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サンタクロースでなくシンタクラース?オランダ🇳🇱のクリスマスまとめ
※ この投稿は「ひぐち @ デンマークで仕事中🇩🇰」さんのアドベントカレンダー企画の「Let's シェア! 外国のクリスマス🎄」に参加(便乗)しています。
Ho Ho Ho!
今日は、オランダ🇳🇱から、クリスマス🎄🎅をお届けします。
今回の記事に向けて年配〜大学生までのオランダ人に話を聞き、オランダ語and英語で検索をしました。日本語ではどこにも書かれていない情報も盛り込んだつもり…なので楽しんでもらえたら嬉しいです!
オランダは、他の北ヨーロッパ諸国同様、クリスマス(みたいなもの)が「2度」あります。シンタクラース(聖ニコラ)とサンタクロースです。
シンタクラースを初めて聞いた方は「サンタみたい!?」と思われるかもしれません。
それもそのはず。サンタクロースが米国版だとすると、シンタクラースはベネルクス版。(ルーツはドイツの「聖ニコラ」にありますが、ベネルクスでは「シンタクラース」という独自名を採用しています)
米国版のサンタクロースは、オランダ系のアメリカ移民者がシンタクラースやヨーロッパの他の文化をミックスし、シンタクラースを文字って、作ったと言われています。
実は、今回、外国のクリスマス(12月25日)を披露するアドベント企画に参加しているので、シンタクラースはスルーして、オランダのクリスマスのみ語ろうと思いました。しかし!シンタクラースを語らずして、オランダのクリスマスは語れない(笑)という事が明らかになってきたので、シンタクラースの話を先にしたいと思います。
国を挙げてお祝い「シンタクラース」
毎年12月5日に祝うシンタクラースは子供向けのイベントですが、オランダではこちらの方が俄然、盛り上がります。
シンタクラースは、セントマータンというオランダ版ハロウィーンのイベント後に、スペインから船でオランダにやってきます。白馬に乗り、肌の黒い助っ人のピートと一緒に。
スペインから!?なぜ船で?? ハテナだらけですよね。
その理由は後で探るとして、シンタクラースのイベントについてもう少しだけ説明します。
オランダに到着したシンタクラースは、各地を巡りながら子供達にお菓子を配り、12/5の夜にはプレゼントを置いていってくれる。この期間、子供はプレゼントをもらうために善い行いをしたり、自分の普段履いている靴に、馬向けの人参とシンタクラースへの手紙を入れる。そして毎日「シンタクラースジャーナル」というテレビ番組を見て、12/5を待ち望む。前夜は興奮で寝られなくなる子供も出てくる、そんな"一大"イベントです。
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子供がプレゼントをもらう、という点では日本のクリスマスと似ていますね。まぁ、日本のクリスマスは米国のクリスマスを輸入し、肝心の米国は欧州のシンタクラース/聖ニコラ(12月5日or6日)を輸入しているので、似ていて当然ですが…。(←ややこしい..)
シンタクラースは何者?なぜスペインから船で来るのか?
