見出し画像

健保組合と事業主との連携に、コラボヘルス、Well-beingと盛りだくさんの情報提供

11月18日開催の「大和総研 社会保険セミナー(厚生労働省 保険局医療介護連携政策課長 山田 章平氏 特別講演)」を拝聴しました。

このセミナーは主に健康保険組合の方が参加されていたようです。講演内容もその視点となっていると思います。

山田課長の講演は「健康保険組合と事業主をつなぐコラボヘルス、Well-being、医療介護保険連携などに関する情報提供」

はじめに、日本のいまの現状から、健康保険組合(以下、健保組合)の取組が、採用や離職防止への影響を及ぼすか。「人に対してどう資本を投資するか」という人的資本経営の視点としてとらえることの重要性を話されていました。

Well-beingについて

そしてWell-beingについて。恥ずかしながら、Well-beingを「幸福感?」という感覚でしか理解していませんでした。

内閣府では生活満足度(Well-being)をさまざまな指標から測定しています。
こうした指標を、内閣府で「満足度・生活の質に関する調査」として調査が行われています。
「我が国の経済社会の構造を人々の満足度(Well-being)の観点から多面的に把握し、政策運営に活かしていくことを目的とするもの」らしいです。

こども、教育、環境などの分野では、基本計画のメインテーマに位置付けられており、今後さまざまな基本計画に取り入れられていくようです。

山田課長からは、内閣府の生活満足度(Well-being)調査からのお話で、ざっくりというとコロナ禍で下がったが、以降は全体に生活満足度は上昇しているようです(ただし40-60代はあがりきっていない)。細かな結果は、上記の報告書をご覧ください。

ここからは、知識が全くなかったので、内閣府による生活満足度(Well-being)について調べたものなので、読み飛ばしていただいても、という内容です。

内閣府では、満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)が設定しています。

満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)
「満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)」は、我が国の経済社会の構造を人々の満足度(Well-being)の観点から多面的に把握し、政策運営に活かしていくことを目的とするものです。 国民生活を様々な角度から、統計データを用いて一覧表示しています。
満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)(PDF形式:982KB)

内閣府サイト(満足度・生活の質に関する調査)

第1指標が「生活満足度」です。これを構成するものを第2指標として、分野別主観満足度として11指標・分野があります。その下に第2指標を構成するものとして、第3指標として11分野ごとに3指標かあります。

満足度・生活の質を表す指標群(Well-beingダッシュボード)

例えば、
第2指標の一つ「健康状態」の第3指標は「平均寿命・健康寿命」「糖尿病が強く疑われる者の割合、生活習慣病による死亡者数の推移」「運動習慣がある者の割合」の3つの指標となります。
他にも第2指標の一つ「社会とのつながり」の第3指標は「ボランティア行動者率」「個人寄付総額」「交際・付き合いの時間」の3つの指標となります。

厚生労働省では、目標として「健康寿命の延伸」が挙げられるますが、この生活満足度(Well-being)という概念を形づくる分野の一つとしての意味合いも強くなるのかもしれないと感じました。

俗にいう無関心層では健康分野の満足度が低くても、他の分野が高いのかもしれませんね。人生においての満足度を多面的に捉えるという意味で面白そうです。

コラボヘルスについて

一番強調されたのは「健康スコアリングレポート」を、企業(事業主)と健保組合との連携(コラボヘルス)のためのコミュニケーションツールとして活用してもらいたいということでした。

健康スコアリングレポートの概要
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001299322.pdf

厚生労働省サイト

2024 年度健康スコアリングレポートの実施方針
https://kenkokaigi.jp/doc/2024/240617-houshin.pdf

日本健康会議サイト


2024年3月から、従来の保険者単位のレポートに加え、事業主単位レポートの提供を開始されたそうです。総合健保組合の方などには、強力なツールになりそうです。
健康経営の広がりについても言及されていて、健康経営の取組と保健事業の取組を可視化することで、より推進してほしいとのことでした。
また、資料には「事例」がたくさん記載されており、一部紹介していただきましたが、こちらはなかなか読み応えがあります。どこかに掲載があるかと検索しましたが、見つからず…… 残念です。


保険者による予防・健康づくりについて

いちばん印象的なところだけ。それは今年度からはじまった第4期特定健診・保健指導ですが、次回の6年後の改正を見据えての研究がスタートしているとのこと。内容として、健診後の行動変容を、アプリの活用の有無、インセンティブの有無、自己チェックのみ、保健指導の有無などについて、それぞれ単独、組み合わせなどを行い、生活改善の程度とコスト(!!)をみているそうです。次回改正は、エビデンスに基づいた大きな改正が行われそうと感じました。
また、医療保険者の立場として、患者本位の治療の最適化として「休薬・減薬」に関する研究もすすめているそうです。

社会的処方、医療費適正化計画について

ここらへんは時間が少なくなり、足早に。
社会的処方については、いくつかの県でモデル事業を実施。医療では支えられない「社会とのつながり」を通いの場などにつなぐことを目的としています。つなぐ役割として「リンクワーカー」の育成なども行っているようです。
医療費適正化計画については、後発医薬品を数量ベースで目標達しても、金額ベースでは低いため、「2029年度までに後発医薬品の金額シェアを65%以上」に設定したそうです。

マイナ保険証について

2週間後に新しい保険証を発行されなくなります。山田課長はマイナ保険証のご担当とのこと。お話から、マイナンバーカードと保険証の統合(?)に向けて、保険局もちろん、医療保険者、その他関係団体に方々は、ほんとうにさまざまな難関があったんだろうなあと感じました。(マイナ登録者の内)医療機関受診者の利用割合は約35%でまだまだ多くはありませんが、「医療DXが進むことのメリットを感じてもらうこと」を進めていきたいとのことでした。また来年春にはスマートフォンの搭載もはじまるようです。マイナンバーカードを携帯したくないと感じる方にも普及していきたいとのことでした。

情報提供というタイトルどおり、あふれる情報におぼれてしまいそうでした(汗)。


後半は「今後の健康経営に求められる視点〜事業主と保険者への期待〜」(株式会社大和総研政策調査部 石橋未来氏)

こちらは、令和6年度健康経営度調査をていねいに読み解き、今後求められる視点を解説いただきました。健康経営は、毎年課題への解決となるために、配点を変えたり、新規項目が加わったりと変化しています。

令和6年度のポイントとして下記のようにまとめられています。

経済産業省 健康・医療新産業協議会 第12回健康投資WG 資料2

健康・医療新産業協議会 第12回健康投資WGレポートはコチラ↓↓↓

見ていてわかるように、厚生労働省の政策とほぼ合致しているといってよいかと思います(保険局はもちろん、健康局、労働局のものも)。
例えば前述した、特定健診・保健指導制度の今後の展開としてのアプリやインセンティブにはPHRと強く結びつくものかと思います。

石橋氏からは、それぞれの項目について、データや政策に基づき、なぜ、いまこの追加や変更が行われたかを解説していただきました。

こうしてみると、健康経営はよりデータヘルス計画に基づき、データヘルス計画も健康経営の推進に役立つという、まさに両輪のものとなっているのを実感しました(個人の感想ですので…)。

取り急ぎご報告まで。

いいなと思ったら応援しよう!