パリ・シャンゼリゼ 本日の時計屋さん(1) ブラック・オア・ホワイト
いよいよ2021年の幕開け。
今年は去年より楽しい年にしたい!
ということで、もう仕事始め。
ヨーロッパの年明けは早い。
クリスマス前からお休み始まってるんだから仕方ないけど、早すぎます。
31日の年越しは、大抵たくさんの人手になるシャンゼリゼですが、今回20時以降は外へ出ない、集まりは6人まで等制約があったので、例年になくシーン。
朝からポリスいっぱいでかなりな警戒体制。16時頃にはショーウインドーにバリケード。こちらは、暴動対策。
そして閉店は早目の18時。
いつもはエッフェル塔前である12時ちょうどの花火も今回はヴェルサイユにて。
私の家はヴェルサイユから10km位なので、音もしっかり聞こえました。
映像はテレビを見ながらのサラウンド。
そして年が明けて、きちんと新年のお食事をする方もいらっしゃるようですが、多くの人は1月1日をダラダラ~と過ごす場合が多いですね。
ですから、2日の仕事始めも皆半分寝ています。
にも関わらず、土曜日とあってか時計屋さんは大忙し。
🎉出ましたー、タマ屋~、金時計ー。
🎊出ましたー、カギ屋~、ヴァルジュー(機械式高級ムーブメントの名前)
と予想以上の客入り。ぼーっとするヒマなし。
イケイケー、今のうち売っとこう。
またいつ完全外出禁止令出るやもしれず。
っと、大変好調なスタートでした。
そんな所にやって来たお客様、男性、30才位、小柄細面。
ちょっと見覚えあり。
"何日か前に一回見に来たんですけどもう一回見たくて"
やっぱり。あれこれたくさん見てたけど決まらなかったの横目で見た覚えが。
"そうでしたねー。2年越しの時計選び。今日は決まるとイイですね"(今日は絶対買ってもらうよ)
と言って、ブラックがいいと言うのでお好みに合いそうなのと、ちょっと違ったのと二本出してみる。
一本目:ブラック、クロノグラフ、クオーツ(電池式)、直径40mm、革バンド。
二本目:ブラック、3針、オートマチック(機械式)、直径42mm、革バンド。
確か前回も黒いのばっかり見てたはず。腕には既にクロノグラフしてるから、やっぱりそれがお好みか。
眺めているが反応がいまいち。
"今日はどんなのされてるんですか?"
と腕を覗き込む。
攻めるには、相手を知れ。
ホワイトのクロノグラフ、クオーツ(電池式)、茶革。
イメチェン狙いか。
"新しい年に、新しい時計、ですね"
試してもらおうと、それを外し、オススメする。
アレ?兄さん、コレ止まってまっせー。
二本目の機械式を出しながら、
"コレなら電池なくても止まりませんよ"
と言って試して見るが一番奥の穴でもベルトがユルユル。
本人も気にしてる。
"穴は幾つか開けられるのでご心配なく"
欠点は、武器に。
三本目:ブラック、3針、オートマチック・シリシウム(シリコン製)、直径40mm、革バンド
"こちらの方が小ぶりですが性能はイイんです。シリシウムのお陰で(でもややお高め)"
シリシウムは、磁気帯防止と摩耗しないのがメリット。
"ん~、でもクロノグラフが好きだなぁ。あ、でも買いませんよ。ネットで安いの見つけたんで"
ナ・ニ ?
お客の風上にも置けないヤツ。
高いの出したらビビったな。
"そ~ですか。残念ですね。でもそういうお店はアフターサービスが心配ですよね~。正規店じゃないとか。"(と半分片付けながら)
ギ・ク。(を感じた)
"ちょっと確認してみますけど... も、もう一回、一本目、試していいですか?"
"もちろんですよ~、ここに穴、開ければピッタリですね"
・・・・
"コレ、買います"
"ハイ、かしこまりましたー"
本日はお買い上げありがとうございました。
時計を選ぶ時に一番はっきりした好みが出るのが、文字盤(ダイヤル)の色。
結構ずっと同じ色が落ち着く、という方は多い。
逆にたくさん持っている方は、新しい色にチャレンジすることが多いので、ブルーやグリーンを探している場合、リピーターになる確率高し。
と言う訳で今回のお客様、クロノグラフというスタイルは継続したけれど、色はホワイトからブラックへ。何か心境の変化でも?
新年に向け、大人になりたい願望か。
そんな帰り道、思い出したのが我らがキング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンの「ブラック・オア・ホワイト」。
1991年に出たこの曲、ガンズのスラッシュのギターがメチャ良かった。
そして最後の方の色んな人の顔が流れるように変わっていく映像も当時新しく、面白いな、と思っていました。
ブラック・オア・ホワイト。
両極端な選択ですが、一番個性の出る色選びかもしれません。
電池切れのホワイト時計は置いといて、今日からはブラックで行こう。
次の交換は2、3年後です。
それではまた。