いたいけであることの自覚
ある朝着替えていると、ズボンの裾のほつれた糸が、左足小指の爪に引っ掛かった。ちょっとでも動けばテコの原理で爪がバイバーイ!しそうで、くそ焦る。糸を引っ張って、爪から外そうとする。クッ、なかなか外れない。しばらく前屈のしんどい体勢で固まってしまう。だ、だれか…!運良く近くに刃物があるのを見つけ、手を伸ばして糸を切り、ことなきを得た。
体のごく一部でしかないのに、ここ抑えられると何もできなくなりまーす!ってなる人間の脆弱さ。ささくれ、口内炎、靴擦れなどなど、例を挙げればキリがない。面積で言えば全体の10%にも満たさないくらいの範囲にも関わらず、全体の動きがぎこちなくなる。焦ったり、気になったり、振り回されるので、影響範囲は結果的に広範囲に及ぶ。
なんなら骨折くらい大怪我の方が、こりゃ無理だー!と割り切れて、生活をストップしてでも、大人しく治すことに意識を切り替えやすい。
ささくれみたいな小さい傷ごときで、生活をストップするわけにいかないもんな…。絆創膏を貼るなり、薬を塗るなり、飲むなり、二宮和也で対処しなきゃいけない。日々のストレスは、大怪我の時よりもじわじわと積み重なって、大きな負担がかかっているように思うのになぁ。
体の不調と同じくらい、心の不調にもすぐに気がつきたい。小指の糸をすぐに断ち切れるくらい、小さなことでも、自己防衛が当たり前に出来るようにいたい。爪の一枚でも欠けてしまうと、立ち行かなくなるような、いたいけな自分であることを自覚して生きようよ、みんなで。