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ストレスチェックだけでも全労働者になるのか、いや、職場環境改善までのアレンジが提示されるのか…

7月26日開催の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第5回」を傍聴しました。

今回は、事務局が「ストレスチェック制度の枠組みについて」の今までの議論を9つの論点にまとめ、これを元に議論がされました。

●50人未満の事業場におけるストレスチェック
論点1 労働者のプライバシー保護
論点2 医師の面接指導の事後措置
論点3 50人未満の事業場に即した実施内容
論点4 実施コスト
論点5 地産保等による支援、その他50人未満の事業場に対する支援策

●集団分析・職場環境改善
論点6 実施状況を踏まえた集団分析の今後のあり方
論点7 実施状況を踏まえた職場環境改善の今後のあり方
論点8 集団分析・職場環境改善の実施体制
論点9 外部の支援

資料には、それぞれの論点ごとに、(前回の論点より)(第4回検討会における主な意見)(意見を踏まえた考え方)が記載されています。

先に、検討会前にアップされていた資料をご覧になった知人の保健師 I さんから、「事務局の苦心のまとめが伝わってきました(本当に大変そう)」
というメッセージをいただきましたが、確かに、といった内容です。

以下の私の記述は、この論点案の内容の一部を切り取っていますので、下記リンク先を読むとほぼ方向性全体を把握できるかと思います。

資料1「第1回~第4回検討会における主な意見及び論点案」 論点案はP36から

●50人未満の事業場におけるストレスチェック

まずは、「50人未満の事業場におけるストレスチェック」について。ここで注目は、「ストレレスチェック」であり、「ストレスチェック制度」ではないこと。

今回は、ここを分けて議論するようです。
今まで、反対の意見を述べていた構成員からも、今回は、どこまで実施できるのかという疑問を呈しながらも、「セルフチェック・セルフケア」までなら、実施の可能性を強く否定していませんでした。
この構成員の方からは、現実的なところとして、事業者に義務化されている、定期健康診断を実施している健診機関で同時実施なども挙げていました。
また、実際の小規模事業所で「ほぼ家庭」のような職場がたくさんあるということを認識して、現実的な仕組みづくりが必要と述べていました。

健診機関での実施については、他の構成員からは、全部の健診機関がストレスチェックに対応できるわけではないこと、また定期健診は二次予防だが、ストレスチェックは一次予防であり、検査、事後、面接などどこまで委託できるのか、受診者側も二次予防という理解にならないかといった意見が出ていました。

他にも、
・50人未満の中小企業だからこそ、トップへの周知・啓発が重要(この意見多数)。
・小規模事業場において、プライバシー保護の観点から外部委託することは現実的な選択肢となっているが、対象者が約2倍となるが対応できるのか。
・具体的な50人未満事業場への実施体制・整備のモデル例を示してからでないと、実施できるかは判断できないのでは。
・労使間の話し合いの場になるきっかけと考えてはどうか。好事例だけでなく、困っている事例について情報が重要。
・個人情報の取り扱いは、健診でできているなら、ストレスチェックでもできるはず。
・「こころの耳」には、「5分でできる職場のストレスセルフチェック」「働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023(働く人用)」「職場のメンタルヘルス対策の取組事例(小規模事業の事例も掲載)」など役立つ情報が記載されているので、こうした情報の啓発と利用を促すことが重要(この意見多数)。

・事業者の負担コストを考えると厚生労働省版ストレスチェック無料実施プログラムを小規模事業場にとって使いやすくするのは必須では。

・ただ義務化しても、義務を果たすことが目的化してしまい、思い描いている理想なものにならないのでは。周知・支援をしっかりとして、採用や離職防止につながる「有効な手段」というメリットを示すことが重要。

などの発言がありました。

ざっくりの印象では、
もちろん義務化されれば、事業者はやらざるを得ないとなりますが、義務を果たすことが目的化してしまうリスクがあります。
座長が話されていましたが、「小規模事業場における実質的な実施の絵が描けるか、その効果を周知・啓発していけるか」にかかっているかと感じました。

●集団分析・職場環境改善

集団分析・職場環境改善の実施状況はなかなか厳しい感じです(下記、資料をご参照ください)。

第1回~第4回検討会における主な意見及び論点案 P46 (集団分析)
第1回~第4回検討会における主な意見及び論点案 P49 (職場環境改善)

50人以上の事業場でも努力義務の集団分析・職場環境改善。一次予防という点からは、ストレスチェックから一体的なものですが、「職場環境改善」は多種多様であり、効果測定はどうするのかなど、ここはなかなか難しい。大手でも試行錯誤しているとのこと。
構成員から「集団分析までを義務化しては」という意見もあり個人的にはそれもありかと。改善の具体策は様々ですが、ストレスチェック、集団分析までは、ある程度義務の「これだけはしなければならない内容」は決められるようにも感じました。
複数の構成員からは、「集団分析・職場環境改善」ともに義務化しないと、「職場環境改善」という一次予防が進まないのでは、という意見も出ていましたので、どうなるのかはまだまだわかりませんが……(義務化への工程表の提示をすべきという意見も)。
もちろん、職場環境改善は重要。この実施のために、集団分析の結果を改善ツールとして活用、ほかにも好事例などの具体策の提示や研修会の開催、事業者への周知など、職場環境改善を進めていくために、何をどうしていくかをしっかりと決めていく必要を感じました。

以上、次回は8月30日。
たぶんかなり具体的な内容がでてくるのではとないかと。ご報告まで。

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「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の今までのレポート(1〜4回)


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