さて、シンタクラースは一体何者で、なぜスペインから船でやってくるのでしょうか?シンタクラースの起源をぐぐってみました。
シンタクラース(聖ニコラ)は、3世紀に多くの子供や女性に施しをした実在の人物です。それゆえ聖人として讃えられ、彼の亡くなった日(12月6日)に子供たちに施しをする(≒プレゼントをあげる)祭日が、1200年代にフランスでスタートしました。なかなか起源が古いですね。
しかし、船でスペインから来るイベントになったのはつい最近。19世紀にとある学校の先生が当時最先端の発明であった「蒸気船」に乗った、聖ニコラの絵本を書き、それが20世紀に商業化(イベント化)されたのが有力説です。
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Source: dbnl.org/
スペインから来る理由は、諸説あります。
ちょっと安易な説1 : 聖ニコラの像では3つ金色の玉を持っています(以下イメージ参照)。この玉が、オランダで冬に手に入りやすいスペイン産みかんを連想させたため。
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説2 : 聖ニコラの遺体がスペインの植民地であったイタリアに埋葬されていたから。
真相は分かりませんが、シンタクラースが時代に合わせて蒸気船を採用したり「現代風」に進化しているところは、なかなか面白いなと思います。
宗教的なお祝い「クリスマス」
さて、やっと本題のクリスマスの話に移ります。ヨーロッパ(少なくともオランダ)のクリスマスはもっと別の意味合いを持つことになります。
クリスマス期間の過ごし方
クリスマスはシンタクラース(12/5)が終わった直後から開始します。(一大イベントのシンタクラースとは決して被ってはならないそう!)突如、そこらしこの特設スペースで本物のもみの木が売られ始めます。他のヨーロッパ諸国同様、多くの家庭で本物のツリーに飾り付けをします。室内をキャンドルでいっぱいにしたり、窓や家の回りにイルミネーションを飾ったり。街はクリスマス一色になります。
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今でこそ、米国の影響を受け楽しいイベント事になっていますが、ヨーロッパ(少なくともオランダ)のクリスマスは、宗教的色が強めになります。
プレゼント交換をする家庭も多くありますが、もちろん北極からソリに乗ったサンタがやって来くる事はまずありません。(もう来ましたからね)
オランダでも教会礼拝者が減少していると言われて久しいですが、クリスマスの時期は、子供から大人まで多くのオランダ人が教会に足を運びます。移民や無宗教者が増えるオランダですが、まだまだキリスト教の教えは国の根幹にあります。
教会に行きクリスマスキャロルを歌い、灯された沢山のろうそくを鑑賞する。何百年も変わらない風習だそうです。(宗教改革時の禁止の時期を除き)
1950年代は、本物のツリーに、本物のキャンドルを灯し、万が一燃え移ったときのために、常に水入りバケツを横に置いていたとのこと。その名残か、今でもリースの上にキャンドルを置くアドベントリースという習慣もあります。
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クリスマスの食事
オランダのクリスマスは、ディナーがとてもユニークです。というのも、クリスマスに商機を見出した企業が、ここぞとばかりマーケティング活動に力を入れたため面白い変遷を辿ってくることになったのです。
1950年代のクリスマスは、母親が作ったスープ、グレービーソースのかかったチキン・ポテト・野菜、デザートに手作りプリンを食べていました。いわゆる、母親やおばあちゃんお手製の「特別な日のごちそう」でした。
しかし、1970年代になると酪農業界のマーケティングによりチーズフォンデュが流行り始めます。酪農国なので仕方ありません。しかしこの時期、肉協会もクリスマスになんとしても「肉」を広めたかった。当時、オランダでは肉は日常食ではありませんでした。そこで、焼肉のような「グルメッテン」を発明し、有名人シェフに地方巡回をしてもらうような地道な活動を通して浸透させようとしました。
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結果「グルメッテン」の圧勝。またこの活動が奏功し、オランダ肉協会の願い通り肉が主食となっていきました。素晴らしいマーケティングの事例になりそうです。笑(ちなみにこの詳細はこちら)
今でもオランダ人の多くの家庭で「グルメッテン」は根強い人気があります。
また、オランダ人にとって嬉しいのはクリスマス当日の朝食。豪華な、ドイツ発祥のシュトレーン(オランダ版)やチーズ、スライスした肉などを食べるそうです。また、教会によっては、ドイツ発祥のシュトレーン(オランダ版)を振る舞って、地域の人と一緒にお祝いをする習慣が残っていることも。
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オランダのクリスマスの特徴としては、12月25日と26日の両日を祝います。1日を父親の家族、もう1日を母親の家族と、といった具合に。
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さて、オランダのクリスマスはこんなところでしょうか。
今回、オランダのクリスマスとシンタクラースを調べていて、日本人である私がいかにクリスマスに無知であったかを思い知らされました。
世界のアドベントカレンダー企画者のひぐちさん、クリスマスの沢山示唆を下さった世界の人に聞いてみたさん、ありがとうございます!
また今回には含めませんでしたが、ヨーロッパのクリスマスの起源(3世紀頃〜)に関しても面白い話を色々発見したので、また次回にでも書きたいと思います!
Tot ziens!(またね!)
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