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2021年に50周年を迎えるアルバム達を聴く〈2〉ザ・ドアーズ/L.Aウーマン
"2021年に50周年を迎えるアルバム"を聴くシリーズ。
今日は2枚目。
ザ・ドアーズの「L.A.ウーマン」。
実を言えば、ドアーズは私の中で封印していた。タイトルに吸付けられるようにして、1stアルバム「ハートに火をつけて」を聴きすぎた。
なんじゃこりゃ!!的衝撃。ジャズのリズムに上手くウエストコーストの風が絡みついたドラム、シャウトしながら歌う、♪ブレイク・オン・スルー・トゥ・ジ・アザー・サイド、で何も飲んでいなくても昇天しそう。
ひたすら夢の世界へ誘うダルシマーと踊るチャールストン。
本能で紡ぎ出すピロピロ高音なオルガン。羽ばたく蝶でも捕まえるように目はぐるぐる。♪カモン・ベイビー・ライト・マイ・ファイヤー、はい、行きます。
そしてインドのラーガにでも酔うかの如くなラスト。
世間の女子がお立ち台で扇子を振りかざして踊っていた頃、私は、ジム・モリソンの世界が爆発し過ぎのこのアルバムに完璧に浸かってしまっていた。
そして、確か他のアルバムも聴いたが、これ程の衝撃は得られず、もうこれは、これ以上問い詰めない方が良いと悟った。
そして時は流れ。これを聴いてみる。
彼らの7枚目、4人揃った最後のアルバム。
全米第9位、全英第28位。
01. チェンジリング
カリフォルニアからもっと南部へ移動したのか、と思う程な骨太サウンド。ベースラインがはっきりしているせいか、ギターワウのせいか、体型的にも太めになったジムの変わってしまった声がそう思わせるのか、全体的に重い。というか苦しげだな。
02. ラブ・ハー・マッドリー
あ、ちょっと軽いブギ調。ギターもオルガンも一生懸命リズミック。オルガンが高揚していくのと反比例にヴォーカルのテンションが下がっていく、と感じるのは気のせいか。♪オーリョーラー、投げやりな。"マッドリー"をこんなさらっと繰り返しちゃっていいものか?あんまり歌いたくないみたいに聴こえるんだが。
03. ビーン・ダウン・ソー・ロング
どんどん南下し、サザン・ロック~はたまたスワンプか、の形相に。だいぶ方向性変わったんですね。
04. カーズ・ヒス・バイ・マイ・ウィンドウ
こりゃー、バリバリブルースでござんす。どうしてもジムの声に聴こえない。ギターもいつもと違く聴こえる。けどイーですねー。
05. L.A.ウーマン
ちょっと調子が戻ってきたかな。スピードのあるグルーヴ感が戻ってきたか。一応頑張ってるね。きっとコレ目玉曲。ハッとはしたけどいまいちグッと来ない。
06. ラメリカ
怪しげなイントロに兵隊の行進のようなリズム。何故タイトルがフランス語風? 途中から「オー、シャンゼリゼ」風な陽気さに。テンポアップで更に不思議な世界へ。
07. ヒヤシンスの家
なんて爽やかなアコースティックなギターの音色、そこに可憐なヒヤシンスを思わせるオルガンが被り。好きかもこの曲。...しかしなんか、歌詞がめちゃ暗。また歌い方も何だかど素人。最後のファルセットオルガンがせめてもの救いなんだけど、何度も言わなくてもいいよ、新しい友が必要だ、って。でも何故ヒヤシンスの家?「朝日の当たる家」に対抗してるのか。更にライオンがいる意味は。バスルームに何がいる?
あ、忘れてた。ジムって天才詩人なんだった。
08. クローリング・キング・スネーク
お次はスネークですか。地を這ってる感じしてます。舌をチョロチョロ出してる感じしてます。スネークとブルースはよく合ってます。
09. テキサス・ラジオ
ほら、やっぱりテキサスまで来ちゃった。カリフォルニアなんてどこ吹く風。いーねー。いーよ、もう歌わなくて。語れ。言いたいことみんなぶちまけておきな。
これはスキだ。リフが良い。君達、サイケデリックバンドではなくなってるね。
10. ライダーズ・オン・ザ・ストーム
最後がこの曲で良かった。雨のSEが全てを拭い去ってくれるようだ。これは本当のドアーズのような気がする。詩の世界観、控えめで淡々と語るような物語。アドリブっぽいエレピも嫌味でない。この位のエコーは必要だろう。
やっぱりジム・モリソンはカリスマで、シャーマンの様であった、と思えるラストだ。
これでまたしばらく封印できるかな。
最初の方では私の中でのイメージのギャップをなかなか埋められなかった。
高校の同窓会で、昔結構イケてた子と20年後に再会したら、良い年のとり方してなくてガッカリしたみたいな印象。
だけどちょっと喋って話を聞いてたら、あ、やっぱり根っこのとこでは変わってなかったのか、良かった。というような気持ち。
ポイントの一つとしては、1st とラストは別物である、として聴くことですね。
そしてジムはこのアルバムを世に残し1971年7月3日に永眠したのでした。享年27。
The 27 クラブ、会員番号4番、差し上げておこうと思います。永眠順です。
パリに来てすぐに行ったペール・ラシェーズの墓地に今年はジム詣でに行ってきますか。まさに今年没後50周年。
そんなところで、それではまた。
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