【シネマでおジャマ】 追悼 アラン・ドロンがドロンでござーる 〈マイベスト 5〉
8月18日88歳没。
8並びのアンフィニティ。
世紀の二枚目は永遠なり。
遂にドロンしちゃいましたね。
私のアラン・ドロンさま。
もう、おフランス映画界も終わったようなもの。
だった姐さんも、ボリウッドに現を抜かしている間に!
ヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャン・リュック・ゴダールが居なくなってしまった時にもそんな風につぶやいてました。
イケメンは長生きしない、というのは定説です。
けれど映画は生き続けます。
だってヨボヨボのシワシワのアラン・ドロンなんて見たくな〜い!
イケメンはイケメンであるからこそ価値がある。
では、早速姐さんのオススメマイベスト5選!
アラン・あはん♥
1) 太陽がいっぱい 1960年 ルネ・クレマン監督
哀愁漂うニーノ・ロータのメロディと共に思い出す地中海のアツい太陽と青い海。ちょうど今のようなアツい夏にもピッタリな一本。総天然色カラーが目に映える『太陽がいっぱい』。
サスペンスと野望に満ちたストーリー展開は、実のところ似たような境遇だったアラン・ドロンそのままで等身大の魅力たっぷり。
ただの色男ではなく影のある色男。だから思わず女もイチコロ。ほっとけないの。あはん♥
いわゆる三角関係に歪みが入り、憧れは敵意に。あわよくば金も女も名声も全てを手中に入れたくなる若者のギラリと光る夏の海の様な青い瞳。
当時まだブレイク前のアラン・ドロンさまが、既に『死刑台のエレベーター』で名声を得ていたモーリス・ロネを羨む。しかも彼を愛する美しい女マリー・ラフォレ。
上手く立ち回り、幸せの全てを手に入れ夢見心地でいる若者に、人生の狂気が近づくラスト。
このラストシーンは、若い頃の姐さんが『猿の惑星』のラストシーンを見た衝撃にほぼ近い。人間、悪いことはできないものだという教訓でもある。
その天国、いや地獄の舞台となったのがイタリア中部、ナポリの西にある島、イスキア島。地中海ブルーに浮かぶソレントにも近い島。一度は行ってみたい。
2) 冒険者たち 1968年 ロベール・アンリコ監督
イケメン男には三角関係が似合うのか。『太陽がいっぱい』に引き続きまたもや一人の女ジョアンナ・シムカスが若いアラン・ドロンとオジサマのリノ・ヴァンチュラの間で揺れ動く。しかもイケメンドロンは、自分の愛する女が、オジサマに心を奪われていることに気付く。そして彼は男の友情を優先し自らの身を引く。
ちょっぴりおセンチドロンが囁くように歌うのがこちら、『愛しのレティシア』。
なかなかの歌いっぷり。あはん♥
そんなオトナの駆け引きをまたもや青い海を舞台に魅せる。
宝探しのロマンを込めて。
おフランス中部、ラ・ロシェルとロシュフォールの間に位置する小さな島イル・デクスからは、ほど近くに浮かび上がるボヤード要塞が見える。
そこにアフリカから持って来たお宝が眠っているという。
かつて姐さんも、「おフランス映画ロケ地を巡る旅」してまして、ロシュフォールからイル・デクスへ渡った記憶。
そこから、厳島神社の鳥居の如く海の中に浮かび上がる、あのボヤード要塞が見え、
「あはん♥」
と大感動!
