

本当はもっと推敲したかったけど、急いで公開するのは、再放送に間に合わせるため。もし椿姫のこの演出版に興味を持ったかたがおられたら、

8月2日(金)14:00〜放送
オペラ・ファンタスティカ (NHK FM)

をぜひともお聴きください。残念ながら映像ではないけれど。

(インターネットからも視聴できます。)

U-NEXTのポイント216円分を持て余しているかた、NHK見逃しコースに入っているかたは、ぜひ映像で!

公演概要の項では、キャストさんやスタッフさんの情報を大幅に削ってしまい、ごめんなさい。ヴィオレッタの話をしたかったので、そこにフォーカスさせていただきました。

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七志野さんかく
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