【企画参加】 残り物には懺悔がある #毎週ショートショートnote
今回はこちらの企画に参加してみました。
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女も三十を目の前にするとぐっと商品価値が下がると言われた昔、今じゃ事実婚とか言って籍は入れずとも夫婦として世間には認識されるらしい。
しかし若い時から三十までにと育てられた昭和の女から見れば、それはどうも体の良い同棲の延長にしか見えない。
シンデレラを夢見て、王子様は白馬に乗って颯爽と、お姫様抱っこでベッドイン、あはん♥などと、脳内に刷り込まれたお伽話はどれも人生の教訓だったと身に沁みて感じたのはもう随分婚期も過ぎ辛酸も舐めた後だった。
そんな女の一生もほぼ終盤に差し掛かるある日、いつもはわさわさした通りも朝が早いせいかすっきりしていた。
早目のカウンターで注文すると数分後の胡麻の香りに幸福感。
啜りだすとすぐ横に男が座り同じ物を頼んだ。
運命の人かもと気になって目を流す。こんな私は注文してくれませんかね。
薄味だが絶妙な味加減のザーサイを口に運び噛み締めながら今までの人生を吐露してみる。そんな残り物には懺悔がある。
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女の嘆き。
あはん♥
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