2040年に向けて、介護サービスは足りないわけではないの? 高齢者人口の増減は地域差がある
1月9日開催「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会(第1回)を傍聴しました。
第1回であり、検討会名が「2024年に向けた」とあれば、聞きたくなりますね。
ざっくり言うと、介護保険や福祉等のサービスを必要とする人へ、継続的にサービスを提供できる体制をどう作っていくかを考えていく検討会のようです。
最初に、座長として野口晴子先生(早稲田大学政治経済学術院教授)が選任されました。
第1回は、高齢者等に係る施策、介護保険サービスがメインです。
事務局から課題として挙げられたのが下記の4つです。
それぞれの内容を気になるところをまとめてみましたが、詳細はこの記事の最後にそれぞれの「課題と論点」を資料から抽出して掲載しましたので、ご覧いただければと思います。
① 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービスモデルの構築や支援体制
2040年にむけてサービス需要が減ってきている地域(中山間地域)、これからも増えていく地域(都市部)、いったん増えて減っていく地域(その他地域)がある。
この3つに分類の特性はもちろん、それぞれの地域の特性によりサービスの需要が異なり、そして変化していくことを踏まえて、どのように対応していくか。
② 介護人材確保・定着、テクノロジー活用等による生産性向上
③ 雇用管理・職場環境改善など経営の支援
今もこれからも、介護の担い手の不足はかなり深刻。解決のためには、介護職の確保・定着、そして人口減少時代のなか他業種と同様に、介護においてもICTの活用による生産性の向上など効率性が重要。
また介護事業者自体にも継続的な運営のために、協働化・大規模化等による経営改善の取組が求められていく。
④ 介護予防・健康づくり、地域包括ケアと医療介護連携、認知症ケア
住民主体の通いの場や高齢期における就労等、高齢者の社会参加などの介護予防は効果が出ており、拡充発展が必要。
また、85歳以上の人口が顕著に増加すると予想され、医療と介護の複合ニーズを抱えた方が急増。このため、医療機関と介護施設の連携の強化等、医療と介護の連携がより一層重要となり、医療ニーズを有する要介護者の受け皿の整備が課題。
※ 個人的に切り取った情報ですので、詳細は、資料3「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』現状と課題・論点について」を参照ください。
構成員からの意見
以降は1回目と言うこともあり、各構成員一人一人からの発言となりました。
個人的に印象的なところを。
・ICTを進めるのはいいが、介護における生産性向上とは何をさすのか。
・(医師の方から)医療現場で要介護をつくられてきたところもある。
・高齢者は増えているのに、2005〜2023年までに入院数は減っている。こうした変化のデータを細かく見ていくことが大切。
・資料に介護職の離職理由の第一に「人間関係」とあるが、実際に他業種に流出していることからも他業種と比較して給与の低さも要因となっており賃上げが必要。
・「中山間部」「都市部」「その他地域」のなかで、サービスが増加し減少する「その他地域」が実はかなり供給のコントロールが難しいと思う。
・介護保険は3年ごとに改正するため、パッチワーク的な対応が多くなってしまっている。
・介護施設を中心にまちづくりをしてはどうか。施設は生活の場なので、介護職以外の人々も集まる。新たなコミュニティを作るマネジメントを介護職が担ってもらうことで魅力的な職業になるのでは。
・介護予防は進んでいるが、少し進行した「自立支援」「重度化防止」も大切。そのためにも、科学的介護の推進が必要。
・フレイルの段階で専門職が関わることが重要。少し乱暴だが、介護老人保健施設は居宅における生活への復帰を目指す施設なので、フレイル対策を義務付けてはどうか。
・「中山間部」で介護サービスの撤退の危機が言われているが、お金だけの問題でなく、公共交通が消えていることも要因。
・介護サービスの地域差・時間軸を考えた供給コントロールが必要だか、医療についても同様のことがいえる。
・学生はSDGsなど社会問題への関心は高い。介護も社会課題と考えることでキャリアデザインの選択に一つになるのでは。
・介護職の仕事の4割が移動と事務作業になっている。介護報酬算定を簡素化するなど事務作業を減らすことが必要。
取り違えがあるかもですが、ざっと書き出してみました。
今回は、全員の意見を聞くのみで、終了となりました。
次回は2月に開催予定。春までに5回開催。第1回から第5回は高齢者施策を中心に議論し、最後5回目には「高齢者施策にかかる中間とりまとめ」となるようです。
第6回以降は、第5回目までの議論も踏まえ、他の福祉サービスも含めた共通の課題について検討し、夏を目途にとりまとめ(予定)とのことです。
以上、簡易なものですがご報告まで。
「課題と論点」一覧(資料3より)