見出し画像

秋の終わりと、続く秋。

11月が、秋が、終わってしまった。私の一番好きな季節が。だからいつもやってるその月の振り返りじゃなくて、今年の秋を振り返ろうと思う。

秋といえば芸術の秋だったり、読書の秋だったり、食欲の秋だったりと社会は長期休暇のないこの時期に経済停滞を防ぐべく、購買意欲を煽ろうとやたら”xxの秋”というフレーズをつけたがる気がする。

とはいえ、常に芸術や本や食べることに対して貪欲な私にとっては別に秋であろうがなかろうか、通常運転である。芸術には接するし、本は読むし、食べる。どれも好きだから、そういう意味だと私の周りの季節は、永遠に秋

芸術の秋-ブダペスト国立工芸美術館名品展

1800年代後半、黄金の国ジパングと謳われ東の端っこで300年も内に秘めていた日本の芸術を世界が見た時、西洋諸国の驚きはどんなものだったんだろう。あのちっさな島国がこんな神秘性を秘めていただなんて、と青い目を大きく見開いただろう。

日本の工芸品ならではの、自然と一体化したかのような表現は、自然の有機的な美しさを全面的に押し出したアールヌーボーとの親和性が抜群に高く、西洋の芸術家たちは我先にと”日本風”を取り入れた。

画像2
《菊花文花器》エミール・ガレ 1896年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

海外に追いつけ追い越せと欧米諸国のマネをし近づこうとした日本と対照的に、既に世界のトップにいる西洋は日本のものをマネする必要なんてなかった。西洋は既存の芸術に日本のエッセンスをうまく取り込み、”ジャポニズム”とし芸術の新しい流れを作り上げた。

じゃぁ逆の立場だったら。日本が西洋の文化を取り組む側だったら、果たしてこんなに上手く取り込んだだろうか?日本の器の上にくねくねとした蔦や花を描いて”フレンチニズム”って文化が花開いただろうか?
否、と私は思う。

画像2
《蜻蛉文花器》エミール・ガレ 1890年頃 ブダペスト国立工芸美術館

日本の基準だったら「カタチになっていない」とか「色味がおかしい」とかで弾かれてしまったと思う。海外だと「これ新しいじゃん!最近みんな注目してる日本って国の影響受けてておもしろいじゃん!」ともてはやされるのに。

画像3
《夕景図花器》ドーム兄弟 アンリ・ベルジェ 1902年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

上の画像の花器だって”夕景”とタイトルにあるけど、「ん?」と思ってしまうアバウトさだし。「きちんと日本っぽくしなきゃ」というより、「この日本的エッセンスぶち込んだらおもしろくない?」と聞こえんばかりの冒険心、大胆さ。
日本をマネするというより、日本っぽさをマネする、という感じ。そういう道半ば感を肯定できたのがジャポニズムだったのかな、と会場を後にしながら思った。

どっちつかずの中にも答えはあって、そういうところにある答えを受け入れられるようになればいいな、と。急に話が壮大になってしまったけど笑

読書の秋-同士少女よ、敵を撃て

ネットでは発売前からかなりの評判でここまで騒がれると天邪鬼になって、少し斜めにかまえていたところがあった。でもこれだけ話題になるんだから、と発売日に入手し、寝る前に少しだけ読もう、としたら…やばかった。

0時前ぐらいに読み始め、次に時計を見たら3時…次の日仕事なのに。こんな濃密なストーリーに100%集中できないのは失礼と思い直し、その日は休むことにし、週末にじっくり腰を据えて読むことに。

500ページ超の大作。少女たちとともに駆け抜けた戦場。ラストはもう何に泣いてるのかわからないぐらい感情がぐじょぐじょに押し寄せてきて、涙が止まらない。

敵ってなんだよ、誰だよ。みんななんのために戦ってるんだよ。戦争っていつ終わるんだよ。怒り、悲しみ、不条理さ。人同士が戦っていいことなんて何ひとつも生まれない。当たり前すぎて改めて書くこともどうかと思ったけど、思ったことは、ほんと戦争なんていいこと一つもない。

この感動を誰かに伝えねば!と思わず親友に「『同士少女よ、敵を撃て』って本を読んだんだけど…」と話そうと意気込んだけど、話してる最中にもう、想いが溢れすぎて再度感極まる。それぐらい揺さぶられまくった。本は年間50-60冊ほど読むけれど、この作品は間違いなくここ数年のトップ3。

読書に限らずだけど、いい体験というのは、それを体験することによって、新しく”xxしたい”という行動につながることだと思っている。この本を読み終わったあと、独ソ戦のことが知りたいと思って「戦争は女の顔をしていない」と「独ソ戦」を早速購入。

この購買パターンに陥ったの、私だけじゃないはず。

食欲の秋

食べるのも趣味なので年がら年中食べているといえばそうなのだが、やっぱり少しぐらい海外っぽさがあって、食べている時間そのものが楽しくなるような料理が食べたくなる。

代々木八幡はヨヨナムのベトナムまぜそば

シンプルな具材を混ぜることでぐっと味に変化と深みが出るの。。見た目以上のおいしさ!

二重橋はADRIFTのパエリヤ

熱々の大皿で出てくる料理ってなんかいいよね。。特にお外でとりわけてワイワイするの楽しい。。。

大手町はフォーシーズンズのシャインマスカットのアフタヌーンティー

これは旅気分じゃなくてただの趣味w

今年もめいいっぱい楽しんだと思える秋だったな。ではまた来年、そして明日からも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?