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【歌謡ノベルズ】燃えろいい女







またひとつ、短いのがいいか長いのがいいかどっちかって、それをこのオレに言わせるワケ? 女達に聞いたほうがいいんじゃないの!? 
いや、オレでいいなら答えるけどさ、ま、好みもあるけど。表向きはね、長いほうがいいんじゃないのかな、こう、やっぱり男としては。色々考えるとだな。あんまり短いとさ、イカンな。んー、なんていうか困っちゃうと思うんだよな。

え!? あー、スカートの長さの話。
あんまり短くてもねー、何だか隠す風もなく、すらーっと見せつけられちゃうみたいで。目のやり場にも困るんだよね。一応は上から下、下から上って舐めるように目で愛でるんだけどさ。上の方の弾けそうな太腿の半分からちょっと上までの長さ。これが結構重要ポイント。このくらいだとちょうど座った時に太腿の上部3分の1まで丈が上がるだろ。コレがキワドイんだな。
ちょーっと斜めになったら中身まで見えちまうんじゃないか!っていう期待とそんな訳ないだろ!っていう狭間で。しかもそこから続く膝っこぞうもさ、軽〜く甘〜い感じに指先で撫でたり出来るとさ、だんだん膝頭の締りが緩んできっちゃたりして、ますますスカートが太腿に食い込んで来ちゃったりするからドッキドキなんだよねぇ。それからそのカワイイ膝頭の下へ続いていくふくらはぎがさ、つるっつる。でも、イイ感じに筋肉がついてていいの。ちょっと感じちゃって、足先に力が入ると、すっと線が入るぐらいの。これはあくまでも個人の好みだから。そんなに締まってなくてぷよぷよしてんのが好きだって奴も多いんだよ。お、元気にスポーツやってたな、っていう形で、ぷりぷりに卵の詰まった子持ちシシャモみたいなやつ。世の男たちがあれだけ酒のアテに子持ちシシャモを頼むっていうのも、きっと、そのせいだと思うんだよな。まずはじーっと眺めてさ、ふくらはぎと子持ちシシャモが重なって見えてくる辺りを楽しむ。そんであれに、がぶっとしゃぶりつきたいっ、あれをこの肩に乗せてみたいっ、ていう願望がさ、冷酒ぴちゃぴちゃ舐めながらのツマミになってく、ってことだろ。ちょっと見鈍臭そうだけど踊るとカッコついてたら、『哀愁でいと』だから赤い薔薇投げ捨てちゃうよなー。
それをさ、下からすーっと撫で上げながら、「あれ、疲れてる!? マッサージしてあげようか」なんて言いながら奉仕精神という名の下心ダダ漏れさせちゃってもさ、ゼンゼン大丈夫で、「そういう優しい人がスキなんですよねー」なんて言いながらしなだれかかって来てくれること間違いナシ。歌はそんなに上手くなくても結構リゾートっぽいノリでイイ感じの『情熱☆熱風☽せれなーで』だったら ♪セクスィー、だよなー。

キラキラきらめく風が、南の方からさ、ちょっと鼻の奥をくすぐるような甘いバニラの香りに乗って吹いてくる。長いのだって悪くない。細いウエストを太いベルトできゅっと締め上げててさ、興奮して感極まって来ると、自分から持ち上げてくれるんだよ。フラメンコダンサー顔負けに、まるで暑さに耐えられんわ、って感じでさ。それにあれだけ踊ってりゃあがっつりしてくるよな、ふくらはぎもさ。だけどその代わり、足首だけはキモチいい程きゅっと締まってるだろ。それに長いのだとふわーっと翻って運が良けりゃ美脚にお目見え。その運が良けりゃ、ってのがまたいい。まあ、運が悪けりゃ自分から拝みに行くまでなんだけど、そういう偶然が重なったところがさ、ビビっと恋の季節だぜ、な〜んてひとり運命感じちゃってさ、キラキラしてるクリスタル・キングな『大都会』で輝いて、果てしない夢追い続けちゃって、もう、身悶えするほどに狂わせるんだよ、オレのココロをさ。
いくらこの力こぶに、そんな長いスカートの女をブラ下げられるからって、これでも繊細なんだぜ、内気だしさ。そんな怯えた男ゴコロ鷲掴みにしてさらってくんだ、容赦なく。ま、掴まれちゃってるのはオレなんだけど。しかもそれを尻目にコロコロ仔犬が転がるみたいに笑うんだ。なのにその後は、パタッと振り向きもしない女。そんなのまるで、それこそ3オクターブの美声と、パンチにサングラスの低音のムッシューとが『蜃気楼』に立たされた『異邦人』みたいな心境なんだよなー。

