20230526[からにこもる]
久しぶりに読書をした。
前回、1冊を読破したのはいつだろうか。
一応、好きな作家はいるけれど、自分の好みが変わっているかもしれないと思ったからリハビリも兼ねて、芥川賞と直木賞作品を選んだ。
面白かった。
映像よりも伏線がわかりやすくて、見えない人物を想像するのが楽しくて、作家の作文の癖に気づくとイライラして、文字を追う間も感情が湧く感覚が懐かしかった。
本の世界に浸ると、合法的に殻にこもることができるし、人の書いた文章を読むことが教養になった「気」がして、なんとなく鼻が高くなった。
私の子供時代は本の虫だった。
同級生がテレビの中のタレントや漫画に夢中になっている間、私は週に2回は図書室に通った。
長期休みに上限まで借りることは当たり前で、ノルマのような気すらしていた。
中学受験をした一番の理由だって、図書室を気に入ったからだったのに、中学生の私はあろうことか本の世界に浸ることができなくなった。
資料として読むことはあっても、一度読まなくなると読めなくなるものだ。
大学生の頃に、現実から離れたくて購入した小説は、読むのに3ヶ月もかかった。
時間がない、好みじゃない、こんなものは言い訳でしかないが何かと理由をつけては離れていった。
どうして、本を読もうと思ったのかは忘れてしまった。
それでも思い出した、読まなければよみがえらなかった感覚を。
それでいい。
今はただ、読書がしたい。
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