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Meglog【言語習得の定型プロセス】

Introduction 
 
今日お話しするのは、世の中にいる2言語3言語、またはそれ以上、複数の言語を話す人たちが、どうやってその言語を習得したのかという話です。
 
効率的な言語勉強法ではなく、人間がどのようにして複数の言語を話すようになるのかについて迫ります。その全体像を見ていきましょう。
 
言語習得までのプロセスは大きく3つに分かれます。
幼い頃から複数の言語に触れるプロセス1,年齢に関係なく、大量のリスニングと発話練習である程度話せるようになってから教科書に触れるプロセス2、そして長期間の座学の継続で読み書きや文法が得意になってから、話す練習し言語を習得するプロセス3です。
 
あなたが話す、または勉強する言語はどのようなプロセスを辿ってきたのでしょうか。
 
言語習得の全体像を掴めば、今外国語を勉強中の方にとっては今のあなたがやるべきことは何か見えるかもしれません。勉強中でない方も、複数言語を話すTipを知ると面白いと思います。
 
外国語を話すために必要なのは、案外シンプルな考え方。
今日は言語習得までに辿る、“道のり”についてお話しします。
 
 
 
Outline
 人間と言語の関係 主な定型プロセス3つ
  ・早期型プロセス ネイティブ、家庭、3人キッズ
  ・聴話先行型プロセス ブレンダ、私韓、アニメ
  ・読み書き先行型プロセス 私英中
 Conclusion 
 
 

 
【人間と言語の関係と主な定型プロセス3つ】
 
幼い頃からいわゆる第二言語を断続的にでも学び吸収し続けると、それは第一言語と同じくらいの習熟度に至ります。そして一般的に15歳以降その吸収度は下がっていくと言われています。
 
ここで簡単に、言語を習得することを“日常会話に困らない程度に話せる”と定義しましょう。
話せるようになるために必ずは先にリスニングが先行します。
聞いた内容の意味が瞬時に分かるようになってくると同時に、拙くもスピーキングを練習し続けると、話せるようになります。
スピーキングができてリスニングができないということはあり得ません。
もちろんこれからお話しするどのプロセスにもこのリスニング(聴)→スピーキング(話)が当てはまります。
 
 
最新の学校教育現場は英語を話す事に力を入れているところもありますが、多くの人が既に受け終えた日本での義務教育+高校の英語課程のみでは、15歳以下に学習を始めていても“話せるように”はなりません。
 

仮に「人間には言語を習得する潜在能力があり、それはおおよそ15歳以降に低下していくものである。」と仮定すると、
自我が完成する前に教育を受け、その能力を意識せずとも活かして人生の早期に得た言語の習得プロセスを、“早期型プロセス”と言うとします。

そして大人になってから習得した言語は比較的苦労しないと身につくものではありません。潜在能力をあまり発揮せず、長期間をかけ座学をし、さらに15歳から5年10年それ以上と時間が経過してから習得するプロセスを“読み書き先行型”と言うことにしましょう。
 
例えばあなたの話す母語のように、おおよそ15歳以下に身に付けた言語の習得プロセスは早期型プロセスで、
しっかり英語の知識を勉強してからスピーキングも練習してやっと話せるようになったという習得プロセスは読み書き先行型プロセスです。
 
しかししっかり勉強したこともないけど言語を身に付けている人の方は多いです。
私も実は韓国語に関してはその一人です。実はハングルはまだ書けない初心者ですが、しかし少し話せます。これはプロセス2の途中です。
大量のリスニング、いわゆる多聴によりリスニング力が上がり、文法の似た言語ならば徐々に話せるようになる聴話先行型プロセスです。
また対象言語の環境に浸かれば、15歳過ぎた後でもプロセス2により言語を習得することは十分可能です。
 
先ほど言ったように、話せるようになるために必ず先にリスニングが先行します。
よって多聴でリスニング力を高めると話せるようになるまでの時間と手間は、“読み書き先行型”よりもかかりません。その後から読み書きで知識を補強していく習得プロセス2を“聴話先行型プロセス”と言うこととします。
 