セミが鳴いてるよジリジリとさ。夏の午後を焼きつくせ! こっちもジリジリしてきたぜ。短いとか長いとかで。ま、どっちでもいいってことよ。全部脱がせちまえばおんなじだよな、結局。
じーっと見ててやるんだよ。ジリジリするまで。暑くて蒸してくる狭い部屋の中でさ、じわーっと玉のような汗が湧いてくるのをさ。小麦色に焼けてる肉付きのいい肩の辺りを、熱い熱い眼差しで。触りたいよなー、舐め上げたいよなー、しゃぶりつきたいよなー、なんて思いながら見てるとさ。
燃えろっ、いい女っ。
燃えろっ、夏子ー!!
ってなことになってな、眩しすぎるお前との出会いを思い出しながら、爆発しちまいそうになってるのはさ、このオレの方なんだぜっ! ちきしょーっ!!


ちょっとなんか冷たいので、燃えてるいい男を冷やしてくれよ。赤いカクテル、作ってくれる? 女は華やかな赤い色のカクテルにひっかかりやすい。さっぱりカンパリソーダも悪くないけどさ、ここは一つ、通り過ぎる乾いた風に乗って現れるような、オトナの女に口づけをするみたいに、優しげに頼んでやろうか。と来ればコスモポリタンだ。

ときめく街で、これに反応する女はね、見た目は若くても40UPって確率高いから気をつけろよ。だって一昔前にやってただろ、女4人集まって男の品定めばっかしてるメリケンドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』てのが。略してSATCなんだけどさ。主人公はオサレなセクスィーライター。居るだけで触れ合う素肌でイイ男を吸い寄せちゃって取っ替え引っ替えベッドイン。オレは脚フェチだけどさ、この主人公は靴フェチ。ぴったりだろ。お友達も負けてない。ブルジョア志向のアートキュレーター、ハーヴァード卒の女弁護士、そんでもう一人は、一度寝た男とは二度と寝ないってのをモットーにしてる業界系。なかなかシビれる格言が多いんで、「このドラマがあたしのバイブル」とか言いながら生きてる女もいるから。コレならエンドレスで見ていられるらしい。だけどね、みんなハイスペック求めすぎ。陽炎が妖しく包むニッポンのオジサンなんか、お呼びでない、って世界。そこのね、主人公がそれしか知らんのか、ってぐらいいつもオーダーするのが、コスモポリタン。えー、そんなぁー、オレモタイタン! とか言ってるの聞こえなかった? 

だからオレが言いたいのはね、コスモポリタン頼んでる女がいたら、飛び交う噂の中を自由に駆け抜けてゆく女かもしれないってことだな。
元々さ、笑顔の似合う娘より、オトナだな、っと思わせるちょっと気取った眼差しの方がイカれやすいんだよな、オレ。
西日のキツイ部屋でさ、上に乗っけてキモチ良くなってるとさ、思わず叫びたくなっちゃうんだよね。
燃えろー、いい女ー。
燃えろー、夏子ー。
ってさ、もうメロメロ。
燃えてんのはオレの方だぜ。弾む夕陽みたいなんだよ。あの女のイッちゃってる顔がさ。あの時のいい女っぷりと、お前との出会いをいつまでも忘れらんないんだよな、オレ。






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"Sex And The City" 

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