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【マイソングス】アコールデマス・ギターラス "Acordem as Guitarras" 目覚めよギターラ / カマネ(1995)



哀愁を帯びたメロディ、鼻にかかる鼻母音の心地よい響き、そして最後はシュシュシュの囁き。
いつでも目の前に広がる大西洋を見ながら朗々と歌い上げ、それを煽るようにトレモロを続けるポルトガル・ギター。

私は、大変ポルトガルが好きでこれまで何度か行きましたが、きっとその理由の大きな一つは、この音楽、ファド。基本暗めの切ない想いを絞り出すような歌に、どうしてもよじれ隊が止まらないのです。

二番目は、ワイン。日本人には馴染みやすい魚料理が多く、どこに行っても美味しいのが、バカリャーオ。塩漬けにしたタラ。これをさっと茹でたジャガイモと黒いオリーブを一緒にしてサラダに。バカリャーオ、これはすぐに名前が覚えられ、大抵のお店にあるのでついつい注文。
それに合わせるのが発泡性白ワインですが、ポルトガル人はこれを"ヴィーニョ・ヴェルデ"(緑のワイン)と呼んでいます。さっぱり辛口、まさに緑色な味。そして、他には揚物テンプーラ等にもぴったり。

そんな美味しい魚をつまみながら、路面電車の走るリスボンの下町アルファマで、夜が更けるにつれどっぷりと浸かっていくファド。

ではここで、「ファドの神」にもご登場いただきましょう。
かの有名なアマリア・ロドリゲス。「カンサォ・ド・マール」"海の歌"。

彼女の深みのある声と、ボリューム感たっぷりな歌い方は、現在も多くのファディスタのお手本。
アルファマ出身のアマリア、彼女は79歳で1999年に亡くなりましたが、国を上げて3日間喪に服した国葬並み。
バスコ・ダ・ガマと共に国民の愛する有名人の一人です。
(余談ですが、ポルトガルではコロンブスよりバスコ・ダ・ガマ!)

リスボンでは大抵が歌い手ファディスタ、ポルトガルギターのギターラ、ベース担当の一般的クラシックギターのヴィオラのトリオ構成。
ではこのギターラ、普通のギターと何が違うのでしょうか?


まずこの形。日本の琵琶を思わせる果物のビワの形。フレットは極端に短く(=音が高い)、先端に巻き貝の様なものが付いていて、小ぶり。弦はスチール製ですが、ダブルの12弦。
三味線と同じく地方によってボディとヘッドの形態にやや違いがあり、調弦の仕方も二種類あるのが特徴。
ちなみに上の写真の右がリスボン式
そして左はコインブラ式
リスボン式のほうがややお尻の張り具合が広い欧米美女型。
対するコインブラ式は、皆様のお馴染みやや下に重心のかかった日本美人型。
さて、お弾きになりたいのはどちら?

リスボンでは、都会的な洗練された旋律で、時にはやや速弾きもしたりしてショーアップ。
対するコインブラでは、歌い手の中心は男子学生で伴奏が中心。

南北に長いポルトガル、南端のリスボンからコインブラは特急列車で北へ2時間。
1290年にできた世界最古の大学は世界遺産で、この名門国立大学が街の中心。そしてこれも昔ながらの黒マントを着た学生が行き交う素敵に古い中世の街。

そんな中世の吟遊詩人を起源にするコインブラ大学の学生が得意とする歌はセレナーデ🎵。
恋する人の窓辺の下や、階段の途中などで、石造りの建物の反響を使い、ロマンティックな自作ポエムを歌う。
するとそれを聴いた相手の女性、部屋の灯りを点けたり消したり。それが恋のGOサイン😍
いやん♥ステキなポエムにこの歌声! ど〜ぞ上がって来てちょ〜だい。今宵はOK、朝まであはん♥
な〜んていうことになっちゃってたんでしょうな。何しろ彼はイケボの高学歴、こんなチャンスは逃しちゃいけない!

そんなステキなコインブラ・ファドを歌うグループ、アマンエセール。曲は街の様子も楽しめる「コインブラさんぽ! 」。

それから言い忘れましたが、曲が終わっても、絶対"拍手"👏👏👏、しないでくださいねー。コインブラのしきたりです。
ではいったい何をするのでしょうか?

コインブラ式では、ゴホンゴホン!と咳払いをするのが正解です! しかし、このご時世まだそのしきたりが続いているのかはやや疑問。
そしてこの学生の黒マント、ポルトガル語でCapaと言いまして、雨降り用カッパの語源となっております。

そしてそのコインブラ出身の、ギターラの神が、カルロス・パレデス。別名ギターラ界のジミヘン
映像を見ると彼がコインブラ式ギターラを弾いていているのがよくわかります。
右側の方は、ヴィオラ奏者フェルナンド・アルヴィンでベース担当。この方も素晴らしいテクニック。
曲は、「変奏曲、ニ長調」。

まるで取り憑かれた悪魔の速弾き、とでも言うのでしょうか。ほとんど狂気を感じます。

そんなコインブラ・ファドを堪能したらそのまま列車でもう少し北上。
ポルトガル第2の都市、ポルトへ到着。
ここも呑兵衛さんたちには見逃せないポルトワインの街。日本では、昔からポートワインと言って親しまれ、我が祖母もかつて「ワインは、赤玉ポートワイン」とイチオシ。味は、しっくりこっくりフルーティー。
リスボンにテージョ川があるように、ポルトに流れるのはドウロ川。この川沿いにはポルトワインのカーブがたくさん並び、好きなだけ味わうことが可能。
何しろこのドウロ川を遡っていくと、フランスのボルドーにも引けを取らないドウロワインのぶどう畑が連なっているから。
そんな畑の合間を縫って走る、黄色い箱型の小さい電車にまたよじれ隊〜!
そしてその出発駅であるサォ・ベント駅には、ポルトガルの歴史を物語るタイル、アスレージョでまたよじれ隊〜!

...とまだまだよじれどころがいっぱいのポルトガル。いや〜ん♥

マイソングスを聴きながら。




















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