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夏の終わり

「あっ、俺、夏好きだわ」
ここ数年で気付いてしまった。
昔はそんなでもなかったが、歳を重ねて感覚が変わってきたのだろう。

昼間は地獄のような灼熱なのに、日が暮れてくると短パンの裾からすり抜ける夜風の気持ち良さったらない。

そんな夜風が恋しくて、バンアパのライブを観た帰り、無駄に渋谷〜新宿間をレンタルチャリで爽快にクルージンしてみた。
しかしそんな愛しの夜風がドライアイの俺の目を過剰に乾かしてくる。目が痛え。

俺は夏を愛していても、向こうは愛してくれない所も好きである。
俺は愛されるよりも愛したい性分なのかもしれない。


夏はなにかとイベントも多い。
息子に多くの思い出作りや経験をさせてあげたい!と今年も色んな所へと足を運んだ。

だが振り返ってみると家族の誰よりも俺が1番夏を満喫していた。息子より日焼けした肌がそれを物語っている。
だって夏が好きなんだもの。

そんな息子といえば野球観戦で行った球場で、野球そっちのけで一目散にミストを浴び狂いに行っていた。
彼もまた夏好きなようだ。夏生まれだし。

1人だけびしょびしょ


「あと何回、俺は夏を楽しめるのだろう‥」
そう考えると儚すぎて無駄には出来ない。


周りと話してみると、
『今年の夏は本当に暑いねぇ』
なんて言うが、俺としては暑けりゃ暑いほど良い。
汗を溢れるほどかいて、その後に浴びるシャワーの爽快さは何物にも変えられない。むしろそのシャワーの為に汗をかいているといっても過言ではないのかもしれない。

でもずっとこんな暑さが続いたら狂うけどね。日本の四季で暮らしているから言える贅沢な感覚なのかもしれない。


今年の夏も気が付けば蝉の声が小さくなっていて、あんなに長かった日もだんだんと短くなってきた。
もう終わりが近づいているのだろう。

もう戻れない今年の夏を、沢山の思い出と共に噛み締めたいと思う。

木暮さんジャケット原画展より


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