その時の道中は、また別の機会に。
3) 地下室のメロディー 1963年 アンリ・ヴェルヌイユ監督
三角関係に揺れる男心もいやん♥ですが、モノクロの画面にスーツでキメキメのドロンさまもあはん♥
なのに甘いキスは素っ気なくていやん♥
しかもお宝を狙って繰り広げるアクロバティックなテクニックの数々にもあはん♥
『ミッション・インポッシブル』でトム・クルーズがついそのテクを拝借したのであろうことは一目瞭然。歴史は繰り返される。
音楽もオサレで、この頃の質の高さを改めて実感。犯罪モノとジャズは何故かお似合い。深刻な『フィルム・ノワール』ほどの重さはなく、とにかくテクの上手さでトントン拍子に完全犯罪をやり遂げていく様子と相まって、ストーリーに軽快な優越感と満足感を与えている。
そしてこれまたラストが周越でにんまり。
ご老体ジャン・ギャバンとの2大スター共演の犯罪モノ、とくれば客は入る。ドロンも一気に地元人気を集めた作品。
昭和歌謡では、甲斐バンドが「地下室のメロディー」(1980) をリリース。
おどろおどろしいイントロがちと違う路線へいざなってくれる。
4) シシリアン 1969年 アンリ・ヴェルヌイユ監督
やってみたら、イケるねーでハマり役だったんでもう一本。今度はおフランス2大スターにもう一人足して三大スターだ。ドロン、ギャバンに最後はヴァンチュラ。そうあの『冒険者たち』のときの。でもヴァンチュラは刑事ね。
パリ、ニューヨーク、ロンドンを股にかけるギャングもの。ここじゃ、イタリアンマフィアのお話。
イタリアンマフィアと言えば『ゴッドファーザー』だって言われそうですが、この作品はそれより3年も前のお話なんで、こちらが本家。
音楽はイタリアンのエンニオ・モリコーネ。
びよよ〜ん、びよよ〜んのジューズハープ使いまくり。忘れられないテーマソング。
ちなみに『ゴッドファーザー』の音楽はニーノ・ロータでござんすよ。あの『太陽がいっぱい』の。繋がっているような繋がっていないような。
5) サムライ 1967年 ジャン・ピエール・メルヴィル監督
監督はフレンチ・フィルム・ノワールの巨匠、ジャン・ピエール・メルヴィル。かつてヌーヴェルヴァーグの『勝手にしやがれ』で有名になった監督の、一匹狼の殺し屋を淡々と描いた。『太陽がいっぱい』と対を成すようなこちらは冬がピッタリのクールな一本。
個性的な作品が多いフランソワ・ド・ルーベの音楽がオサレな印象で耳を離れない。
それに昭和歌謡には欠かせない沢田研二は以前『勝手にしやがれ』を歌ったが、再び歌ったこの『サムライ』もまた強烈だった。
後のドロン夫人となるナタリー・ドロンがキレイどころに加わり、黄色いカナリアと共に、冷たい印象の画面に小さな幸せをもたらす。
ラストのメトロを乗り継いだ追跡劇は、1972年の『フレンチ・コネクション』を始め、その後の幾つもの作品のお手本となる。
そしてその追跡劇はパリのメトロ11号線、かつて姐さんの家の最寄り駅だったピレネー駅の隣、ジュルダン、プラス・デ・フェット、テレグラフの各駅にて撮影。なんとも懐かしい。
番外) レッドサン 1971年 テレンス・ヤング監督
こちらマイベスト5からはハミ出しましたが、番外でオススメ。
この奇妙さをお楽しみください。
米仏伊西合作のこの映画、マンダムのチャールズ・ブロンソン、ダーバンのアラン・ドロン、そして世界の三船敏郎とそれぞれの国からスターをかき集めた異色の西部劇。そこへ元ボンドガールのウルスラ・アンドロスが加わり、しかもタイトルが『レッド・サン』。おいおいおい。
世界のサナダもびっくりですわ。ま、そのご本人真田さんもかつて似たような西部劇をやってましたが。
1995年 岡本喜八監督の『East Meets West』。
音楽はかのモーリス・ジャール。こちらも『アラビアのロレンス』、『ドクトル・ジバゴ』などで超有名。しかも息子は女優シャーロット・ランプリングの元夫。この元夫ジャン・ミッシェル・ジャールはおフランスの冨田勲こと、コンピュータミュージックの祖。
監督テレンス・ヤングの名は、どこかで見たことあるわいな、と思ったアナタ。この監督は初期の007シリーズを4本も撮った方。
( 『ノー・タイム・ノー・ダイ』、『ドクター・ノー』、『ロシアより愛を込めて』、『サンダーボール』 )
この作品は、名作というより迷作だが機会があれば、見るとびっくりな一本。
ついでにそれぞれ三大スターの有名CMを。
ドロンさま、安らかに。
合掌🙏
あ、これも忘れちゃいけませんね。
榊原郁恵 / アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた (1977)
あはん♥