 
複数言語を話す人の例をプロセスごとに見ていきましょう。
 


【先天型プロセス】
幼い頃から言語を学び続けると、第一言語と同じくらいの習熟度に至り、一般的に15歳以降その吸収度は下がっていくと言われています。
母語は必ずこのプロセスに当たります。
 
このプロセスを辿った言語話者に多く見られる特徴は、その対象言語の文法はよく知らないということです。
 
例えばこんな人…
◉日本で生まれ育ち、母語は日本語の私
幼少期から、幼稚園、義務教育課程を経て日本語を獲得しました。もちろん教育がなければ読み書きできないのですが、今回のフォーカスは話すこと。話すことに関して勉強したことはありません。“習得した”というより“獲得”したのです。
ちなみに日本語の文法は聞かれても説明できません。
 
◉韓国人両親を持ち、アメリカで生まれ育ったアメリカ人Y(現韓国アイドル)
家庭の外では英語で生活、家庭内に韓国語環境があったタイプ。
このタイプの他の人で、現地韓国語学校に通い教育を受けるような人もいるでしょう。
 
◉父親の海外出張について行ったM(インフルエンサー)
日本で生まれ、幼いころ父親の仕事のためにアメリカに行ったM。いわゆる帰国子女です。外では英語、家庭内では日本語を話していました。日本に帰ってきた後英語を維持しています。
 
◉インターナショナル生、日本の家庭内で英語環境を作り出した三兄弟(YouTuber)
日本国内でも英語環境で育った人はこのタイプです。インターナショナル学校や家庭内
に英語環境をつくり、それが習得に足りる時間と教育であれば、言語習得できる可能性が高いと言えます。
 
 
 
【聴話先行型プロセス】
聴話先行型プロセスとは早期型のように人間の持てる言語対応能力が活かされながらも、15歳を過ぎてからでも実現可能な言語習得プロセスです。
多聴により自然と対象言語の単語や文を頭で覚え、溜まった記憶の波が押し出されるとき発話もできようになります。
 
特徴的なのは、このプロセスのはじめに文字は必要ないという点です。
極端に言えば、もしも対象言語の字が書けなくても、読めなくても、文法を知らなくても話すことはできるということです。このパターンは決して珍しくはありません。
 
 
例えば
◉日本語が母語の私が話す韓国語
私は韓国アイドルや韓国ドラマが好きで、これまで何万時間と韓国語コンテンツを見てきました。日本語字幕を付けながら映像を見続けていると、頻出するフレーズの意味と発音を覚えるようになります。
聞き続けていると文法や動詞の変形にパターンを見出すようになり、より聞いて理解できる部分が増えます。聞いて分かるフレーズの波が溜まってくる感覚がありました。
話して見ることはしていませんでしたが、その波を吐き出すと意外と話せてしまうのです。
韓国語は日本語と文法が似ており語順が同じなので、聞く内容の理解はスムーズにできると思います。
 
 
例えばこんな人…
◉母国語がスペイン語のメキシコ人の友達Eの英語
メキシコでアメリカのテレビ番組を見ることが多く、英語とスペイン語は似ている部分が多い(※原語は違うが日本語と英語の文法や単語と比べれば似ている)ために、
リスニングとスピーキングが得意で、リーディングとライティングが苦手でした。一つの英語の文章があるとして、その内容を読む時には単語が読めなかったり、その文を作文するときには文法に躓いたりするのに、同じ内容を耳で聴くのであればすぐに理解し、そして内容を話し説明できるのです。
 
◉海外の日本のアニメファン
よくテレビで目にする海外の日本アニメファンも日本語のセリフフレーズをよく知っていますよね。セリフオンリーだとなかなか日常会話が話せるようにはならないのですが、それもこのプロセスのスタート部分に当たります。何度も聴いたことがあるフレーズが身に沁みつき発話できるようになることが語学のスピーキングです。
 
