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日本人の食事摂取基準(2025年版)の「生活習慣病及び生活機能の維持・向上」への追加は骨粗鬆症のみに

3月6日開催の第5回「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会を傍聴しました。

資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/newpage_00100.html

この検討会は、令和7(2025)年度以降の新たな基準となる「日本人の食事摂取基準(以下、食事摂取基準)」の改訂について設置されたもので本会でラスト。

議事は「報告書案(案)」についてで、副座長の朝倉先生からの改訂のポイントを掲載順に説明、その後構成員からの意見、最終的には座長の佐々木先生に一任となり終了しました。

報告書案は、全532ページ。内容も栄養の専門家向きのものなので、かなり難しく理解不足(言い訳)。そんななかで傍聴していても、最新のエビデンスのチェック等の細かな作業や全体的な方向性の提示など、栄養分野等の専門家の知の結集であることはひしひしと感じました。

●「疾患との関係」には骨粗鬆症のみ新規追加に

前回の傍聴からの変更点として、「生活習慣病及び生活機能の維持・向上に係る疾患等とエネルギー・栄養素との関連(以下、疾患との関係)」に新しく加わる予定だった、骨粗鬆症とフレイルが、骨粗鬆症のみとなったことでしょうか。
理由として

「疾患等の条件を満たすかについて検討を行った。その結果、通常の食品の組合せで摂取できる量により、栄養指導を通じてフレイルの症状や状態の改善が見込まれることが明らかな栄養素はたんぱく質のみであり、複数の栄養素がフレイルの発症や重症化の主要な因子であるエビデンスが乏しいことが明らかになった。」

「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」策定検討会 報告書(案)

ためとされています。
ただし、各論の大項目のひとつとなっている「対象特性」にある「高齢者」のなかにフレイルはしっかりと盛り込まれています。

ちなみに前回レポートはコチラ ↓↓↓↓↓↓


●「肥満・やせ」についても言及

ほかにも「肥満・やせ」について、「疾患との関連」の前文として、

「肥満及び肥満症並びにやせがある。しかし、これらはここで扱う生活習慣病等の原因でもあり、関連の方向や程度はそれぞれの生活習慣病等によって異なる。そこで、本節では、肥満及び肥満症並びにやせという項は設けず、それぞれの生活習慣病等のなかで扱うことにした。これは、肥満及び肥満症並びにやせの問題が、これらの生活習慣病等よりも軽いという意味ではなく、むしろ、本節で扱う全ての生活習慣病等と密接に関連していることに留意されたい。」

「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」策定検討会 報告書(案)

と、重要性を記載しています。

●基準値という数字だけにとらわれず「なぜそうなったか」が重要

さてさて、全体を語るには、残念ながらあまりにも知識が足りず。
食事摂取基準が改訂となると、素人の感覚としては、食塩の目標量が変わっていないか、鉄は、カルシウムは、カリウムはどうなのか、とついつい「数値」の変更に目がいってしまいますが、ここらへんについて、座長の佐々木先生からは、「数字の変更だけでなく、どうしてそうなったかという考え方をしっかりと理解してほしい」とのこと。事務局からも同様の説明があり、報告案でも「食事摂取基準を活用するに当たっては、基準値だけでなく、「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」に記載されている策定の基本的事項や策定の考え方、留意事項等を十分に理解し用いることが重要である。」と前文(ⅱ)でも記載されています。
といいつつ、数値としては、ビダミンB1、ビタミンCは大きく変わったようです(たぶん)。

全532ページ。朝倉先生が説明された改訂ポイントのページ数だけはどうにかメモったので、ゆっくりと調べつつ読んでいければと思います。
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食事摂取基準は、健康増進法第 16 条の2に基づき厚生労働大臣が定めるものとされ、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の発症予防を目的として、食事によるエネルギー及び各栄養素の摂取量について、「食事による栄養摂取量の基準」(令和2年厚生労働省告示第 10 号)として示されている。
この食事摂取基準は、科学的根拠に基づく栄養政策を推進する際の基礎となるものであり、また、健常者及び傷病者を対象とした事業所給食、医療・介護施設等における栄養・食事管理や栄養指導において、管理栄養士や医師等の医療従事者が用いるものとして、5年ごとに改定を行ってきた。

「日本人の食事摂取基準(2025 年版)」策定検討会 報告書(案)


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