介護被保険者証のペーパーレス化など、介護DXはもう待ったなしの状況なのかも
7月8日開催の「第113回社会保障審議会介護保険部会」を傍聴しました。
●介護情報基盤の整備の必要性とそのメリット
議題のメインは「介護情報基盤」について。
「介護情報基盤」とは、自治体・利用者・介護事業所・医療機関等が介護情報等を電子的に閲覧できる情報基盤のこと。
令和5年に成立した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」にて、下記のように、必要性とメリットが記述されています。
また、介護基盤整備のためのお金出所として
●今後の検討課題として、介護被保険者証のペーパーレス化
具体的な介護基盤整備とそれぞれの情報の流れを下記の図版として掲載されています。
資料には、「利用者」「自治体」「介護事業所」それぞれの活用イメージも図版化されて、わかりやすいですね。
今後の検討課題としては、情報閲覧など情報共有への本人の同意取得(家族や委任者の扱い等)、関係各署のデジタル化への理解、基盤整備のための予算も含めた支援などが事務局から挙げられていました。
そして、介護基盤整備により、介護被保険者証の情報がデジタル化されることから、介護被保険者証のペーパーレス化が提案されました。
介護被保険者証のペーパーレス化により、65歳での被保険者証の一斉送付、以降も介護保険利用時の複数回の被保険者証の提示などを、認定の申請・通知、届出など、ペーパーレス化によって、業務効率化や利便性向上となることなどが示されています。
●2026年(令和8年)4月1日の施行を目指す
今後の具体的な日程として、市町村の標準準拠システムへの移行目標が令和7年度中とされていることを踏まえ、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和5年法律第31号)の介護情報基盤に係る規定については2026年(令和8年)4月1日の施行を目指し、準備を進めることとしてはどうか、という提案がされました。
令和8年4月までの課題として、国、市町村、介護事業所、医療機関について、下記内容を挙げています。
としています。介護事業所の整備はかなりありますね。
●総論は「賛成」進めるにあたっての課題は色々
事務局からの説明後、各委員から意見が出されました。総論は、「全員賛成」ですね。ただ、それぞれの立場から、
○漠然と不安を持つ高齢者や、認知症の人などに対して、前提となるマイナンバーカードの取得、情報閲覧への本人同意の取得などへの丁寧な対応。
○介護情報と医療情報との相互の情報共有。
○実際に、ケアプランなどの情報など介護事業所の情報がデジタル化していかないと、絵に描いた餅になってしまう。紙からデジタル化するための過渡期には十分な時間と支援を。
○事業所に対して、業務効率化や利便性向上、そして介護の質の向上につながる、といったメリットの「見える化」と、導入負担を考慮すること、そして具体的な技術支援が必要。
○年々、加算という形で対応してきたため、介護保険報酬の業務が複雑化している。介護保険自体の請求なども簡素化することを考えていくべきでは。
などの意見が出されていました。介護事業所への支援は必須ですね。
●「地域共生社会の在り方検討会議」の概要の説明
議題のその他として、最後に6月27日に初回が開催された「地域共生社会の在り方検討会議」の概要が説明されました。委員からは、地域共生社会の概念の定義が担当部署によって、近いとはいえバラバラであること、自治体ごとに取組に格差が生じないようにすべき、また市町村自体が人手不足、市町村という単位で取り組むこと自体も再検討しては、などの意見が出ていました。
こちらの検討会には、部会長の菊池先生、石田委員も参加されているので、今後の進行内容なども報告していくとのこと。
介護DX化、なんだか一気に進みそうですね。ただ事業所は小規模も多いので対応できるか。それでも人手不足など日本の課題解決として、もう待ったなしの状況なのかもです。