このプロセスで話せるようになる言語には、文法が似ている言語に多いかと思います。文法にはこだわらずまずは聴話から始めると圧倒的に習得までの時間は比較的速く、そして机に向かわないので楽しく続けられるプロセスなのではないかと思います。
 
 
 
【読み書き先行型プロセス】
文字から発音、文法、語法を勉強し、リスニング、発話も始めると、座学で学んだ知識が土台となります。プロセスの途中から話す事を練習し習得に至ります。
話すことに注目するなら遠回りに感じますが、母語と文法や単語が似ても似つかない様な言語が対象言語の場合はこのプロセスに入ると考えられます。
 
英語を勉強中の日本人の多くはこのプロセスを辿っているのではないかと思います。プロセスの特性に沿って勉強していないために、途中で停滞し、“言語の習得”までには至っていない人は少なくないようです。
 
特徴的なのは、まずは話せなくても、書き、読めるようにもなり、そのあとスピーキングを練習することで言語を習得するという点です。
このプロセスの途中にスピーキングを追加しなければ、話せるようにはならないのです。
 
例えばこんな人…
◉留学先で出会った友達J
高校卒業後、その後大学生になったあと塾で英語を教えていました。文法や単語量についての知識量が多い彼女、高校卒業後、英語塾で教えていたから話せるようになったと言います。
 
◉私の英語
高校卒業後、大学の第二言語で英語を取り、留学前は計7年間英語の読み書き文法を勉強しましたが、その時点では話せませんでした。
留学に行って4カ月後くらいにスムーズに自分の言いたいことが言えるようになり、半年後には話すスピードがアップ、留学に行き、英語環境に浸かったことで話せるようになったタチです。留学に行った頃は話せなかったので、③出始めて②にシフトしたとも言えます。
 
 


Conclusion

今日は人間がどのように言語を習得するのか、そのプロセスについて見てきました。
 
「人間には言語を習得する潜在能力がある」という仮定で3つのプロセスを比べると、
能力をフルに使ったプロセスが【早期型】であり、聴覚からその能力を半分使ったプロセスが【聴話先行型】、能力をあまり使わないプロセスが【読み書き先行型】とも言えます。
 
ならば言語は幼いころに学ぶのがやはり一番速く高い熟達度に達するため良いです。文法が似ていなかろうと、どんな言語でも吸収可能です。
義務教育課程に、充実した聴話先行型の教育課程を組み込むことは、いち早く取り組むべきことです。
 


ならば年齢が大きくなってから母語以外の言語を話すにはどうすればよいのか。

既に大人であるならば、やるべきことがあります。それはプロセス②を積極的に取り入れることです。新しい言語ならば②から始める。③で始めたなら、②にシフトし、スピーキングに集中する。私の場合、英語の習得状況をグッとシンプルに考えたら、読み書きの知識はあるがリスニングとスピーキングはできませんでした。“習得”のために必要なことはプロセス②からプロセス③にシフトすることでした。
 
話すことができるようになるまでに必要なのは座学ではありません。現在言語を勉強中の方は、この基本プロセス3つを頭に入れて、言語習得の進捗度を測りながら勉強すると良いです。
 
 
 

それでは今日はこれで。
最後までお読みいただきありがとうございます。
 
 

::PS::
数日前、前回のブログ【街ゆく人に話し掛けろ 出川English】を読んだ友人から、あなたの行動力に感化されて自分も就活を頑張っているよ。との声を貰いました。嬉しい言葉をありがとう。
こうして切磋琢磨できる友人がいることや、自分を支えてくれる周り環境に感謝しています。
 
 

 
また次回、お会いしましょう。
Meglogでは、みなさんの潜在意識と常識の枠を少し超えるような斬新なインフォメーションを、毎週お届けしています。
 
 
 
次回Meglog【日本で英語を話す工夫】
「英語勉強歴7年だけれど話せない」
こうした学習状況の原因は単に英語を話さないことにあります。でも日本に住んでいたら普段日本語しか話さない…。
日本で英語を話す機会を作り出す工夫とTipをお話しします。
 
来週水曜19時(日本時間)公開です;)

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